神は嘆かない
水着回?
ふ、期待を裏切る男。それが僕、今澤麦芽である。
久々に転生課の業務とか書いてみたくなっただけです。はい。すみません。
あぁ、今日も今日とて仕事が始まる。転生課の仕事は三日働き一日休む、そして、三日働いたら、二日休みで時間帯が変わる。三交代二十四時間営業である。しかし、これはつい最近、世界の増殖による影響で導入されたものだ。
おかげで、体内時計は狂うし、夜勤明けに飲みに行っても他の課の友神は勤務中。休みも合わない事が多く、気分転換にすらならないのだ。
神ですらそうなのに、神に仕える店の天使たちも大変であることは間違いない。特にラウンジの天使達は疲れが見てとれた。なにせ、急な事だ。店の天使たちの補充が間に合わず、彼女らは休みを取れない。下手をすれば帰れないのだ。
だからといって、朝から食堂で呑む事は出来ない。他の課の神々は転生課の勤務体制を知らない者が多いので、『転生課のヤツはアル中で、アルコール入れて勤務してるヤツが多い』などと影で言われるのは御免だ。
環境課は二交代らしいが、情報管理課は内部の部署によるらしく、情報管理課の癖に神界の情報に疎いやつすらいるのだ。
なので、誤解を招かないよう、朝、昼に飲む場合は食堂ではなく、店に行く他無いのが現状だ。
そして、その店も数は少ない。よってそこに集う神が多くなるのは必然であり、やはりその分の負担が天使に行くのである。
そういえば、あの子最近見ないな。どうしたのだろうか…………受付に腰掛け、モニターとボードを準備しながら時計を見る。あと、五分で仕事が始まる…………あぁ、転生とか適当にサイコロ振らせれば良いのに。
面に書いてある種のどれかに転生とすれば、楽なのに……。
あぁ、そういえば、こないだあの店で、あの子の噂聞いたっけ……堕天したとかなんとか……もし、そうなら、これは世界の増殖が悪い。そして、店に昼夜問わず通う俺たち神々が悪いだろう。
あの子の輝く笑顔、腰まであるウェーブの掛かったシルバーの髪、青い瞳、その全てをもう見れないのかもしれない。なんたる事か、神を癒すために、自身が病んでいくなど……この、負の連鎖を止められないものか。
そう、内心で考えを巡らせながら受付の窓口を開く。時間は勤務開始時間ちょうどである。
「はい、こちらにどうぞ~」
神は心の嘆きを無視して、笑顔で対応を開始した。一人目はドワーフ族で、すぐに終わり、次の人種でかなり時間をとられる。
なんとか、納得させて転生処理をしていると、情報管理課のヤツが報告書を持って転生課にやってきた。
「傾聴! 新たな世界で、堕天使誕生を確認。各自堕天使の情報に目を通すこと! 席数は不明だが、今後堕天使の転生も担うことになるからそのつもりで居てくれ! 以上、勤務に戻れ!」
あぁ、その堕天使はもしかして、あの子なのか? それとも別の天使が堕天したのか……新たな種として、全く別に産まれたのか……。
どうか、彼女に安らぎと幸運があらんことを……。
心でそう願いながら、次々と転生処理を行っていくのであった。神には、ただ嘆くだけの暇など有りはしないのだ。
次回更新は明日の夜になる予定です。
応援、評価、ブックマーク本当にありがとうございます。いきなり増えてて、二度見したのと、携帯落として画面砕けました←
だが、それが良い…………
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