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少しズレた王子と少しつれない(けど内心よく喋る)令嬢の求婚話(?)

物語にすると全く何書くか迷ったので、各話に別けました。



「カミア! 俺と結婚しろ!」

……そう乱暴な手付きで、鬱陶しげな表情をした令嬢に指先を突きつけた王子。最早この光景は見慣れたものである。その王子、本名はヘルモット・クラーク。……非常に残念な性格のこのバレッド王国の第2王子である。そんな王子に心底鬱陶しげに盛大な溜め息を吐いたのは侯爵令嬢、本名はカミア・ナターシャ。

「ヘルモット様、いい加減にしてくださいまし。これで何度目ですの」

令嬢は少し素直すぎるようです。

「俺の事はヘル様(♡)と呼べ!」

王子は少しズレているようです。

「御遠慮いたしますわ」

「いつもの如く素直だな!」

「質問の答えを返してくださいます? ヘルモット様」

「有に100は越えている!」

(そこは笑顔で言うところじゃないわ、王子)

「なら、もう少し学習効果を身に付けてくださいまし。迷惑ですわ」

(というかさっさと退いて欲しいのだけど……ていうかどうしたら婚約すっ飛ばして結婚なのかしら? アホなの? ねえ、アホなの?)

15歳から貴族のみが通う由緒正しき全寮制の学園に入学して早半年。この状況になってもう見慣れたものである。

そんな少しズレた王子の求婚(?)を断り続けている少しつれない(けど内心よく喋る)令嬢の受け入れるまでの話。



+令嬢の一言+



いつもの日常、いつもの言葉。

「カミア! 俺と結婚しろ!」

令嬢はいつもの通り鬱陶しげに口を開いた。

「御断りしますわ」

それでも王子はいつもの通りめげない精神の持ち主の様です。

「うむ、いつもの如くブレないな! さて、今度また来る」

(来るよりも来ないで欲しいんですけど………。……?)

令嬢は内心首を傾げていました。

(いつもはもう少し粘るのに…)

令嬢も少しは意識しているようです。けれど、

(違う…)

すぐ否定をしました。

唇を噛み締めた後、令嬢は何か呟きました。


「────」


足音がした。


*


(可怪しいわ……)

令嬢は少し焦っていた。いや、拗ねているとも言って良い。

「……へる、モッと、様……。…っ!」

(……にを言って…あのアホの子だなんて、何を考えてたのよ)

「…つまらない」

(日常が、)

「何だ、作戦成功だ!」

(…聞き覚え、ある、声……?)

「ヘルモット様」

令嬢は少し目を見開いてから王子は、

「俺と結婚しろ! それと俺のことはヘル様(♡)と呼べ!」

(それ飽きないんですのね)

見事に場の雰囲気をブチ壊した。

(それに、やっぱり気のせいだわ。こんな人、やっぱり所詮はアホの子よ。(一応)王子に失礼ですけど……。……けど、)

「……ん? どうしたカミア」

(やっぱり、なにも言いませんのね……)

令嬢は王子を見つめている。

「もしや、俺の告白が無い間俺のことを意識してくれたのか!?」

「あり得ませんわ。却下。断じて否定します。非現実的ですわ」

「ひ、酷い言い様……しかもいつにも増して」

(知りません。そんなの、分かりませんわ…)

(分からない……)

「とにかく、あり得ません。……ですけど、また入らして、頑張ってくださいまし」


───迷惑だなんて、もう言えないかもしれないわ。

───つまらない、だなんて……


✰令嬢は少し、真情に素直になった様です。



+誕生日の薔薇+



いつも一日に4~5回ことある毎に「結婚しろ」と少々俺様に宣言する王子。

(……頭でも打ったのかしら)

──令嬢の目の前に赤い薔薇の花束を差し出しているのは。

(それとも何か変なものでも食べたの? けど、この王子ならありえるわ……)

──令嬢は少し失礼だった。

「カミア、受けとれ」

(しかもあの俺様発言がないですって……?)

「申し訳ないけど遠慮するわ。そんな量の花束は貰えないわ」

王子は明らかにこの世の終わりの様な顔を露骨に表した。

「……貰うわ」

(何なのよ、その露骨さは…)

「! それは良かった。赤い薔薇108本と黒い薔薇だ! ありがたく受け取れよ!」

(いえ、不本意ですけど。あとありがたみもありませんわ。……というか何なんですの。今日は一段と変だわ。やはり頭を打ったのね、可哀想に)

「あの、ヘルモット様」

「何だ? それと俺はヘル様(♡)と呼べ!」

「それはどうでもよくて」

(鬱陶しい……それにしてもどうして108本の赤い薔薇と黒い薔薇を強調するのかしら。とてもじゃないけど理解出来ないわ)

「今日は何かあるんですの? それともただ単に頭を打ったんですの? 今すぐお医者様をお呼びしましょうか」

「カミアは素直だな! 普通なら不敬罪行きだぞ!」

(そこは笑顔で言うところかしら? まあ何故か本気にしないのだけど)

「それはどうも」

それから王子は後ろを向いて、

「これなら意味は伝わるよな!勿論── 」

「御断りしますわ」

(何故か断っておいた方が良いみたい)

令嬢は花の意味する言葉を知らなかった様です。その様子に気付かない王子も王子です。

「それじゃあな! また来る!」

「あ、はい」

(出来ればもう少し来ないで欲しいですけど───)

令嬢はチラリと花束を見て、

(ですけど、花は好きだわ。赤い薔薇の花束にチョコンとある黒い薔薇はちょっと好みかもしれないわね……少し薔薇にハマってしまったのかしら?)

一方、王子は、

(カミア……この意味が分かってるよな? カミアの誕生日のお祝いと───────……………)


✰令嬢は自分の誕生日を忘れていた様です。

また────、

108本の赤い薔薇の花言葉は「結婚してください」。

黒い薔薇の花言葉は「永遠の愛」「貴方はあくまでわたしのもの」「決して滅びることの無い愛」。

王子の意味する言葉は一体どれ何でしょうか。



+立場逆転?(誤解です)+



「カミア! 俺と結婚しろ!」

「いつも思うのですけど、いつもその台詞ですのね」

「気のせいだ!」

(いえ、気のせいでは無いわね、確実に。………)

「御用はそれでけですの?」

「まだ返事を聞いていないんだが!」

「申し訳ないですけど御免ですわ」

令嬢は完全無表情であった。

「その顔で言われると説得力がない!」

「それはどうも。それで他に御用は?」

「無いな!」

「そうですか。では」

令嬢は珍しく自分から話を切り上げ……様とした。向けていた背を元に戻してから、

「忘れていました。先日の薔薇のお礼ですわ」

「……?」

王子は何か何かと受けとると、令嬢はさっと背を向けた。

「偶然見つけたんですの。あげますわ」

渡したのは四つ葉のクローバーで。

(決して照れ隠しでは無いんですのよ……!)

「これを……俺に?」

「そう申し上げてますのよ!」

「さっきの態度、照れ隠しだった───」

「あり得ません! 用は済みましたわ! ……ヘル、様………ぅぅぅう……、それでは!」

令嬢は早歩きで駆けていった。

(違います! 違います!)

(カミア……、カミアが俺に愛の告白を……しかもなま、名前で……!)


✰四つ葉のクローバーの花言葉は意外と「私のものになって」という意味もあったりする。勿論、令嬢は知らなかったりする。




最後まで見て頂いてありがとうございました。

さて、どのエピソードが良かったでしょうか?

(自分でも分からない)

誤字脱字、ありましたらよろしくお願いします。

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