59.俺たちは、もう無敵だ
俺とミアは、恋愛パワーにより、更に強大な力を手に入れた。今の俺たちの前では、どんな奴らでも敵ではない。モンスターの位置は、もうすべて把握済みだしな。俺たちは、もう無敵だ。残りのモンスターも、簡単に倒すことができるだろう。だが、新たな問題も発生した。俺たちは、この力を手に入れたことによって、モンスターたちの人生観、気持ち、感情、どういう生き方を歩んでいたかまで、手に取るようにわかってしまったのだ。
俺はミアと彼らのことについて話し合っていた。
「ミア、モンスターの位置はすべて分かった。けど、」
「けど、モンスターたちの感情が手に取るようにわかる、そう言いたいんでしょ?」
「ああ。特にあのキャサリンとかいうモンスター。彼女は無害だ。」
「私も同じことを思ったわ。彼女は人間と共存できるかもしれない。」
「でも、どうする? 彼女と一緒に住んでいるチャーリーとかいう男。彼は根は良い人なんだろうが、これがバレたら大問題だぞ。中年の男と、見た目が中学生の化け物が共同生活を営んでいるわけだからな。」
「それは、そうね。でも、もしそうなったらその時はその時よ。」
「何からしくないじゃん。」
「そんなことないわよ。」
ミアはいつもは主張が論理的で一貫している。その場しのぎで動くことはあまりない。だが、今日の彼女は違った。これも恋愛による心境の変化だろうか。
「まあ、とにかく彼女のことは後回しにしましょ。残りの奴らか考えようよ。」
「ああ、エイザって女は人間を恨んでいる。気持ちは分からないでもないが、目的が人間を絶滅させることになってしまっている。まずは彼女と決着をつけるか。」
「賛成よ。」
俺たちは、エイザのもとに向かった。
「ルーカス、ミア、お前らがなぜここにいる?あたしの邪魔をするな。」
彼女は目を血眼にして襲い掛かってきた。俺は彼女の身体を蹴り飛ばして、剣を突きつけた。
「お前の気持ちは分からないでもない。誰でも家族を殺されれば、恨みが発生するのは当然だからな。だが、お前が今まで殺してきた奴らも、誰かにとっての大切な家族なんだ。もう人間を殺さない、そう約束できれば見逃しても良い。」
「は? そんなことできるわけないでしょ。人間は全員滅べば良いのよ。あたしの目の前から消えろ。」
「すまない。」
俺はそう言うと、抵抗するエイザに向かって、とどめの剣を振りかざした。
これで新たに一体のモンスターが消えた。やはり、今の俺たちは無敵だな。
「次はどうする?」
「そうね。イザベラって奴の相手をしましょ。例え、凶悪犯や犯罪者だけを狙っていたとしても、彼のやってることは立派な犯罪だわ。」