45.やっぱり、ラブコメって難しいな
俺は今、ミアと共闘している。
帰り道、たまたま人を襲うモンスターの姿を発見したからな。
今度のモンスターもなかなか面倒な奴だ。
奴は実態を持たないのだ。
ミアが剣で切りつけても、俺が銃を何発撃ち込んでもそれは獣の身体を簡単にすり抜けてしまう。
あらゆる攻撃も全く効果がない。
それに、奴は実態がなくても、相手を意のままに操る力を持っているらしい。
奴が腕を上げた瞬間、俺の身体は宙に舞い上がった。
まあ、トップクラスの運動神経を誇る俺のことだ。すぐに体勢を立て直し、素早く地面に着地したがな。
そして、奴は、ミアの足元も救った。
足元を救われた彼女は、危うく転びかけた。
宙を舞う彼女の身体を、俺は反射的に受け止めた。
意図せずお姫様抱っこをした形だな。
彼女は若干視線を落としていった。
「だから、余計なことしないでよな。恥ずかしいじゃない。」
「え、いや、これは。」
「あのくらいなら自分の力で着地できるわ。勇者に変身した時の私の力を見くびらないでくれるかしら。」
たまには格好良く振舞うチャンスだと思ったのに、ミアにとって俺の行動は余計だったとは…
やっぱり、ラブコメって難しいな。
しかし、敵は新たに増えてしまったな。
人の身体を移動できるモンスターだけが特別だと思っていたが、たった今取り逃がしたモンスターもなかなか面倒だな。
そうこうしているうちに、新たな通知が入った。
何でも、ジョセフたちがまた新たに一体のモンスターを倒したということだ。
これで倒したモンスターの数は3対3のタイ。
ここからが腕っぷしの見せ所だな。
まだ生き残っている攻略難易度の高いモンスターを片っ端から倒していけば、ジョセフたちより多くのモンスターを倒し、ステージ5の世界観の大枠を俺が自分の手で作れるってわけだ。