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美の女神はもてはやされたい~りたーん~

 あ、なんか美の女神が個性強すぎる。ちょ、やめっ!勝手に動くな!

 兼ねての懸念が現実になった。他部署から私の所属する環境管理課二課制になり、その二課は別称で呼ばれ出したとランチタイムにカフェのテラスで耳に挟んだ。


 ロリ課と。


 それを聞いた瞬間に、私は怒りをこらえるのに必死だった。なにせ、美の女神の私が、完成された美の化身たる私が居ながらぽっと涌いて出た幼い神々に看板を取られたような物だ。


 いつものランチよりも、デザートを多めに頼みメニューの端から端を制覇したのもすべてはロリを蔓延らせた、課のロリコン達のせいだ。

 込み上げる怒りを、デザートと共に飲み込み、甘いミルクティーで喉を潤すタイミングで椅子が壊れ、ミルクティーのぶっかけなんて卑猥な絵面になったのも全て、奴等のせいだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ここに来るのは、どれくらいぶりだろうか? そうだ、強制労働指示が出る前だからかなり久しぶりだ。

 ここは、落ち着く。転生課のデスクとは違い、木々のざわめきや、小鳥の鳴き声、涼やかな風、美味しいご飯、そして、木々の軋む音が心地いい。


「――ん? 木々の軋む音?」


 最初は軋む音が緩やかに鳴っていたが、徐々に何かが潰れ、へしゃげる様な音へと変わっていく。音のなる方へ顔を向けた瞬間に、破滅的な倒壊音が響いた。


 粉々になりと降り注ぐ木片の中央で、この世の物とは思えないものを見た。見てしまった。


 まるでオークかトロールのような樽体型、太く張り詰めたソーセージのような手足を広げ、頭から白濁の液体を被る謎の生物を。


 しかも、誰の得にもならない紫の下着まで見えている。


 ヤバイ、吐きそうだ。先ほどまでの爽快感から、絶望の崖へと突き落とされ顔をしかめるので精一杯だ。


「ちょっと! なに欲情してるのよ!」


 倒れてるオークと、目が合いより気まずくなる。欲情はしていない、催してるのは吐き気だ。


「ふん、まぁいいわ。得をしたわね、完璧な美の女神たる私のこんな姿を見れるなんて、千年は無いわよ」


 むしろ、一生お断り願いたかった。かろうじて、そうですね。とは言ったものの、トラウマレベルだと警報が脳内に鳴り響く。


 耐えられず席をたち精算する。

「あら、いい心がけね。お礼に私の分まで持ってくれるなんて、今晩どうかしら?」

「いえ、今晩は仕事ですので……ではこれで失礼します」

 とんだ厄日だ。汚物を見せられて、アホな金額のランチ代を支払わされ財布が薄くなるし、さらには夜の誘いとか…………もうやだ、おうちに帰りたい。


 沈んだまま、転生課のデスクに戻ると、幼い女神が小さな足音をたてながらやって来た。


「だいじょおぶ? 顔色悪いよ? よかったらこれ食べて元気になってね♪」


 手渡されたのは、可愛いラッピングのされたクッキーだった。多分これが、噂の幼女神の手作りクッキーなのだろう。課内の男神オークションでつい先日給料一月分の値がついていたはずだ。値段はどうでもいい。これは、ゆっくり味わおう。


「ありがとう。元気がでたよ」


 そうお礼を言って頭を撫でると、さらりとした髪が、ふわりと手のひらを押し返し、夢のような手触りで天に昇るようだった。あ、ここ神界だから天だわ。


「えへへっ♪ よかった、顔色少しよくなったね♪」

 そう微笑み、天使は自席へと戻っていった。


 ふと周りを見ると、男神から刺すような視線を向けられていた。


 なんていい日なんだ。


 彼は直前に、テラスであった事を既に忘れていた。男神なんて、そんなものだ。



 美の女神からの、幼い女神の展開…………これ、テンプレ?


 応援ありがとうございます。下の☆評価頂けると励みになります。


 今なら闘える気がする!多分気のせい←

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