41.どんな世界でも、いじめは付き物だな
俺の名は鬼頭流星、いや、もといルーカス。
自分で言うのも何だか少なくともこの世界においては一番優秀な勇者だ。
このゲームは今のところすべて俺の思い通りに動いている。
ステージ4~6のステージを難なく、クリアし、デビルという名の最強の魔王を倒し、将来この世界を統治する魔王として君臨するのは紛れもないこの俺だからな。
ステージ4をクリアするには、2つの条件を満たす必要がある。
1つはこのステージの9体のモンスターを倒すこと。
もう1つは、ラブコメを進行させることだ。
モンスターの方は俺の計画通り順調に倒すことができている。
おそらくジョセフたちより早く多くのモンスターを倒すことができるだろう。
しかしながら、問題はラブコメの方だ。
何しろ俺には全盛においてもまともな恋愛経験というものがないからな。
俺にとっては、男も女も皆同じ「人間」という種族にしか見えなかった。
だが、少なくともこの世界のミアには特別なものを感じる。
これが彼女が変わっているからなのか、勇者として優秀なのだからか、それとも俺自身が。彼女に対し好意を持っているためなのか、俺にはわからない。
だが、最近少し引っかかることがある。
それは、「ア5人衆」たちの動きだ。
いや、ジビアはいつの間にかそこから席を外されていたので、「ア4人衆」と呼ぶべきか。
彼女たちは最近、ミアに対していじめのようなことを行っている。
彼女たち自身はどう思っているのかわからないが、俺の目から見れば明らかにいじめだな。
机に「死ね」、「ブス」、などの悪口を書く、容姿や服装をいじる、集団でシカトする等々…
もはや嫌がらせだとしか思えないレベルだ。
どこの世界でもいじめは付き物だな。
しかし、ミアは彼女たちのいじめを微動だにしなかった。
そんなことなど気にかけている様子もない。
余程メンタルが強いのか、いじめられなれているだけなのか、本当は心の奥で深く傷ついていないのか、それとも極端に鈍感なだけなのか、俺には判断がつかない。
最初は悪口だけにとどまった彼女たちのいじめも、徐々にエスカレートしていった。