5.へぼスキルも使いようだな
占いという手法によれば、レベル2のモンスターはここから東南60kmの水辺に一極集中している。俺たちはその場所に向かった。なるほど確かにそこにはレベル1より強そうなモンスターが何体もいる。俺とミアは華麗な剣裁きで彼らを一体ずつ倒していく。その時、向こう側から何人かの人影が迫ってきた。
「よお、久しぶりじゃん、ルーカス。それにミア。」
そう言ったのは、ジョセフ。俺たちを勇者パーティーから追い出した集団だ。どうやら俺たちは彼等よりも早くレベル2のモンスターを見つけることに成功したらしい。へぼスキルも使いようだな。
「とりあえず、ここは協力してこいつらを倒そうぜ」、俺が彼らに呼び掛ける。
「誰がパーティーから追放された奴らに協力なんかするか」とジョセフ。彼らは俺を残して去っていった。俺は目の前に何十体といるモンスターを引き続き片っ端から切りつけていく。ミアもさすがの剣裁きと凄まじい身体能力を見せつける。痩せ細った身体からは想像もできない卓越した運動神経だ。
一方、ジョセフたちはルーカスのことについて話し合っていた。
「なあ、やっぱりあいつのこと追放する必要なかったんじゃないか。」とイーデン。
「確かに。実際、さっきのモンスターを見つけるのだって私たちの方が遅かった。意外と役立つスキルだったんじゃないかしら、占い」とオーロラ。
「いまさらそんなこと言っても仕方ねぇだろ。それに、俺らはルーカスとは違って有能だ。」
あくまで強気な態度を示すジョセフ。暗に、ルーカスは自分たちより無能だ、というニュアンスが含まれている。モンスターを倒すとそれなりの報酬がある。強いモンスターを倒すほど、元々のスキルの能力が上がっていくのだ。よって、俺たちが世界を変えるためにはジョセフたちより早い速度でモンスターを倒していく必要がある。ここまでは何の問題もなくクリアしたが、問題は次からだ。レベル3からは先ほどのモンスターのように一極集中していないのだ。