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式部先輩(奈々)

作者: 狼花

 式部先輩と相談することができず、部活の弓道でスランプ続きの私。

10回やって、2回しか的に届かないとは…

「ドンマイ」

同じ学年の人や先輩が優しく励ましてくれます。

けど、式部先輩だけは無表情。

・・・やばい、今日は練習を早引きしたいくらいです・・・


 こうしてスランプのまま部活が終了。

片付けをして顧問の先生と先輩たち含めみんなで軽いミーティングをして解散

・・・ふぅ、今日も無事終わりましたね・・・

部活が終わることを早く願ったのは体力のついてない入りたての時だったな

(昔は体力面だったけど今は精神面で部活が早く終わることを願うなんて…)


 「では、解散」

部長の式部さんが声をかけ今日の練習はこれで終わりです。

「あ、七野あんたは残って」

「え!」

・・・なんだろう、もしかして昨日相談したことで何か言われるのかな・・・

少し怖くなってきました。


 「ついてきて」

式部先輩に言われて弓道場の中へ戻ります

「あの、道場の閉館時間は」

「お願いして30分だけ伸ばしてもらった」

「ほら、時間ないから準備して」

言われるがまま私はいつものように的に向かって弓を構えます。


 いつもと違うのは式部先輩が隣にいること。マンツーマンです。

「じゃあ、いつものようにやって」

・・・すごく緊張しますね・・・

まずは練習と同じようにやってみます。

するとやはりスランプ。

矢は的に当たる前に地面に落下。


式部先輩はそれを見て今度は道場に設置された的を外しました

・・・え、何やってるんですか先輩・・・


 「今度は壁に向かって、飛ばして」

「え、でも的がないんですけど」

「どこに当たってもいいから」

「わかりました」

そんなの簡単ですよ。

私が弓をひくとドンという音ととも壁に矢が突き刺さる

「もう一回」

結果は同じまた壁に矢が刺さります。

「もう一回」

・・・なんどやっても一緒ですよ・・・


 結果を見て式部先輩は的をもとに戻します。

・・・やっとまともな練習になりますね・・・


 「今度は的の中心には当てないで上を狙って」

「え?」

何かわかりませんが言われた通りに的の中心より上を狙うと矢は見事的の真ん中に命中。

「当たった!!」

「まず七野は中心に当てることを意識しすぎ。で、自分に自信がないから的にハズれた時、

 すぐに弓の引きや握りの強さとかを自分でどんどん変えていく。だから射形も乱れていく」

(※射形というのは弓を引く一通りの体の動きや姿勢のことを言います。)


 「もっと肩の力抜いて、自信を持ちさいよ」


 そういうと式部先輩は自分の弓道具を持ち道場をでます。

・・・厳しいけど式部先輩っていい人ですね・・・


 私は怖い人だとばかり思っていましたがいい人です。

さて、片付けをして帰りましょう。

30分よりほんの少し遅れそうですが間に合うでしょう。


 「あと七野」

「なんですか♬」

「私はあんたみたいになよなよした緊張感のない奴が嫌いなの」


 なんということでしょう。先輩に対して好感を抱いていたのにこんなにも早く

突き落とされることになろうとは。

わずか30分で私の心は先輩に対しての苦手意識が下がったり上がったりと大忙しです。


 ・・・ 悪かったですね、なよなよしてて怒。 でも、ありがとうございます先輩・・・


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― 新着の感想 ―
[一言] 厳しい中にもやさしさが見える先輩 っていいですよね。 憧れます。
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