続女神様は、はしゃぎたい
続き!
ついに、キャッキャうふふ回…………のはず。
白い砂浜、吹き抜ける風、高い空、そして、天使達の笑い声。あぁ、これこそがバカンス。他の神々の様に取り繕って、全力で楽しまない事は決して良いことではない。
幼い神々の様に、全力で楽しんでこそ休暇と呼ぶにふさわしいのだろう。そう、身分の分け隔てなく、全力で楽しむ。普段ではどうしても出来ない。でも、休日ならどうか? その答えが眼前で楽しみ、はしゃぐ天使達だ。
あぁ、ただ砂浜を駆けたり、水を掛け合う事がこんなにも楽しいなんて…………。
「わぷっ!」
感動しながら、思案に耽っていた女神の顔に突然水が掛けられる。
「ぼぅっとしてたら的ですよ? 女神様っ」
掛けてきたのは白銀の神の天使、つまり、環境課のサポートの天使だった。
「ふふふ、やりましたわね……良いでしょう。ならば戦争です!」
女神は美しい顔を更に輝かせながら、水の掛け合いに応戦する。
神力なんかは使わない、精霊の力もだ。それこそが、こだわりであり楽しみ方だと確信し、手で掬った水を避ける天使達目掛け、掛け続ける。
「きゃあっ!」
「わぁっ!」
左に避けた白銀の髪の天使の妹と、右に向かって走っていたピンクの髪の天使がぶつかり、もつれて倒れる。
水飛沫と共に、もつれたまま湖底に沈んだ。
「まずは、二機!」
ノリに乗った女神は、続けて水中をまるでものともしない速度で走る、青髪の天使に的を絞り、連続で水を掛けていく。
「なっ! 女神様は化け物かっ! この速度に合わせてくるっ!?」
「くっ! 三人とも合わせろっ! 女神様を沈める!」
「「「了解!」」」
三人が三方へ散り、女神の視線が切れた隙に最前を走る一人の背中に付くように合流してさらに加速する。
「甘い、甘いですわよっ!」
縦走する三機ならぬ三人へ目掛け、斉射する。避けても一人は沈めれる。そう、確信した女神は最上の笑顔のまま、斉射を続ける。
ところが、前の一人は水を避ける事はせず、しゃがみ、後ろの天使に背中を貸す形で、背に足をつけた瞬間に立ち上がり、そのまま、背中の天使は空高く舞う。
青い空、たなびく白銀の髪、白い羽。美しい。見とれてしまった女神は、残り二人に左右から、そして空に飛んだ天使の着水の波、全てをくらい湖底に沈んだ。
女神が、浮き上がったとき天使の短い悲鳴が上がる。
何事かと、女神が顔を向けると、白銀の髪の天使妹が胸を手で隠していた。どうやらもつれたまま倒れた時に、ピンクの髪の天使に装甲……ビキニをはがされたようだった。
ピンクの髪の天使は、あわあわしながら、手に絡んでいるビキニをはずそうと必死になっていた。そして、男天使は鼻の下を伸ばしているところを、兄の天使に目潰しを食らっていた。
あぁ、楽しい。楽しすぎる。この胸の解放感は、知り得なかった。これは、毎年の恒例にするしかないわ。
本当に、久々に胸がスッとする―――――。
そこで、女神は自身の胸元に視線を落とし絶句した。青空のもと解放された張りのある二つの丘が水をはじき輝いていたのだ。
そして自由を得たビキニは、湖面を漂うのであった。
まだまだ、続くかもしれない。
次回更新は明日予定となります。どうぞ、お付き合いよろしくお願いいたします。