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終わりと始まりの花【谢国復路編突入】  作者: はな
温花【後宮編】

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現代と華国の負け✿

◇いつも見てくださる方、最新話から楽しんでくださる方も、本当にありがとうございます!

◇執筆・なろう共に初心者ですが、一話一話大切に書いております。温かい目で見守っていただけると嬉しいです。



 桜華園おうふぁえん、墓場の屋敷には小さな調理場がある。

 そこで食事を作る。

 食事の時間になる前には温花うぇんふぁお嬢様は「いい匂い~。これどうやって作るの?」と興味津々で覗き込む。料理は苦手なのか、手を出すことに躊躇しているのか、私を見守ってくれているのか――。

 私の侍女としての立場を守ってくれている距離を感じる。

 

 だけど――。

 今日は着飾って散歩に出かけてしまった。

 もしかして宝玉のお兄さんのところへ逢引きに行ったの――?

 まさか、それは早すぎる――。


 あれほどわくわくした様子で出かけたお嬢様は、顔に色はない。フラフラと屋敷へと戻ってきた。何があったのか、どこへ散歩に出かけていたのか。

 煮込んでいた鍋の火を止め、お嬢様のところへ向かう。


 陈莉ちぇんりぃ「おかえりなさい!どこに行かれていたのですか!?」

 温花うぇんふぁ「ただいま〜」


 温花うぇんふぁお嬢様が椅子に崩れるように腰をかけ、天を仰ぐと同時に低い声が囁かれる――。


 「折角希望の品を届けたのに浮かない顔だな」


 温花うぇんふぁお嬢様は驚いた様子で顔をその人物に向ける。

 

 「池のときとはまた違った装いだな。水色も似合うのだな」

 温花うぇんふぁ「はい」


 全く力の入ってない返事を温花うぇんふぁお嬢様が返すので、こちらが驚いて持っていたお茶を落としてしまった。


 「なんだその顔は」

 温花うぇんふぁ「本当にこれ全部もらっていいのですか?」

 「嬉しくなさそうだな」

 温花うぇんふぁ「嬉しいですよ。カビだらけの寝台で寝なくていいですし、綺麗な桜が咲きそうですし」

 「ではなんで浮かない顔になるんだ」

 温花うぇんふぁ「だって〜……」


 これ以上の無礼は本当に命に関わってしまう――!

 

 陈莉ちぇんりぃ「だ、だ、だって?!」

 

 急いで温花うぇんふぁお嬢様のところに行こうとするとあのお方は目で動くな、と合図を出してくる。この命令に侍女の私が背くわけにいかない――。


 そんな様子を見てあのお方は呆気に取られたのか大きな笑い声が屋敷に響く。


 「さすが噂の墓場の変人」

 温花うぇんふぁ「……噂ですか(笑)」

 「噂の変人は、何かお困りごとでも?」

 温花うぇんふぁ「手紙の書き方がわからないんです〜」

 「手紙?」

 温花うぇんふぁ「何か感謝の気持ちを伝えたいのだけど、お金を持ってるわけでもないので」

 「ふっ(笑)金に困っていたのか。この家具売れば金になるぞ?」

 温花うぇんふぁ「頂いたものを売るなんて。そんなことはしませんよ。あたしができるのは手紙を書くことくらいしか思いつかなかったので」

 「墓場の変人は他人に頼ってばかりだな(笑)」

 温花うぇんふぁ「墓場の変人は下級妃なので、頼るしかできないんですよ――(笑)」


 黒と金の衣に身を包む威厳ある整った顔の人物は笑いが堪えられないのか、笑い続けている。温花うぇんふぁお嬢様は机に項垂れて力が入らない様子。二人で散歩に出かけてこのようになったのか――?

 

 もうこちらは胃に穴が開きそうだと言うのに――。

 

 温花うぇんふぁ「あ……ほんとだ……(笑)」


 まさかの温花うぇんふぁお嬢様が驚いていた。

 そんな様子を見てあのお方はお腹を抱えて笑う。

 

 ”現代の世界では誰かに頼ることは「負け」、謝ることは「負け」だった。

 強くいないとだめだと気を張っていた。

 ずっと一人だった。

 

 でもここでは気を張ることはしなくて自分の気持ちには素直になって、誰かに自分を助けてもらう。

 本当の自分を知ってもらうこと……大丈夫かもしれない――。”


 温花うぇんふぁ「後宮知らないことばかりだから、誰かに頼るしかなくて……」

 「皇太后への謝罪は確かに必要だな」

 温花うぇんふぁ「そっか……皇太后様と、医学館にも手紙書かなきゃだ……」


 ――今騒動になっている薬味瓶の中身についての謝罪をするつもりだと思っていた。

 誰に手紙を書くつもりだったんだ……?!(笑)

 

 俺のことを鯉の餌やりをできる暇人と思っているのか?

