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桜妃
宮中は騒がしく、華やかに彩られた色は「桜色」――。
春が来るにはまだ少し早い――。
これから開かれる大きな行事は突然決定された「王令」。
急な大仕事に宮中は殺気立っている。
突然、大きな舞台、華やかな装飾。
寝る間も無く仕事をこなす宮中の人々はこの命を失敗することは許されない。
まだ雪の残る宮中が桜色に包まれる。その先にある大きな舞台の先には――。
華辉「――ここに新たな妃。桜妃の制定をする」
桜色に包まれた妃の名は――。
「お妃様に花街の妓楼から身請けしたんですって!」
「信じられない!皇后様も、上級妃様たちもご存じなのかしら!」
「しかも特別な妃ですって!」
「新しく『桜妃』だなんて!」
「まさか皇帝陛下が妓楼遊びしていたってことなのか?!」
「どんな女が宮中に入ってくるか、見ものだな!」
鋭い目線の先が向けられる女の姿に誰もが言葉を失う。
冷徹な目で、この世の皇帝陛下の横に立つ女は美しい――。
白と桜色の衣に映える幸運をもたらすと言われるターコイズ色の腰紐が目を奪い、その上に見える白い肌と春色の口、長い髪は風と桜の舞う中で風のように靡く――。
その女を宮中の人々はただ見上げることしかできなくなった――。




