あらたな神は、受け入れられない。~夢幻~
はい、裏シナリオとか言ったよね?
うん、それ、嘘。
これが、本シナリオだったりします←
あれから、俺は忙殺されている。そう、俺の信者により発注が止まらないのだ。信者と書いて、儲けとなる。元の世界、日本におけるそんなネタが脳裏を駆け抜けるのを頭を振り、追い出す。
「おにいさん、どうかした?」
それを見ていたのか、天使な女神が首を傾げるのを見て、俺も成分を補給する。と、同時に首を傾げる。
「なぁ、そんな髪の色だったっけ?」
「ん? んん~? わかんな~い」
最初の記憶を掘り返そうとして失敗する。目の前で透き通る緑の髪を不思議げにさわり小首を傾げる女神が可愛すぎるのだ。と、そう俺は考えてしまっていた。そう、仮にも神の記憶がその程度で思い出せなくなる、なんてことは無いということを、この時の俺はまだ知らなかったのだ。
それから、二週間が過ぎた。そんなとき、ついにそれは、小さな違和感は牙を剥いた。
天使の笑顔を浮かべていた女神が、倒れたのだ。
「ごめんね? おにいさん……、わたしは大丈夫だから、お仕事……」
「全て終わらせた。とりあえず神界でも、天界でもいい、医者は居ないか?」
「??? いしゃってなぁに? 少し眠たいから……寝るね」
そのあと、彼女が目覚める事はなく数日が過ぎた。髪の色が、透き通るを通り越し、薄くエアブラシを吹いたようなボヤけた色になっているのを見て、俺は情報を求めて知っていそうな神を訪ねる。と、言っても頼れるような神は一柱の女神しか知らないが。
◇◆◇
で、たどり着いたのは、情報管理課の建物。その、応接室である。
「はぁ。で、ここに来たわけね?」
入室早々に、俺の心を読んだのか溜め息をついて、ソファーに腰かける女神様に頭を下げながら口を開いた。
「はい、ですから何か知りたくて」
「神が病気になると思いますか?」
神が病……ある意味俺の顧客は病気とも言えるが……。
「いや、そう言えば……」
「では、神は記憶を無くす事があると?」
言われてみれば、俺は神界に転生してからの記憶も、生前の記憶も持ってる。そう、持ち続けてる。考えたら不思議だ、元の世界の記憶なんてかすれてもおかしくない程に、神界は、天界は凄いものだらけだった。なんでも産み出す天使に。可愛い女神、天使。美しい景色。知らない花の香り。なのに、思い出せば日本の景色や香り、空気すらも思い出せる。そして、にわかに仕入れた知識すらも、うろ覚えではなく、完全な知識として覚えているのだ。
「最後です。神が神として存在できる理由は?」
「それは、崇拝や信仰が集まって……」
「それが答えよ。つまり、彼女はその『信仰』が失われている。または、世界が停滞して認識されなくなった。と、いったところかしら。彼女の司る物って何か知ってるかしら?」
「いえ、聞いたことが無いですね」
「はぁ。そこは察しなさいよ? 貴方と組ませたのは、何も貴方がベタぼれとか、唯一気負わず話せる異性だからって訳じゃないのよ?」
なに言っちゃってるのこの女神様っ! 俺が彼女にベタぼれとか、いや、確かに可愛いよ? 守りたくなる笑顔が、小さな手の温もりが、合法ロリな感じとか……って、そうじゃない。いまは、彼女を助ける術を……。
「はいはい、心の声聞こえてるから、無駄よ。で、貴方何を司る神?」
「え? 俺ですか? んん? さあ?」
「はぁ……バカなの? いや、バカね。まごう事なきバカね、もうバカを司ればいいんじゃないかしら。今、貴方はなんの仕事してるの?」
「変態の餌付けです!」
「即答っ! しかも、完全に否定できない。じゃなくて、何を持ってそれをしてるのかしら?」
「イラスト……はっ、俺、絵の神なんですか?」
「なんで疑問系よ! そうよ、貴方は絵の神。で、あの子は『色彩』を司る神なの、わかった? わかったわね?」
「は、はい」
「で、両方とも実務に向かないからちょうどいい……んんっ、イラストを持って神界に貢献してもらってるわけ。で、元の話に戻すと彼女は今、存在が曖昧なんです。例えるなら、『残滓』または、『夢幻』かしらね。まぁ、持って数日かしらね」
「な……、どう――」
「どうしようもないわよ。貴方一柱じゃね」
「じゃあ、このまま彼女は……」
「消えるわね」
彼女が、消える? つまり、神の死……。
「あぁ、そうそう、貴方の元の世界の国、その神話は知ってるかしら?」
「え……?」
「なんでもないわ。まぁ、頑張りなさい」
彼は彼女を失いたくない。
それは、彼の願い。
彼女は、存在していて、存在していない。
彼女を救うべく、立ち上がる変態達。
次回
タイトル未定!!
ちゃんと、結末までの道筋はできてますから安心してください。(全く安心できない)