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終わりと始まりの花【本編】  作者: はな
温花【後宮編】

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53/122

枯れた花


  北の地から隊列を作り宮中へとの帰路、温花(うぇんふぁ)は荷物車には乗らず、列の後ろの方で静かに歩いている。

 

 楊兎(やんとぅ)「なーんか温花(うぇんふぁ)元気ないよなー」

 红京(ほんじん)楊兎(やんとぅ)将軍が元気にしていれば温花(うぇんふぁ)も元気になります」

 楊兎(やんとぅ)「ん?どういうことだ?(笑)」

 

 楊兎(やんとぅ)将軍を心配しているから、だ。

 とは本人には言えず――。

 温花(うぇんふぁ)は淡々と侍女の仕事をこなしていた。

 

 華辉(ふぁほい)様と何を会話すればいいのかわからない様子で温花(うぇんふぁ)様は硬くなってしまっている。

 静かな温花(うぇんふぁ)を見て陛下は不満そうだ。

 温花は妃として陛下から気に入ってもらっているが……それが無くなればあの後宮での立場は無くなってしまう。

 

 そんな温花(うぇんふぁ)は隊列の流れに乗らずに立ち尽くしてしまった。


 楊兎(やんとぅ)「――红京(ほんじん)、俺ここから離れられなくてさー。温花(うぇんふぁ)回収してきてくれる?」

 红京(ほんじん)「はい」


 温花(うぇんふぁ)は一輪のその枯れた金銀花スイカズラ)を見ていた。これは行きに見た金銀花だ。


 红京(ほんじん)温花(うぇんふぁ)、侍女の仕事は慣れましたか?」

 温花(うぇんふぁ)「うん」


 前の温花(うぇんふぁ)なら侍女の仕事のあれこれを話してくるはず。ただ返事するだけでそれ以上の会話がない。侍女の仕事に疲れているだけではない気がした。


 红京(ほんじん)温花(うぇんふぁ)、疲れているのなら休んでは?陛下は許してくださるはずです。それに温花(うぇんふぁ)は現代に戻れば命の危険は無くなりますよ」

 温花(うぇんふぁ)「向こうとこっち――。向こうから逃げてきたから、もうこっちで逃げたくなくて」


 温花(うぇんふぁ)は現代から逃げてきた――。

 その目は光が無く、目の前にある枯れてしまった金銀花スイカズラ)のようだ――。


 綺麗に咲いていたはずの花がこんなにも枯れてしまうなんて――。

 

 温花(うぇんふぁ)が目線を落とす先にある枯れた金銀花スイカズラ)を思わず摘み取ってしまった――。


 温花(うぇんふぁ)「……綺麗なときに、見てもらえなきゃ……意味ないよね」


 静かに歩き始めた温花(うぇんふぁ)が恐ろしく感じた。この世にもあの世にも執着していないから歩き続けてしまうこの花に俺はどうすればいいのかわからないまま――。


 金銀花スイカズラ)の枯れた花びらは風に攫われてしまった――。

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