第一話 断罪スキル
今回はめっちゃ長いです。半分流し見で結構です
追記:主人公のステータスを少し変更しました
俺が転生してから丸3年が経った。平凡な日々が続いていた。
俺は資金集めのために冒険者ギルドに登録していた。
しかし、ある日から突然、平凡な生活が終わりを告げる。
俺は忘れていた。自分の固有スキル『断罪者』のことを。
・ ・ ・
異世界転生して3年、だいぶこの生活に慣れてきて今日も冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドにはランクがありFランクからSSランクまである。
実は、俺はこの3年間で偽名が2つもできた。
まず、俺の本名である朧月水明、職業は魔法師のBランク。
次にギルドで世界で唯一SSランク冒険者として活動しているルージュ、職業は魔剣師。
最後に、世界3代商会のひとつ、ペリクレス商会長としてのヴェール。
これらが俺の正体である。
なぜ本名でSSランク冒険者にならないのかって?それは目立ちたくないからである。
俺の活動拠点であるバイサスではそこそこのベテランで且つ、顔見知りが多い。なので謎のSSランク冒険者の方がいいと考えた。
ちなみに、髪色は変えている。ルージュでは赤色に、ヴェールでは緑色に、本来の姿では水色にしていた。もちろん、同一人物であることを隠すため。なかなか大変である。
因みに、商会に関しては、前世の知識を生かして、発展させていた。今では大繁盛だ。
そう思いながら、日課である依頼をこなして、いつも泊まっている宿の帰路についていた。
すると当然、
『いやーやっと入れたわ〜。本当に転生ボーナスとか忌々しいわ』
と、声が聞こえた。周りは誰もいない。キョロキョロする俺に、
『はっはっはっ。お前、俺が誰だか分かってね〜の?一応は、はじめましてかな?俺はお前の中にある『断罪者』の自我だ。よろしくな』
「えっ、『断罪者』?」
『お前、忘れてんの。お前の固有スキルだよ』
思い出した。さしか、転生の際にもらって、3年間は機能しないってやつだっけ?
って、もう3年経ってんじゃねーか。すっかり忘れていたよ。
「えっっと、キミのことはなんて呼べばいいの?」
『ん?そーゆーことゆーやつ、初めてだわ。確か、大昔には「ギルティ」って名前だったかな?」
「そのまんまじゃ。」
『まぁそんなことは置いといて、早速だがお前には使命を果たしてもらう。内容は簡単。罪を犯すものを断罪すること。1年で最低12人は断罪しなければならない。もしその使命を破ると・・・』
「と?」
『暴れ狂って、無差別に人を殺すことになる。罪深きものから罪なきものまでな・・・』
「えっ、こわ」
『てな訳で、早速断罪しに行こう』
「ちょっと待て。いくらなんでも早すぎるって。・・・ちなみに、誰を断罪するの?」
『最初のターゲットは・・・、この街の領主、”ジーノ・フォン・コルノス・バイサス伯爵”だ』
「え、領主を殺すの?」
『そうだ、やつは裏で敵対する者の暗殺したり、暗躍したりしている男だ。慈悲はない』
「なるほど…」
『まぁー今日はもういい。さっさと帰るぞ』
「はぁ、分かったよ」
正直、困惑している。本当にそんなことしていいのか?
