43.どういう急展開だよ、これ
あの事件の後、俺とミアとの関係は一変した。
いや、俺とミアの関係というよりかも、ミアの俺に対する接し方が一変したのだ。
何よりも、距離が近くなったのだ。
良く話しかけられるし、冷たい態度を取られることもなくなった。
何よりも、彼女は以前よりも可愛くなった。
というのは、この俺鬼頭流星、いや、もといルーカスが勝手に思い込んでいるわけではない。
彼女は明確に垢ぬけた。
もともと家庭環境に恵まれていなかった彼女は、そこまで身なりを気を遣う余裕はないはずだが、それでも彼女なりに見た目を磨くようになっていた。
それが相当な努力であることは傍目から見ても、すぐに分かった。
そして、表情も変わった。
目つき1つとっても美しくなった。
形容すれば、そう、まさに恋する乙女といった感じだ。
気づけば俺は彼女が魅力的な高校生だと思うようになった。
こんな感覚は初めてだった。
これがいわゆる、恋なのだろうか。理屈ではなく直感的に運命を感じる感覚。
毎日がわくわくして、足が軽い。
俺も徐々にファッションに対して気をつかうようになった。
俺は今まで自分の身なりにそこまで気を使ったことはなかった。
なぜかというと、そんなことをしなくてもそこそこ見た目が良かったからだ。
だが、身なりに気をつかうようになると、自分も1日をより良い気分で過ごすことができるようになった。
俺もミアと同様に、見違えるほど垢ぬけるようになっていた。
俺とミアが恋愛感情のようなものに影響されるなんて、おいおい、どういう急展開だよ、これ…