第1話:星神様
ホラーではないかも知れませんが一応ホラーにさせて頂きました。
「いっつも難しい本ばっかり。それでアンタ、楽しい?」
ニッコリと、隼恵美は笑った。
俺はコイツがどうも苦手だ。
皮肉ばかり言ってくる。
そして隼に睨みを返してやった。
すると隼はクスクスと笑って言った。
「そんなんで医者になれないよ」
「うるさいな、隼に関係無いだろ」
「あるよ」
相変わらずの笑みで隼はそう言った。
「だって、私がアンタのいる病院に行くかもしれないじゃない」
「安心しろ、お前のいない所に行くから」
そう言って俺は再び本を読んだ。
「ねぇ、何でアンタは医者になりたいの?」
ガタンッと立ち上がった。
そのまま俺は隼の言葉を無視しして教室を出た。
何で医者になりたいかだって――?
そんなの、決まってるじゃないか。
「ねぇ、星神様って知ってる?」
暫く廊下を歩いていると、そんな声が聞こえた
「(星神様?)」
「知ってる知ってる。アレでしょ?ってあれ…?なんだっけ…」
「悩み事を聞いてくれて、しかも助言してくれるんだって!」
ありふれた噂話だなと、思った。
そう言えば、最近その星神様の話で少なくともこの学年は持ちきりだ。
しかし、その後の噂をしていた奴らの話では、まだ試した者はいないと言う。
この時は、まだ。俺には関係のない話だと、この噂は俺の記憶の隅に追いやられた。