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転生課窓口係は暗躍する。

 辛い。そう思うのはほぼ全ての神、天使の総意だろう。かく言う私もその一柱である。


 こなしても、こなしても湧いてくる世界。なのに増えない神たちと反比例する様に沸き続けるエラーの数々。


 なぜ、転生者はこうも文明を、進化のバランスを崩すのだろうか? ある者は科学文明を、ある者は精神社会から物質社会へと、確かに切り取って見れば、その時代の人々には恩恵が有るのかもしれない。だが、よく考えて欲しいものだ。


 魔法技術に、科学の知識を加えてしまった事で、そして、必ずそれに付随する様に教育機関を国ないしは大陸間で行ってしまう事の意味を。


 その時代だけなら、いや、統治している者が心変わりをしないのならば良いのかもしれない。だが、どの世界も同じ様に人の欲は止まらないものなのだ。


 誰にでも簡単に強力な魔法を再現できる、コレは短期的には魔物、魔獣への対応として効果的である。効果的であるからこそ、管理するこちら側としては科学の進歩を妨げてきたのだ。


 人命は救えるだろう、だがそれ以上にその先にあるのは増えすぎた『人対人』の終わりなき争いである、と何故気付かないのか?


 いや、私たち神々ですら考えや気持ちの相違でつい最近に大きな争いを起こしたのだ。そして危うく、神界、天界の壊滅も招きかねないほどの深刻な爪痕を残したのだから。


 あぁ、またエラーが上がった。あ、文明が消し飛んだ……うん、コレは回復までにかなりの時間がかかる事になりそうだ。よし、後回しにしよう。とりあえず増えすぎた人族が一定数まで減少してからにしよう。


 そう心に決めた環境課一課の女神は一つの世界を映したウィンドウを閉じるのだった。


◇◇◇◇◆◇◇◇◇


 やばい……もう、ダメかも知らん。世界が増えすぎて調査どころではなくなった……。情報管理課内は空のデスクばかりで、調査が終わり戻って来ては、すぐに別の調査へと向かう。そんな日々が続いている。


 少し前までは三人一組で動いていたのに、今では単独行動ばかりである。せめて、癒しを……そう考えて異世界で夜の店に行こうとしても、ただですら多い仕事を増やす気にもならず、結局は淡々と調査だけをこなす日々が続いている。


 俺たちの様な成熟した神々ですらそんな感じなのだ。課内で時々見かける幼い神々なんかは特に酷い状況だった。目は虚、表情が豊かだったはずなのに、今では能面の様に感情が読み取れなくなっていた。


 あの頃のような笑顔を見ることはもう叶わないのかもしれない。例え不変の神であろうとも、いや不変だからこそ有り様を歪められた場合は取り返しがつかないのだろう。


 こんな事態を引き起こした当事者の一人として、心苦しい思いを感じるが、この埋め合わせは仕事で返す他は無いだろう。


 そう心に誓い、男神は次の調査世界へと向かったのだった。


◇◇◇◇◆◇◇◇◇


 わたしは今どんな顔をしているのだろうか? どんなに考えても想像が出来ない。転生課の窓口はあの騒動以来、二十四時間常に開いたままである。ランダム転生処理の緩和化で少しはマシになったものの、やはり転生処理待ちの数は未だに衰えない。


 ただ、もしかすると転生処理待ちの魂の数を、この先減少させる事に成功するかも知れないのだ。方法は転生処理の窓口係に宛てて配られた極秘指令。


『地球世界へ転生処理する場合、日本以外へできる限り送る事』


 つまり、日本の人口を減らす事で生み出される世界と魂を減らすと言う苦肉の策である。まぁ、そのせいで地球の世界バランスが崩れているのだろうが、知ったことでは無いですが。


 なにせ、地球の地上神の仕事をコッチに丸投げしてきているのだから、やり返されても文句は無いだろう。


 そう、コチラは既に余裕なんて無く、神界も天界も一杯一杯なのだから。さぁ、苦しむがいい地球の地上神共め。


 そう心に邪悪な笑みを浮かべ、神界の転生課窓口係である全ての神々は今日も暗躍して行く。


 

 閲覧いただきありがとうございます。ブクマ、いいね、評価、感想などお待ちしてます。


 ラグナロクのおかげでなんだか作品内が暗くなった気がする……建て直せるのかなぁ、なんて他人事に感じながらとりあえず思いついたネタを書いてみました。


 原因がわかるならそら対策するよね……って事で。

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