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01 私の押し、ウォルド様
私には押しがいる。
それはウォルド様だ。
そこにいるだけで尋常ならざるオーラを発し、喋るだけで数多の女性をメロメロにするあのウォルド様だ。
ウォルド様は、ヒロイック・プリンスというゲームに出てくる、私の推しキャラなのだ。
そんなウォルド様のいる世界に、私は何の拍子かすってんころりん。
うっかり異世界転移してしまった。
てんやわんやのナンジャコリャになっていた私は、散々奇行を繰り返し、人様に迷惑をかけた後に投獄。あれよあれよという間に灰色の未来予想図が完成していた。
しかし、天は私を見放さなかった!
私がぶちこまれた牢屋には、何とあのウォルド様がいなさったのだ!