39.芽生えたライバル心
女というのは怖い生き物だ。表では良い顔をしていても、裏ではどんなことを考えているかわからない。悪く言えばルーカスのおかげで、複数の女子の人間関係の間に亀裂が入った。
主に「ア5人衆」とミアとの間にである。
アシリアはあっさり告白を断られたものの、まだ彼のことを諦めきれてはいなかった。
当たって砕けろタイプの彼女が過去の恋愛を引きずるのは珍しいことである。
それだけ、ルーカスという男に対する思いは特別なものであった。
アシリアは自分の運動神経に絶対的な自信があった。
だから、彼女よりも弱い男には興味がなかった。
運動神経が抜群の男ですら、彼女の前では敵にもならないこともしばしばあった。
しかし、ルーカスという男の運動神経は特筆すべき暗い卓越していた。
彼女は、並外れた運動神経を持っていた彼に惹かれた。
それが彼女が彼に興味を抱いた最初のきっかけだった。
接していくうちに、彼はそれ以外にも魅力的なところがたくさんあることが分かった。
ソフィアは、富に興味がなかった。
自分自身が上流階級の家庭に生まれ、何不自由なく暮らしてきた彼女にとって、それは非常に退屈な生活だった。
一般庶民の目から見ればとてもぜいたくな悩みに映るだろう。
だが、庶民の気持ちが分からないことも彼女の悩みの1つだった。
そして、彼女自身も質素な暮らしをしている人が好きだった。
質素な上長所がたくさんあるルーカスという男は、彼女にとってとても魅力的だった。
ジビアはルーカスに最初に誘われた時、彼が自分自身に対し恋心を抱いていると錯覚した。
しかし、それは誤解であることは直ぐに分かった。
そして、自身が彼に対して予想以上に好意を抱いていたということも。
ジビアは今まで周りの人間に対して興味がなかった。
大して面白くもない連中と無意味につるむよりかは、空想な世界である本の中に逃げ込んだ方がよほどマシに思えた。
そんな時に視界に入ったのが、ルーカスという例の男。
彼ならばこのつまらない世の中に一縷の望みをもたらしてくれると思えた。
そして、最後にサファイヤだ。彼女は大勢の男を片っ端からたぶらかしていた。
彼女のじゅつちゅにはまれば、どんな高スペックな男性も意のままに操ることができた。
だが、ルーカスというあの男は、女としての彼女に一切興味を示さなかった。
そのことが、余計にサファイヤの心に火をつけた。
「絶対にうちの魅力を彼に伝えて振り向かせてやる」、彼女はそう思った。
「ア5人衆」の中に、明確なライバル心が芽生えた。