25.ミアって、こんなキャラだったか
俺たちが駆け付けた場所では、ミアがモンスターと孤軍奮闘していた。
剣裁きは見事だが、モンスターもそれを器用にかわす。
さすがはレベル4だ。
今までの奴らのように一筋縄ではいかないな。
ミアがもう一度剣を振りかざした時、モンスターが消えた。
いや、獣は彼女の剣の中に入ったのだ。
剣も銀色だからな。そして剣から出てきた奴は、ミアに真正面から殴り掛かった。
俺は反射的に前に出て咄嗟に彼女を守った。
銃をモンスターの口の中に突っ込む形で。
ミアは少し驚いたような表情をした。
「あなたも勇者だったのね。でも、手出ししないで。奴は私が倒すわ。」
次の瞬間、獲物は目の前から姿を消した。
「ちっ、逃げられたか。」とミア。
俺は彼女の言動に違和感を感じた。
ミアって、こんなキャラだったっけか。
前の世界ではもう少し優しくて、協調性があった筈...
だが、気になることもある。
彼女がそのような態度を見せるのは、俺といるときだけなのだ。
他の奴らといるときは、普通のミアだ。
「ミア!」
俺は恐る恐る彼女に話しかけた。
「何よ?」
「もし良ければなんだが、俺たちと協力しないか?」
「べ、別に良いわよ。あんたがどうしても私の力が必要だってのなら、仕方ないわね、その、付き合ってあげるわよ。」
彼女はそう言って俺から目を逸らした。
何なんだ、これ。
まだまだ気まずい空気は当分続きそうだ。
俺たちとミアは再び手分けしてモンスターを探すことにした。
一方、ジョセフたちはミアが一度取り逃したモンスターと対峙していた。
ジョセフが銃を乱射すると、モンスターは姿を消した。
いや、鏡の中に身を潜めたのだ。
しかし、ジョセフたちにそのことを知る術はない。
「どこに行きやがった、あのモンスター」
「落ち着きなさい、あなたらしくないわね。」
「オリビア、俺はルーカスという男にだけは先を越されたくない。あいつも、俺らと同じ勇者なんだ。」
ジョセフたちは獣を逃したことに動揺を隠せずにいた。