だが、それが俺の使命だと言うのなら、なんだってやってやる。
そう心に決め、宿に帰った。
一夜明け、その日の夜。一つの建物の屋上に佇んでいる男がいた。
名は、朧月水明改め、『断罪者』ノワール。身長180cmで黒髪にフードをかぶり、全身黒一色の服。まさに漆黒。 さらに覆面を付けている。
俺は、断罪しに行く前に再度、ステータスの確認をした。
ステータス
名前・朧月 水明 年齢・23 性別・男 種族・人族
レベル・Lv195
称号・転生者、断罪者、神々から加護を授かりし者、限界突破α、地獄の狭間の生還者、唯一のSSランク冒険者
加護・創造神の加護、魔法神の加護、武神の加護、生命神の加護、時空神の加護、技能神の加護、商業神の加護
体力・82万 魔力・90万
固有スキル・『断罪者』
超希少スキル・『サポート』
固有魔法・断罪魔法
魔法・火魔法、水魔法、土魔法、風魔法、雷魔法、氷魔法、光魔法、闇魔法、時空魔法、身体強化魔法、防御魔法、回復魔法
スキル・剣術Lv10、格闘術Lv10、弓術Lv5、創造魔法、鑑定魔法、生活魔法、危機察知、空間収納、ステータス偽造、容姿变化、調理、探知、森羅万象、武具創造、気配遮断、威圧、付与魔法、超再生、言語理解、暗視、詠唱破棄、結界術、魔力感知
耐性・物理攻撃耐性、状態異常耐性、精神攻撃耐性、呪術耐性、火炎耐性
固有スキル『断罪者』・罪深きものを断罪する。断罪魔法を与える。罪を犯した者からの攻撃を受けない。
固有魔法『断罪魔法』・断罪障壁、3分間の償い、断罪の一撃、裁きの魔眼
相変わらずの数値、並外れたスキル。魔法なんて全て上限に達してるし。
それに、断罪スキルが目覚めたのか断罪魔法ができている。結構凶悪なスキルだな。
なんか称号が増えてるけどそれはまた後ほど。
早速向かうとしようか。
『覚悟は決まったか?』
「もちろん」
『『裁きの魔眼』のスキルで、断罪すべきがどうか判断できるぞ。断罪者は罪なき者を殺さない、これが基本だ。分かったな?』
「あぁ」
『さぁ、行こうか』
俺は屋根を伝って領主館の前までやってきた。
門の前には衛兵が2人いてがどちらも無罪。これは裏から入るのが得策だと判断した。
門から離れたところで塀を乗り越えて侵入した。それにしても広い敷地だ。
開いている窓から入り、領主の執務室の扉の前までやってきた。
耳をすましてみると声が聞こえる。
「どんな感じだ?頼んでおいたものはできたか?」
「はい、もちろんです」
「これでアイツらを亡き者に」
はい、黒確定ですねこれ。
執務室の扉が開いた瞬間に、白衣を着た男性を持ってきた剣で一閃した。
「だ、誰だ貴様!?どうやって入ってきた?」
唐突に入ってきた男に、困惑する領主のジーノ。剣についた血をはらいながら近づく朧月水明。
いや、今は名前を変えたっけ。
「俺の名前はノワール。すべての罪を断罪する者。今、貴様の罪を断罪する」
「つ、罪だと!?い、一体私が何をしたと言うんだ?!」
「今、『あいつらを亡き者に』とかいったよな?」
「い、いや。そんなこと言ってないぞ。だ、断じて言ってないぞ」
こいつ、あからさまに動揺している。
「仕方がない。自らの罪を認めぬ者には、裁きを…」
「チッ、そうやすやすと死んでたまるかー!『ファイヤボール』!!」
真夜中の街に、領主館だけが明るく光る。
「フフフ、フハハハハ。見たか、愚かな青年よ。これが世の中というものだ。世界の闇はもっと深いぞ。すべてを断罪するなど夢のまた夢」
「誰が愚かなんだ?」
「!!な、何故だ?何故生きている!?
「俺は、罪を犯した者からの攻撃を受けない。諦めるんだ」
「わ、私は何もしてないし、何も言ってない。だから頼む。命だけはお許しを。」
少し、オレの心が揺らいでる。一度くらいは、償いの機会を与えるのもありではないか?
