48.余計な邪魔が入ったな。ここは潔く退くか。
残るモンスターは、あと3体。俺たちはその中では一番弱いと思われるモンスターを追いかけていた。俺たちというのは、この天才勇者鬼頭流星、もといルーカス。それから、ジョージ、ビクトリアの3人だ。それに、1羽の鳥。そう、アスカだ。ミアはと言えば、今日は同行していない。足のけがのこともあるからな。俺が朝教室に入ると、足に包帯を巻いた状態の彼女が俺の方を見てきた。
「大丈夫か、何があった?」
「別に大したことじゃないわ。それより私が新たに一体のモンスターを倒したわ。」
「そうか。助かったよ、ミア。もう一体の雑魚は俺たちに任せろ。」
彼女は少し安心したような顔をした。
これが、今朝の出来事である。
そして、俺たちはモンスターを隅まで追い詰めた。俺が銃弾を放った。
その銃弾は、何者かに弾かれた。陰からオリビアが姿を現す。
「あんたたち、ちょっと見ない間に随分仲良くなったのね。でも、残念ね無能な勇者の迎える先は悲惨な結末よ。この世に勇者のグループは2つもいらないの。」
相変わらずの高飛車だな。自分以外の価値観を持つものに敵対心を持つ者はどの世界にもいるもんだ。
世界が再編成されても、やはり性格の悪さはまだ健在だな。
まあ、とにかく今回は余計な邪魔が入った。ここは潔く退くか。
「ああ、分かった。ここはいったん退いてやるよ。お前らにそいつは譲ってやる。」
「え?ちょっと、ルーカス?」
ビクトリアが不安そうな瞳で俺を見上げる。
「大丈夫だ。世界は確実に俺の望み通りに動いている。」
俺はそう言って、その場を颯爽と立ち去った。
「ちっ。何なんだよ、あいつ。舐めやがって。ジョセフが怒りを露わにする。」
オリビア、オーロラ、ジョセフ、ジャック、イーデンの5人は、その後俺が譲った獣を倒したようだ。
これで倒したモンスターの数は4対4になった。これからが、勝負ってとこだな。
まあ、勝負は面白い方が楽しい。そろそろ俺も本気を出すとするか。