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第八話 謁見

追記・元第五話が長すぎたので、分割しました。

作戦実行前日。

何故か俺は、王城の待機室にいた。

え? なんで王城にいるかって? それはもちろん、謁見のためである。


時は少し遡る……。




俺の朝の日課である、冒険者ギルドの顔出しに行った。

毎回毎回、冒険者が頭を下げる現象、どうにかならないかと思いながらカウンターへ向かう。

毎回、俺は顔出しのときにカウンターに行き、高難易度の依頼がないか確認している。


いつもの流れで受付嬢に声をかけた。

すると……。


「お待ちしておりました。ギルドマスターがお待ちです」


……え? 何の話? お待ちしてました? 何が?

俺は別にギルマスに会いに来たわけではないのに、なんでこうなった?

結局、俺はなんのことか聞き出せず、応接室に案内された。

しばらくして、ギルマスであるゴリアテが入ってきた。


「いや〜、すみません。事前にお伝えしてなくて……」


「本当だよ。受付嬢に言われて、頭の中は”?”でいっぱいになったぞ」


「すみません。でもルージュさんなら了承してくれると思っていましたから、当日にいっても問題ないと……」


「いや、せめて連絡くらいくれよ。こちらも困るんだ。……まさか、また依頼が増えるのか? これ以上は流石に限界だ」


「いえ、今回は依頼ではないです。というか、今回はお願いなんだ」


よかった。本当に良かった。心からそう思った。これ以上増えたら、前世でいうブラック企業に努めているのと同等だ。一回もブラック企業で働いたことないんだけど。


「ほう、どこからのお願いだ?」


「はい、なんと今回は王宮からです」


「ぶふぅぅぅぅぅぅぅ」


俺は思わず飲んでいた紅茶を目の前にいるゴリアテにぶっかけてしまった。


「けほ、ごほ。お、王宮から!?」


毎回指名してくる王宮はどうかと思う。

いくら唯一のSSランク冒険者だからと言っても指名しすぎ。

そう思ったのと同時に、やな予感がした。


「まさかとは思うが、王宮に来てくれってことはないよな……?」


「さすがは、ルージュさん。話が早いです。ようは謁見を開くから来てくれっと言っているんだ。なんでも、この前の誘拐事件を協力してくれることにお礼がしたいと言っている。それと依頼の現状確認も行いたいとも行っている。もちろん行ってくれるよね」


行きますか? とは聞かない。行けっと言っているような顔してる。無言の圧、怖いわ。

今まで、たくさんのお誘いやお願いを断ってきたが、なぜだか今回は断れる気がしない。


「……わかったよ、行けばいいんだろ」


「ありがとうございます! では早速、行きましょうか」


「え、どこに?」


「王城にですよ」


「え、まさかお前……謁見当日にお願いしてたの!?」


「はい、そうですが?」


「………………」


もう絶句した。なんで大事なお願いを当日に聞くんだよ、おかしいだろ。

3分ほど黙ったあと、俺はついにキレた。


「ゴリアテの……馬鹿野郎ぉぉぉぉぉぉがぁぁぁあぁぁぁ!!」


「ええぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇ!!」


このあと、俺は30分くらい説教した。ゴリアテを正座させ、ほぼ一方的な説教をした。

流石にこれは俺でも耐えきれない。


説教している最中に、応接室の扉がロックされた。

一度、説教を中断して入室を許可した。

入ってきたのは、全身甲冑姿の男だった。鎧の真ん中にこの国の紋章が刻まれている。

俺はその姿に見覚えがあった。

そう、王族の護衛騎士団である近衛騎士団の者だった。


「失礼します。おぉぉ、貴方が……。初めまして、ミルフィード王国近衛騎士団の者です。お迎えに上がりました」


え、早くね? !! まさか、ゴリアテ、予め迎えを頼んでいたのか! これは説教をする理由が増えたな。


「お、おう。分かった。おいギルマス、説教はまた後でだ」


「は、はい……」


マッチョが落ち込んでいる。面白いわ。

そう思いながらギルドを出てて、外に止めてあった馬車に乗り込む。

ギルマスは業務があるとのことで、ここでお見送りとなった。




っというわけで、今は待合室に待機していた。

もちろん、ルージュとして仮面をつけて優雅にお茶してた。仮面しながらお茶しているってどういう状況っておもったあなた。気にしたら負けだ。


そうこうしているうちに出番が来たようだ。

メイドに案内されて、謁見の間についた。中から音楽が聞こえる。歓迎の演奏のようだ。終わると同時に扉が開かれた。


中は、ど真ん中にでっかいシャンデリアがぶら下がっていて、玉座まで赤いカーペットが伸びていて、そのカーペットの両脇に鎧姿の人たちが並んでいた。

おそらく、彼らが聖騎士なんだろう。その聖騎士の後ろにこの国の貴族が勢揃いしていた。

玉座は一段高くなっていて、そこにはこの国の国王、サンドラ・ヴァン・ミルフィードとその娘である第一王女、アリア・ヴァン・ミルフィードが座っていた。

俺は国王の目の前で片膝をつき、頭を下げる。そして……、


「招集により、参上しました。ルージュと申します」


どうだ! この完璧な謁見の作法は! 待合室にいる間に、超希少スキル『サポート』の超猛練習の結果、完璧な作法ができた。

これで、陛下の機嫌を損ねることはないだろう


「面をあげよ」


そう言われ、俺は頭を上げた。


「今日は王宮に赴いてくれて感謝する。世界で唯一のSSランク冒険者、ルージュよ。先日、我々からの緊急指名依頼を本来なら1つの所を、無理言って2つも受けてくれて改めて感謝する。本当にありがとう」


そう言うと、俺に向けて頭を下げた。周りの貴族は、国王の行動に驚いていた。

なんせ、この国の王が平民に頭を下げているのだから。


「頭を上げてください。国王であられる貴方様が平民に頭を下げてはいけません。言ってしまえば私も一流の冒険者でありますが、平民でありますから」


「すまぬ。だが、王宮からの依頼だ。大変だと思うが、よろしく頼む」


「お任せください。必ず、依頼を達成させてみせます」


「うむ。さて、今回の謁見はこれで終了とする」


謁見が終わり、退出した。初めての謁見に、緊張した……。




超希少スキル『サポート』の超猛練習。

厳しそう……。


ゴリアテの説教は番外編にて……

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