神は不毛な争いに身を投ず
更新。今回は、以前友人と笑いながら話してたネタをブッコミました。
わかってない。コイツらは何もわかってない。仕事終わりに居酒屋で、鬱憤を張らそうと同僚と飲みに来たのだが、俺は勘違いをしていたようだ。
いや、違うな。とんだ見込み違いをしていたと言うべきだ。昨今の転生課はとにかく多忙だ。多少の増員にも関わらず、多くの対応者が来る。
その中の人種は厄介なモノも多いが、礼儀正しく、守ってやりたくなるようなモノも多い。
これまではシステムが上手くいかず、モヤのようにしか見えなかった魂が、情報管理課の構築が上手くいったのか、見た目は生前のままやって来るようになった。
そうなると、我らの癒しは幼い女神の笑顔や、手作りクッキーだけではなく、いかに良い魂と出会えるかにも掛かってくるのだ。
「~~だから、獣耳の子は最高だって!」
同僚の神は、一気にエールを飲み干し断言し、ツマミを一つ口に運ぶと追加のエールを頼む。
「まて、獣耳なんて、所詮は動物由来の変異種だろうが……エルフこそ至高よ」
さらに、隣の同僚はテーブルに肘をつき、手を組み顎を載せて否定する。
先程から繰り広げられるのは、魂の見た目と、どの種族が性格が素晴らしいか、などの不毛な争いだった。
「はんっ! エルフなんて、耳が長く尖ってて、癒しにはならんだろうが! 触ってもモフモフ、膝枕しながら撫でれる獣耳は究極! それに比べ、エルフは耳が太ももに刺さるね、絶対」
「なに? それを言うなら獣耳など抜け毛が気になってペロペロ出来ぬではないか!」
本当にこいつらは何を言っているんだ? 膝枕? ペロペロ? 接触禁止なのにそんなこと出来るわけ無かろうに……。
うろんな目で二人を眺めつつ、エールを流し込み、一息いれてため息をついた。
「は? バカかお前? ペロペロとか、獣耳の子にされたら最高だろうが! これ絶対!」
「あん? お前がバカだろ、何をペロペロさせる気だよ、変態がっ! テイスティングは男のロマンだろうが! わかれっ!」
どんどんエスカレートしていく二人を眺め、また大きなため息をつく。本当にこいつらはわかってない。この不毛な争いに終止符を打つべく、息を吸い込み発言する。
「落ち着けお前ら。二人の意見はわかった。だがな、どちらが上って事はない。紳士の神ならわかるだろう。そう、幼い子に敵うモノは無いのだ! 幼いエルフ、幼い獣耳、幼い全ての人種こそが至宝! 種族など小さきことよっ!」
「「黙れ! ロリコンっ!!!!!」」
こうして、未明まで論争は続き、更には他部署の神々を巻き込み神界の夜は更けていくのだった。
次回更新は明日かな?と予定してますが、明日はネット開通工事の為どうなるやら……
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