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堕天使、世界を往く~フィーア~

 なんとか更新!


 ふぅ、なんとか形になりました。

 目覚めると、洞窟の中にいた。なぜ、洞窟と理解したのかは、湿った空気と、出口の灯りが少し先に見え、その光に壁が照らされ、むき出しの岩壁が続いているからだ。


 ただ、本当に()()()()()なのかと、問われたら頷く自信はない。


 現に、見上げると光が当たらないはずの天井にはまばゆく光る水晶のようなモノが無数に生えているのだから。


 鑑定を使うと、『聖魔水晶』と、表示され詳細には、膨大な魔力の淀み、または放出地に現れる。とある。


 つまり、ここはそのいずれかなのだろう。微睡(まどろ)みからゆっくりと覚醒していく。


 完全に目が覚めたとき、自身の体、衣服の違和感にようやく気づく。


「あれ? なんか、キレイになってるような……」


 記憶を遡ろうと、頭を捻るも思い出せない。ご飯を食べた様な気もする、現に空腹感はない。きっと、食べたのだろう。問題はそのあとだ。


 とてつもない痛みに襲われたような記憶が出てくるが、なぜその様な痛みを味わったのかが思い出せない。


 転生者の娘は単純に、極度の空腹時に固形物を一気に食べたせいで、胃と腸が異常痙攣を起こし腹痛を起こしたのだが、前世でその様な経験の無さから答えにたどり着くことは出来ないでいた。


 不意に、出口の光が陰り、洞窟内に何者かが入って来たのを娘は察して腰のナイフに手をやる。


「あら? ようやくお目覚め?」

「え? あなたは……」


 娘は、急激に記憶を取り戻す。森で奴隷商の追手から逃げ、堕天使と表示される人物に会ったことを。


「夢、じゃなかった?」

「? 何をいっているのかしら? 貴女(あなた)が、食べすぎで腹痛を起こして、気を失ったことかしら?それとも、寝てる間に綺麗になった事かしら?」

「…………え? それも全部あなたのお陰???」


 どうにも、要領を得ない娘と、自身が行った、魔法実験の真相を語る堕天使。


「――――、となったわけよ。で、貴女はここに居るって訳なの。わかってもらえたかしら?」

「う、うん。あの、ありがとうございます。ところで、堕天使さんは名前とか無いんですか?」


「名前? あぁ、下界の人は名を持って存在を確定しているのでしたっけ?」

「え?」

「ですから、元々はかない存在の下界の者は名を持つことで、()()()()()()()と認識されるのよ。だから、神界の神、天界の天使、もちろんわたしにも名前は必要ないものだったの。存在感の塊のようなものだから」

「それ、困らない?」

「何がですか? 困ったことと言えば、転生者の娘がお馬鹿過ぎて溜め息が出そうな位なんですけど」


「待って! 私、お馬鹿じゃないよっ、計算だってできるもん!」

「いえ、貴女はどうしようもないお馬鹿ですわよ?」

「ち、違う! この世界に馴れてないだけで、バカでもブスでもないもんっ!」


 溜め息をついて、堕天使は理由を告げる。


「貴女はこの世界に来て、お金に困り、食事もままならず、更に奴隷商に狙われているのよね?」

「うっ!」

「で、まずお金に困り、食事を摂るために森へ入った。間違いないかしら?」


 娘は無言で頷く。


「そもそも、お金に困ったなら、お金になることをすればいいのでは?」

「だから、私には狩りとか無理で……」

「はぁ、貴女は魔力を持ってますわよね?」

「うん。なんか、全属性魔法も持ってるみたいだけど、使えない」

「やっぱりお馬鹿でしたか……」

「どうしてっ! 魔法なんて、前世に無かったのよ? どうやって使うかとかわからないよっ! かろうじて、ほんの少しの水は出せたけど……」

「試したのですか?」

「うん。ふぁいやー、とか呪文唱えてみたけど、何も起きなかった」

「……………………」

「ちょっと! 哀れむような目で私を見ないでっ!」


 それから、一刻ほどの間で娘は魔法の使い方を堕天使に教わり、それなりに使えるようになった。


「私の数ヶ月は一体…………」

「とんだ、無駄な時間ですね♪」

「良い笑顔で追い詰めないでっ! 泣くよ!?」


 その後、魔法を使いお金を稼ぐと言う簡単な方法まで堕天使から教わり、彼女は更に落ち込んだ。


「そうか。水不足なら水魔法を使えばお金になるのか……。魔物を狩るのも、風魔法で真空を作り出せば……。あぁ、魔法ってこんなに便利だったなんて。スマホが無くても生きていけそうな気がしてきた!」

「それは良かったです♪ では、街へお帰りなさい。風魔法で飛ぶことも出来ますよね?」

「え? 帰らないとダメ?」


 首を傾げる娘に、なぜ生きる術を知ったにも関わらずここへ残ろうとするのか? と疑問を抱き堕天使も首を傾げる。


「あなたと暮らしたり、旅をしてみたいなぁ……とか、思ってたり。私、友達も家族も居ないし……」


 堕天使は、ようやく彼女の事を理解した。この娘、チョロインだ、と。

 閲覧ありがとうございます。


 なんとか、これで世界を往くのネタは締めれます。


 長かった。名前、付けようか本気で悩むハメになるとは…………。


 敢えて名前を付けない、縛りここに来てかなりきてます……。

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