神は守りたい
次の更新は本日予定ですが、時間は不明となります(´Д`)
「キレイな世界だ」
思わず仕事中と言うのをわすれ、目の前の景色を楽しんだ。目の前にあるのは、幅が目測で百メートルはある澄んだ綺麗な川、その奥になだらかに山へと繋がるほのかな香りを風にのせる自然の花畑、ゆっくりと川上の方を向けば広がる森林、すべてにおいて『キレイに整っている』、生まれたばかりの世界だ。
世界の生まれはわかっていても、こういった生命の誕生が世界の誕生と同一になり、文明はある一定進んで生まれている。ゼロスタートではないのだ、情報管理課の研究員の説では『世界は認知する時に生まれる』、ならば文明も、生命の営みも全てはその際に生まれると言う。
まぁ、突如生まれた私のような神々は『なるほど』としか思わないが。なにせ、生まれたら周りに神々が居る。つまり、私の認知する中に私の居ない世界は無いのだから。
「なぁ? アレないか?」
男神に後ろから話しかけられ、気分を害される。
「なんですか? 私は貴方の妻じゃないですから、なぁとかアレとか言われてもわかりませんよ?」
「ん~~? おにぃちゃんとおねぇちゃん喧嘩???」
幼い神が河原の不安定な石に足をとられながら、転けないようにゆっくりと近づく。
「喧嘩なんてしてないわよ~」
優しく微笑みかけ、ふわふわの短い髪を撫でる。
「そっかぁ♪」
「あぁ、そうだぞ。ちょっと調査の為に魚を採る道具がないか? って聞いただけさ」
「おさかな!? 食べるのっ?」
「うーん、やむ無く死んだらかなぁ。バランス崩れるのはなぁ」
そう答えた男神に、幼い神は頬を膨らませ不服を表現する。と、尊い! 脳内保存を! 綺麗な景色と不満げな幼い神……映える!!
「で、あるか?」
「え? なにが?」
男神に問われ、質問に質問で返す。
「いや、釣具とかだよ」
「あぁっ、有るわよ。あっちの岩にあるバッグに入ってるわ、調査捕獲なら中にある桶とかも持ってきた方がいいわよ。あと、網はダメよ?」
「ん。わかってる、じゃあ、とってくるわ」
男神を見送り、河原の石で不満げに遊ぶ幼い神を眺めに戻る。
「おっかしいなぁ……」
「おにぃちゃん、どうしたの?」
「いや、釣れねぇんだよ。なんでかな? って」
何度も釣糸を垂らすが、一向に釣れない。
「おにぃちゃん、餌はつけないの?」
「あぁ、そう言う小さな虫にも魂とバランスがあるから中々な」
この男神は常識を持っていた。私の中では男神=性欲≠世界のバランスなので、正直驚いたのだが。
「ボクもする~♪」
隣で糸を垂らし出した、笑顔の幼い神を観ながら、あぁこの平和な世界を守りたい。そう心に留めるのだった。
やはり、当たりもない。針が流れに馴染んで無いのか…………竿を立て、針を確認してもう一度ゆっくりと倒し水へいれる。幼い神も、同様に繰り返し、流れる水面を観ながらのんびりする。
男神は幼い神が、満面の笑顔で、魚を釣り上げるまで、ゆっくりと時間の流れを楽しみ、調査を続けた。
こんな仕事もたまには良いものだ。そう感じながら。
なんとなく、ゆったりとした回を入れたくなったので書いて見ました。
癒し……欲しい……
閲覧ありがとうございますm(_ _)m