そう思っていたとき、勝手に手が動いてジーノの首を切る。
「えっ」
『なにをしてるんだ。いいか。断罪者の心得ってやつを教えてやる。1つ、罪なき者を傷つけない。2つ、行動はスマートに隠密に。3つ、罪深き者に、慈悲なし。これが心得ってやつだ。いいか?断罪に迷いなんていらない。慈悲はない。当然の報いだ。お前は『断罪者』だ。この世界の秩序を守るもの。そのために生きてるだ。自分の使命を忘れるな。無差別に殺すのではない、秩序を守るためだ。ためらいを捨てるんだ。分かったな?』
「……ありがとう。おかげでスッキリした。そうだ、俺は秩序を守るためにしてるんだ」
『ほら、さっさと帰るぞ。そろそろ衛兵が来る頃だ。行くぞ』
「わかった」
俺が屋敷を出てから、30分が経った後に領主の死体が見つかった。
翌朝から街は大混乱。なんせ、この街を収めている領主が殺されていたのだから。
ちなみに俺は半日以上寝ていた。昨夜の疲労がすごいから。
『なぁ、お前まだ寝てるつもりか?』
「うん、まだ寝てたい」
『全く、お前というやつは・・・』
・ ・ ・
次の日、俺はギルドにSSランク冒険者、ルージュとして赴いた。
なんでもギルドの掲示板に、俺の招集願いがあったのだ。詳しいことはきてから話すと書かれてる。
おそらく、たいしたことないと思うけど、一応来てみた。
朝の早い時間に来たのだが、すでに何組かのパーティーが入っていた。
「おいあれ、SSランク冒険者のルージュ?『煉爆の赤髪』のルージュじゃね」
「う、嘘!私、大ファンなの!」
(え、そんな二つ名があるの?知らないんだけど)
『はっ、有名人だな。二つ名でなw』
「うるせぇ」
そう思いながら受付へと向かった。
「この俺になにか用か?」
「はっ!す、すみません。どうぞこちらへ、ギルドマスターがお待ちです」
そう言い、受付嬢の案内でギルマスの執務室に通された。
部屋に入り、ソファーに寄りかかりながら紅茶を飲んでいた。
すると、廊下で走る音が聞こえる。まぁ、誰だか分かる。
「いやーお待たせしました。申し訳ないです、ルージュさん。来てくださってありがとうございます。冒険者ギルド、バイサス支部ギルドマスターのベイトと申します」
40歳半ばの細身体型のこの男、ベイトさん。
元々はAランクの冒険者だったらしいが、大怪我を負い、冒険者をやめ、サポートにまわったらしい。
「そんなことはどうでもいい。それで、今回はどんな要件はなんだ?簡潔に済ませてくれてると助かるんだが」
「はい。実は、王宮の宝物庫においてあった『あるもの』がなくなりました。今回はそれを探してほしいのです。しかも、この依頼は王城からの指名依頼になっています。世界で唯一のSSランク冒険者、『煉爆の赤髪』ルージュさん」
「なるほど、ようはこの俺に物探しをしろと。残念だが俺も多忙な身でね、そんなことをしている暇がないんだが」
「いやー私もそう思ってましたけど、無くなったものが問題なんですよ。無くなったものは……」
「ぶふぅぅぅぅぅぅ」
俺は思わず、紅茶を吹き出してしまった。
「どうかされました?」
『ほう、それは面白い。必然的にくるかもな」
・ ・ ・
わたしはミルフィード王国の第一王女、アリア・ヴァン・ミルフィード。
今は、王宮の宝物庫にいる。理由は只一つ、この謎のオーラに包まれた剣、通称『断罪の剣』。
並の人間が触れば、謎の重圧に押しつぶされ、正気を保てない。
そこで私は、その現象をなくすために毎日見に来ていた。
しかし、今日だけは違った。あの剣が小刻みに震えてる。こんなの見たことない。
あの『断罪の剣』が震えてる、そう思った瞬間、『断罪の剣』がケースを破り宝物庫から出ていってしまった。
まるで、自我を持っているかのように。一体どこへ向かってしまったのでしょうか?
どこかに消えた『断罪の剣』、一体どこにいったのか。
※ちなみに『煉爆』という単語は存在しません。火魔法に長けているという意味合いを込めて作りました。