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第5話:死

最後の方、残酷な描写(?)があります。

ご注意下さい。

一週間後――


「粉江。またそんな難しい本…?

アンタって本当、つまんないねぇ〜」


また隼がそう声をかけて来た。


「うるさいな。別にいいだろ」


「ま、そうだけど」


今日はしつこくないな…

少しそう思った。


「あ、そうだ。お前、志良のこと何か知らないか?

隼、志良の従兄弟だろ」


「しらなぁい。何で?」


「いや、最近学校に来てないし、連絡もつかなくて。」


「だったらシラの家に行けばいいじゃん?」


「そうだけど…」


「ま、どうでもいいけどぉ〜」


隼がそう言った直後、チャイムが鳴り、隼は自分の席に戻って行った。




――放課後


やっぱり志良の様子が気になったので、俺は志良の住むアパートに向った。


ピンポーン


インターフォンが志良の住む部屋に鳴り響く。


誰もでない。


ドアノブに手をかけ、回してみるとガチャリと扉が開いた。


「物騒だな。鍵も閉めないなんて」


そう言いながら、中に志良がいるかもしれないなと思って、入ってみた。

志良の部屋を覗いてみると、そこには毛布に包まっている"何か"がいた。


「…志良か…?」


声をかけてみると、その"何か"はビクリと一度体を震わせ、顔を上げた。


「やっぱり志良か…」


そう言って志良の元へ歩を進める。


「どうしたんだよ、そんな隅っこで毛布なんかに包まって。暑くないのか?」


その言葉に志良は答える事はない。

随分近付いた所でやっと気付く。

志良はこぎしみに震えていた。


「おいおい、何そんな震えてんだよ」


パァンッ


肩に手を置いた所だった

思いきり肩に置かれていた手を叩かれた。


「っ!!わ、わるい…」


そう言って再び毛布に包まり、ブルブルと震え出す志良。


「お、おい…一体どうしたんだよ、そんな震えて…」


「おまじない…」


ボソリとした声でよく聞こえない。


「え?」


「星神…様の、おま、じない…」


「…?ああ!アレか。それがどうした?」


「一週間前、やったんだ…」


「は?お前そんなのやる程の悩み持ってたの?」


「ち、がう…どうせ暇だから、ってやったんだ。

そした、ら…」


「そしたら…?」


「…っ!!あのまじないは本物だ!

絶対やっちゃいけない、アイツは、星神は…!!」


「お、おい!分かったから、少し落ちつけ!

それで、やってどうなったんだ…?」


「っ…」


聞くと志良は頭を抱えた。


「わからない…わからないんだ…

目が醒めたら何も分からなくなった…

暫くソファに座っていたら、少しずつ思い出したんだ…


自分でも気付かないほどのちっぽけな悩みも抉り出されて、

全ての悩みが削除された…


最後に聞こえたのは、アイツの、星神の嗤い声だった…」


「その悩みって、なんだよ」


「わからない、わからないんだよ…

全て削除するって言われた。

きっと何も無いんだ…


なあ、何で僕は今、このアパートにいるんだ…?

僕の親はどこにいる…?

僕には家族がいたのか…?お前達みたいな、家族が…


そもそも、僕はもともとこの世界にいたのか?!」


「いたに決まってるだろ?!何言ってんだよ!!

お前の親が何処にいるかなんて、お前が親のケータイにかければ済む話じゃないか!」


「わからないんだ、わからない。


何も分からない…


僕は誰だ…?お前は…おまえは、誰だ…?」


「何言ってんだ!俺はお前のダチだろ?!

テレビでも見て落ちつけよ!」


そう言ってリモコンを使ってテレビをつけた。

そこには…


《今日未明、変死体が静岡県のあるホテルにて発見されました。


その変死体の人物は未だどなたのものか分かっておらず…


!!今、このニュースの新しい情報が入って来ました!

どうやらどなたの遺体かわかった模様です。


画像が今出ます。》


ニュースキャスターがそう言った後、パッと画面が切り替わり、二人分の画像が映し出された。


《亡くなったのは東京都在住の43・45歳のご夫妻、

棗 沙和さんと棗 青次さんです。


繰り返します。亡くなったのは―――》


名前の部分と画像が頭から離れない。

何で、何で…


「何で、志良のお袋と親父が…?」


「星神だ…


星神だ…」


テレビ画面を見つめながら頭を抱えそう繰り返す志良。


「落ちつけよ!そんなワケ…そんなワケないだろ!」


「星神だよ、星神に決まってる!


次は僕だ、僕に決まってる!!


僕には分かる…アイツが、アイツが嗤いながら来るんだ…!


星神は嗤うんだ



――星神様ハ嗤ウンダ――


アッ!アァァァァアア!!!!」




そして、志良は俺の目の前で舌を噛み切り、


そのまま大量の血を吐いて、



死んだ。



 

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