17.ラブコメの世界か、面白そうだな。
俺の希望通りに世界は再編された。
かくして、俺の華々しい高校デビューが幕を開けたわけだ。
俺は記憶を引き継いだが、俺以外のメンバーは記憶がリセットされた。
だが、本来の性格まで書き換えられたわけではない。
俺とミアは同じクラス、2年3組になった。
ジョージとビクトリアの奴は2組に行ってしまったがな。
そして、オリビア、オーロラ、ジョセフ、ジャック、イーデンの5人は1組だ。
前の世界の自称勇者パーティーのメンバーが全員1組だなんて偶然にしてもできすぎているな。
これがラブコメの世界か、面白そうだな。
最初はそう思っていた。だが、この世界が俺に新たな悩みをもたらすことになる。
ジョセフたち、勇者パーティーのメンバーはやはりこの世界でもすぐに仲良くなった。
まあこれは予想通りだな。
だが、ミアはこの世界では、とてもみすぼらしい服を着ていた。
さらに、すれ違いざまに俺の顔を睨みつけるのだ。
「何でそんなに睨みつけるんだ? 俺が何か悪いことしたんか?」
自分で言うのも何だが、俺は勉強、運動、音楽、ゲーム、これらすべての分野において万能だ。だが、恋愛という土壌については全くの素人だ。
男女間の駆け引きなど、さっぱり分らん。
俺は最近、毎日のようにさりげなくミアの様子を観察していた。
周りの女子たちは皆裕福な服装をしている。
ミアだけが、自分の好きなように御洒落をしたりすることも叶わずにいた。
バイトをしても、すべて学費に使ってしまうのだ。
彼女の家はいわゆる貧困層なのだろう。
周りの女たちは、彼女の服装をバカにしていた。
ルッキズム至上主義にとらわれた、醜い女たちだ。
この世には経済状況や、環境に恵まれておらず、外見を磨く余裕すらない人間もいるとうことを全く分かっていない。
環境や才能に恵まれず陽の当たる道を歩けない人もいるというのに。