神々は語り合う
サークル活動回です。
なんとか、更新できた……疲れと眠気……中々の闘いだった…………
可憐な少女が、綺麗な小川の上を一人の少年の手を借り、ひらりと飛び越え着地し、少年に抱き止められる。
二人は少し見つめ合い、少しの時間笑い会うと山道を登って行く。耳と尻尾を揺らし、手を繋いでーーーー。
「以上が私の管理担当する世界のケモミミっ子達です。いかがだったでしょうか?」
その声を皮切りに、至るところから拍手と喝采、嗚咽の声が響く。
「素晴らしいケモミミだった。最後のなんて、躍動感、背景、シチュエーション、全てがケモナーな我らの魂を揺さぶる!」
「あぁ、全くだ。チョイスが素晴らしい。ウサミミの少年に、犬耳の少女……あぁ、揺れる耳と、垂れた耳のコラボレーション!」
「確かに素晴らしかったが、我はその二つ前の熊耳の青年と猫耳の彼女の方が…………」
「たしかに、尊かった。けど、やはりケモミミは垂れた犬耳の方がーー」
「いや、猫耳とあの尻尾がだなーー」
「まてまて、ウサミミとふわふわの尻尾もーー」
「待ちなさい、狼とウサギ、これは譲れないわーー」
「カップリングなら、こないだの報告会のーーーー」
こうして、会合は日が落ちても続き、そのあと場所を居酒屋に移して一部の神々は朝まで語り合うのだった。
これが、サークル『ケモミミふれんど♪』の活動実態である。
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静かなテラスを貸し切り、それぞれが持ち寄ったスライドを投影していく。
真っ白な布地に映し出されるのは、細身で薄い服を身に纏った男のエルフだった。弓をつがえ、的を狙う。そんな構図のスライド。
十分に時間を置き、スライドが切り替わる。今度は見た目が小さく、耳が普通のエルフより長く、そして背中に羽がある。つい先日、出来た世界で見つかったらしいフェアリーエルフと、解説文が邪魔にならないところに流れる。
数枚切り替わり、男女のフェアリーエルフが笑い合っている画像で止まる。
さらに、時間が経ち、画面が切り替わる。今度は厚めの生地、作りのしっかりした衣服を纏う、耳が今までで最も長いエルフが映し出され、エルダーエルフと解説が流れる。
それから、二時間後無言の上映会は数回の休憩を挟みながらも終わりを迎えた。
ゆっくりと静かに拍手が増え、およそ二分間鳴り止まずテラスに響く。
「これを持って、第二十八回エルフスキー上映会を終わります。皆様、お足元、お忘れものに注意してお帰りくださいませ」
天使の声がアナウンスを告げ、会場テラスの後ろの席から続々と神々はテラスを後にする。
数人グループをつくり、居酒屋に流れるもの。一人、妄想しながら帰宅する者。様々だが、皆の顔は明るい。
こうして、サークル『エルフスキー』は一部で語り合ったり、個々で楽しんだりして、自由に活動をする。
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これが、一部サークルに潜入させている情報管理課の職員達からの報告書である。
「問題無さそうね」
そう呟き、課長神の女神は報告書から、手元に持つ私物の薄い本を開き、息を荒くしていた。
本のタイトルは『野バラ~十二号~』、貴婦人の会の活動本である。
閲覧頂きありがとうございます。
次回更新は明日の12:00予定となります。お付き合いよろしくお願いいたします。