十六話・壊れる日常
文化祭まであと八日。
金曜日のこと。
いよいよ授業よりも文化祭の方が優先されじはじめ、慌ただしく日々が過ぎる。
「みんな展示は出来ましたかー?」
「「「はーい」」」
教壇前で挙手しながら呼びかける担任教師の掛け声に全員で返事する。
本当にこの人は高校教師というよりは保育園児みたいだな。身長的にも。心なしかこちらまで精神年齢が子供になったような返しをしてしまった。
一般的な平均身長と比べても数十センチは下だろうし、何より最近コンビニでアルコールを買おうとしたら補導されそうになったところをクラスメイトに保護されるという経験をしたらしい。
解釈通りといえばそうなのだが、この話が広まった時は少し悲しそうにしていたので直ぐに誰もしなくなった。
「あ、大門寺くんはやり直しで」
「先生! 内容は自由だったはずです! 俺だけ書き直しは納得できません!」
「内容は自由だけど、その、これは……」
先生が大門寺の書いた展示用のレポートを見て赤らめた顔を逸らす。
「お前先生に何見せてんだよ!?」
「犯罪だよ!?」
「児ポ……」
俺と鈴音、アリスさえもが擁護に入る。
クラスメイトからも次々とバッシングの嵐であった。
「や、やめろお! 俺は至極真面目に書いたんだ、下手な論文よりもテータや類似例を調べ上げ万人に納得させるものが出来たんだ! 委員長として不当な申し出ては許せん!」
「大門寺くん。先生納得はしたけどね、理解したくないんだ。生徒がその、これを書いたってことを」
内容は拷問の歴史について、これに関してはまあグレーゾーンだと思うが一つ一つに自分ならどう気持ちよくなるか記入している。それはもう、気持ち悪く鮮明に。
「あ、持って逃げたぞ!」
「捕まえろ! そんでシュレッダーだ!」
「先生に変な知識教えないでよね!」
「あ、先生こっちに。お菓子食べようね」
「私子供じゃないよ!?」
先生の抗議はもはや無意味。クラス全員で大門寺を責め立てる構図が発生していた。
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「あー、二年って変な奴しかいないのかしら……」
昼休み。机を三つ寄せて教室にてアリスと飛鳥、そして鈴音という初めての組み合わせでご飯を食べている。飛鳥が頭を抱えてワナワナと震えていた。
なんかこいつと話すのも久しぶりの気はするが、だいぶ疲れているな。心なしか目の下に隈が出来ているように見える。
「どうしたんだよ開口一番。運気逃げるぞ?」
「私を悩ませる原因一号、それ以上挑発しないことね」
顔は突っ伏したまま視線だけで俺を威圧してくる。
「飛鳥ちゃん! 私でよければ相談のるよ!」
「原因二号、あなたはもう少しオカ研を落ち着かせなさい。ここ数日あんたらが文化祭関係でいろんな部活と揉めるから、しわ寄せが生徒会に来てるのよ……」
「ご、ごめーん」
舌を出して鈴音が申し訳なさそうに謝った。
そうなればこの場に残されたのはオカ研の良心アリスさんくらいだ。
「ふふ、みんな少し元気すぎなんだよね。安心して飛鳥、私が慰めるよ」
腕を広げて胸に飛び込んで来な、と言わんばかりに受け止めるポーズをとる。チラリと飛鳥は視線を送るがすぐに机に突っ伏した。
「原因三号。何故か最近あなたが気になって授業中に眠れませんやら、体育で目が離せない、彼氏が冷めてきたなんてクレームが届いてるわ。風紀が乱れるから、顔にお面しなさいな」
「一番ひどくない!?」




