少年時代
「彼らは何もしなくてもこちらへ向かってくる。そして、オーラ。」
「はい。」
「彼らは君を仲間に入れようとしてくるだろう。ケンが仲間に入ったことで、その可能性は更に高まった。」
私はカイラが消息を絶ってから彼らの監視役に1人幹部を派遣した。
グランがこちら側に付かないと分かった今、敵対パーティーは早急に消す。
奴らが船の中にいるうちにな。
「負けるなよ。」
「…ッ!はい…。」
さて、散歩でも行くかな。
「ルミナさん、あなたを疑うわけではないんですが…どうしてそんなことを知ってるんですか?」
俺はそんな噂、1ミリも聞いたことが無い。
「風の噂ですよ。向こうの大陸ではかなり悪名高い組織ですから」
「そういうものなんですかね」
でも…なんでそれを俺に?
「貴方は黒髪だったので、なにか関係があるのではと。貴方は私を疑わないとおっしゃいましたが、私は疑ったまでです。」
彼女は手を口元に持っていき、控えめに笑う。
なるほど。カマかけられたわけか。
この人、頭もキレそうだ。カマロさんにその頭の中身分けてあげてほしい。
料理を取り終わったので、二人で席に戻る。
「おまたせー」
「よし!食うか!」
結局俺が持ってきたのは和食中心。
ご飯にみそ汁、あと牛すじの煮込みがあったから持ってきた。
納豆が食べたかったが流石になかったので、お漬物で我慢。
「いただきます」
手を合わせ、食事を始める。
食べながら会話も楽しむ。
大人数ならではの会話が途切れないこの空気。
俺は結構好きである。
この感じ、小学校の給食を思い出すなあ。
小学校6年生の初め頃にも不登校になっていた俺は、クラスの中では『たまに来る珍しい人』という扱いを受けていた。
そのため、学校に行けば誰かしらが声を掛けてくれる環境だった。
「お!今日はシンヤ来たのか!休み時間サッカーしようぜ!!」
この子は学校外でもよくウチに遊びに来たりして、仲のいい友達だ。
サッカーがあまり得意ではない俺にもパスを出してくれるイイ奴である。
「せんせー!!シンヤ君と喋りたいので席移動させてもいいですかー??」
給食の時間になると、彼はいつも俺の机の近くに自分の机を移動させてくる。
俺はそれがたまらなく嬉しかった。
給食が配膳され、席に着く。
小学校あるある・『全員一緒のいただきますの号令』を済ませると、5分間の『もぐもぐタイム』が始まる。
これは最初の5分は喋らずに食べましょうね、というものである。
この5分間には絶対に牛乳を飲んではいけない。
なぜなら…
「ブッッッ!!!!」
今日も犠牲者がいるようだ。
必ず変顔で笑わせてくる奴がいるのである。
沈黙した空気の中上手い奴の変顔を食らってしまうと、まず『死』である。
俺も何度ランチョンマットを牛乳に浸してしまったか分からない。
「ハルキ、お前はあーゆうことやんないよな」
「だってやったらやり返されるじゃん」
冷静だな。
「そこー、喋らないのー。」
「「ごめんなさーい」」
そんなこんなで5分が経つ。
時計の針が12時45分を指した瞬間、教室は混沌と化す。
「なあなあ、また今度お前んち行ってもいい?」
「いいけど、最近来すぎじゃない?」
「えー、だってお前の家ゲーム機いっぱいあるんだもん」
我が家には某ゲーム機が1から4まで揃っている。(当時は4が最新だった)
いつもは1人で淡々とやるゲームも、友達とやれば面白さは2倍やそこらではない。
「じゃあいいよ、今度の4時間授業の日な」
通常6時間ある授業が、稀に4時間で終わる場合がある。
その理由は先生の出張や行事の前だからなど様々だが、生徒のテンションがブチ上がるということには変わりない。
給食の時間が終わり、昼休み。
今考えると食後に走り回るとかバカだろと思うが、小学生にはそんな事関係ない。
「いいぞシンヤ!そこで打て!!」
ぎこちないドリブルをしながらシュートの体制に入る。
お世辞にも強いとは言えない俺のシュートは、枠外へ外れゴールの奥に転々としていった。
「あー、惜しい!次絶対いけるよ!!」
ハルキはサッカー未経験の俺にボールを集める。
気持ちは嬉しいのだが、これでは他の人が楽しくないのでは…。
「下手なのが嫌なら、上手くなりゃいい。オレはそれを手伝ってるだけだぜ。」
この言葉は今でも俺の中に強く根付いている。
当然のことを言っているようで、真理だ。
彼は俺とは別の中学に進学したため、今何をしているかは知らない。
元気でやってるといいな。




