可愛い友人
華辉「温花っ!」
あーやっぱり――やばいやつだ――。
陛下は頭を抱えながら屋敷に入ってくる。
焦る陛下の後ろを楊兎将軍は笑うしかないと言った様子だ。
温花「あー……えっと……。華辉様すいません……」
楊兎「華辉落ち着け!温花の話も聞こう!なっ?」
楊兎将軍に肩を持たれると、一度大きく深呼吸を済ませ陛下は喋り始めた。
華辉「温花……どうなっている!……どうして華珩と知り合いうことになったんだ!どうしてよりによって華珩と……」
温花「……す……すいません……たまたま華珩様と会ってしまって……」
華辉「……華珩が温花と一夜を過ごしたと言っているぞ!相手は8歳だ!何をしている!」
睨みつけるように陛下はこちらを見る――。
まさかこどもの言った言葉を信じてるの……?!
思わず声にならない声が出てしまう。
温花「へっ?!」
華辉「俺に靡かないと思っていたが……まさかそのような趣味があったとは……」
温花「ちょ……ちょっと待ってください……!どうして話がそんなことになっているんですか!?」
華辉「華珩が嘘つくとでも言うのか!」
温花「あたしが嘘つくと言うのですか……!本当にちょっと待ってください……!」
まさか自分が幼児愛者だと勘違いされるなんて――。思ってもみないことの連続であたしはよくわからない笑いがこぼれる。
楊兎将軍が引き攣ったまま笑っていたことの意味を理解した。
楊兎「華辉、落ち着いて話を聞こう!?」
華辉「落ち着いていられるか!宮中でも大騒ぎだぞ――温花が華珩の子を懐妊していると」
温花「ええええぇぇえっ?!」
この世に来て一番驚きの状況にあたしは大きな声が出て、屋敷の周りにいた鳥たちが慌てて飛び出していく。
楊兎「だからそんなはずがないだろ、華辉!」
華辉「ではなぜ、華珩がそのようなことを言う必要があるんだ!温花の名前を知っているんだ!カブトムシの取り方なんて知ってるんだ!」
楊兎「カブトムシ……?」
温花「あ……えっと……カブトムシの取り方を教えたのはあたしですが、懐妊の事実はありません……」
華辉「ではなぜ華珩が嘘をつく必要があるんだ……」
一番混乱していたのはもしかしたら陛下だったのか、力尽きたのか椅子に崩れるように腰掛けた。
そこに帳簿を手に緑色の衣を着た人物が現れた――。
红京「温花様は健康観察怠っておりません。懐妊の事実はありえません。理由は知りませんが、華珩様が温花様のことをお気に召しているのではないでしょうか?」
楊兎将軍はカブトムシのことで頭がいっぱいになってしまっている様子で「後でカブトムシの取り方を教えてくれ」とコソコソと話すと陛下の横にとりあえず並んだ……(笑)
温花「葉がギザギザした蜜のある木を蹴ってみると、落ちてきました……(笑)」
楊兎(やんとぅ!「木を蹴るのか!俺もやってみてー!」
红京「お二人はカブトムシから戻ってきてください。――陛下、どのような経緯でこのようなことに?」
红京は健康観察の帳簿を机の上に置き、鋭い目線でこちらの空気を締める。
華辉「――華珩は温花が自分の子を懐妊した、結婚を認めるように華有様に伝えたようだ」
陛下は頭が痛むのか体をのけぞり、額に手を乗せ天を仰ぐしかないようだ。
红京「華珩様はまだ8歳……未熟すぎて子を成すことは難しいかと」
楊兎「な?!華辉、言っただろ?!華珩にはまだ無理だって!な?!」
華辉「ではなぜそのようなことを……温花は華珩と関係は無いのか……?」
力の抜けたその問いに温花は力一杯に答えた。
温花「華珩様は可愛い友人です!あたしはかっこいい男の人が好きなんです!」
楊兎「ざっくりだな!(笑)」
温花は噂を一瞬で否定し、こちらをじっと見つめる。その目はあまりに真っ直ぐで、太陽の光を集めこちらが眩しい。
楊兎は大きな口を開けて笑い、山源は言葉を失い、陈莉は持っていたお茶を落とし、红京は体を背ける――。
こちらを見る温花があまりに真っ直ぐすぎたためこの言葉は嘘ではないこと――。
かっこいいというざっくりなニュアンス、それは俺も含まれるのか――?
こんなことを考えてしまった自分にさらに動揺してしまい、自分の感情に追いつくことができない――。
華辉「な、なんだそれは…。わ、わかった。その可愛い友人に会うのはしばらく控えてくれ…」
温花「可愛い友人がお稽古から逃げ出さないようにお伝え願います」
こちらを覗き込む温花は眉間にシワを寄せ、勢いよく振り返りプンプンと怒っている様子だった――。




