表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

(4)

次で完結です!

ドキドキしながらお読みください。

そう、この道化師は女性みたいだ。

道化師は道化師だから、性別なんか意識していなかったが、化粧を落とし衣装を脱げば、そこには一人の人格があるわけだ。

素体にはもちろん、性別がある。


ということは、だ。


今、僕は自宅に女と二人。


母親以外の女と二人。


僕の下腹部の奥に、澱んだ熱の気泡が湧きあがった。思わず生唾を飲む。


やめよう、こんなことを考えるのは……。

僕は、道化師が、男か女かなんてさっきまで気にもかけてなかったじゃないか。


そうか、じゃあ僕は女の脚の間から家に帰ってきたんだ。通り抜けてきたのは、女の股ぐらの間だった……ああ、やめだやめだ。

性別のことは、考えるな。


熱の澱みは身体のうちに留まり、なかなか消え去っていかない。

僕はその熱を逃がそうと、頭の中で連立方程式の無機質な佇まいや、数字と英字が織りなす味気ない大行進への想像を働かせていた。



「このたわけが!」



突然、道化師が叫んだ。真っ赤に塗りつぶされた唇が、大蛇のように耳まで裂けた。


僕は驚き慌てて、思わず、尻餅をつく。

どういうことだ。こいつはよみうりランドの従業員じゃないのか。

お客の僕にたいして、なんという口の利き方を……。



その時、僕はやっと気づいた。道化師は、母親だった。


そうか。あの手紙を読んだ母親は、僕が今日死んでしまおうとしていることを知った。

そこで、僕のあとをつけたか、もしくは僕が小倉優子に心奪われていたことに勘づいていて、よみうりランドにあたりをつけたのか。


詳しい経緯はわからないけれど、とにもかくにも、よみうりランドに先回りし、道化師に姿を変えて潜伏した。

そして、わざと一緒に時空の裂け目に巻き込まれ、僕を家に連れ戻したのだ。


つまり、僕は、母親に欲情してしまっていたのか。

白塗りの化粧けわいで、どこぞの他人の女かと思い込んでいたばっかりに。

全て、母はお見通しだったのだ。

つづきます!

次で最終話^_^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