 墓場の変人はカサカサの筆を持ち、こちらを見て助けを求めている。

 この小娘を遊ぶのは本当に楽しい。


 「わかった。その代わり、墓場の変人は何をしてくれるんだ?」

 温花うぇんふぁ「何がいいですか?」

 「そうだな、大人の関係――」


 墓場の変人の顎を手でそっと持ち上げ、顔を近づける。

 これで下級妃の女を脅せば、顔を赤らめて震えるだろう。


 簡単に手に入る、はず。

 さて墓場の変人はどんな顔をして――。


 温花うぇんふぁ「……わかりました」


 まさか――。

 艶やかな瞬きをし、袖を柔らかく持ち、首元で静かに喋る。

 他の妃のつけるお香とは違う、ほのかに香る「花」の蜜の匂い。


 「――失礼な女だ」


 俺が慌てて振り払うと侍女は急いで目を逸らし、足に力が入らなくなったのかしゃがみ込んでしまった。


 「墓場の変人は自信あるようだな」

 温花うぇんふぁ「自信なんて持ち合わせていないですよ。好きな人に染まってみたいとは思いますけどっ――」


 まさか笑っている?

 拒否されることが屈辱ではないのか?朕が誘って喜ぶどころか、冷たくあしらうとは――。

 これが計算のうちだと言うのか?

 いや、そんな利口な女には見えぬが――。


 本当にこの女は掴めん――。


 墓場の変人、温花は急に遠くを見て悲しそうな表情をしたかと思えば、お転婆娘の顔に戻って笑っていた。

 こんな自由奔放な女は……皇太后以外に見たことが無かった――。

 自由奔放は権力を握って、自分の思うがままに周りを巻き込む。

 自信に満ち溢れた女がすることだと思っていたが、そうではないらしい。

 

 墓場の変人の好きな人が「皇帝」だとは言っていなかった。

 後宮にはよくある話だ。

 家のために感情を押し殺して皇帝の元へ。そんな女が壊れていくのも見たことがある。


 ――ただ、好きな人が居るとも言っていない。


 後宮に来る女は俺を見て皇帝だとすぐ認識し、媚びる。

 皇帝だと言わなくともこの装備を見て落ちない女はいなかった。

 

 墓場の変人は全く俺に興味が無さそうで――。

 この女は何をすれば興味を持つのだ。何が欲しいと言うのか。

 顔でも、豪華な衣でも、高価なお香。桜の木、屋敷の名前でも。寵愛でもないというのか――。

 

 温花うぇんふぁが泣きついている筆の使い方、手紙の書く姿を見れば少しは尊敬するだろう。


 「分かった、手紙の書き方を教えよう」

 温花うぇんふぁ「さすが宝玉のお兄さんっ」


 もうすでに炭と紙を持って嬉しそうに立っていた。まるで受け入れてもらうこと以外ありえないように。その様子もまるで子供だ。

 妃は凛とした姿で達振る舞うことがほとんどだ。

 だが――この変人は。

 

 よく見ると衣には葉っぱがついていてまるで森にでも行っていたのか?

 筆を持ち、表情豊かな変人が先ほどの大人の顔ができるような女には見えん――。

 が――。

 先ほどの大人の女性、少女、子どもの表情をかき混ぜたようなあの艶やかで繊細で、掴んでおかなければ消えて行きそうな存在、顔はなんだったんだ――。


 どの顔が本当なんだ。

 本当の顔を見てみたい。知ってみたくて仕方ないのだ――。

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― 新着の感想 ―
何か結果的に皇帝をもてあそんでますねwww。皇帝も、自分に対する態度の違いで興味が沸いて、これは温花が皇后になる前触れ?陳莉にとっては、打ち首的な恐怖でしょうけど(笑)
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