第八十四話 探索艦の役割? 決意の揺らぎ…
遅くなりました。
予告通り会話だらけです。
今回、本文自体は割と早く出来上がっていたのですがどうしても納得がいかず、修正をしまくって時間が掛かってしまいました。
*調査部出身→情報部出身に修正しました
*2024/3/1 大規模修正を行いました(半分は差し替え…疲れた)
展望室……ここは他基地にはない、この基地にだけある空間であり職員の福利厚生を目的として造られた。
ただ単に「ありのままの宇宙」を眺めるだけに存在しているこの部屋はイスとテーブルしか置かれていない殺風景な空間。
形状は奥行きが四十m、横幅が二十m、高さが五mの立方体をしており、球状の施設には珍しく「基地の中心」に足を向けて過ごす部屋ではなく「半径に対して垂直向き」に設置されている。
この特殊な空間は「この基地だけ」と言ったが、これは他基地の約四倍の「表面積」を有するAエリア基地だからこそなせるのであり、直径が半分しかないB・C・Dからしてみればとても贅沢な空間に当たる。
とは言え単に外の景色が見通せるだけ。それだけならば宇宙の景色に見慣れている探索者には見向きもされずに職員勤務の職員専用となってしまう。
なので探索者であっても満足のいく空間にしようとちょっとした工夫が施されてあった。
四人と一体が部屋の手前に設けられた「重力調整エリア」にある転送装置から現れる。
そこは「体の向きを変える」ための廊下で無重力空間となっている。そこで軽く「ジャンプ」をすると「自然と」体の向きが変わり扉の前まで「勝手に」運ばれてゆく。扉に近付くと自動で開きそのまま中へ。
扉付近は重力制御が働いていたので、最初の一歩は苦なく床につく。
展望室は奥へと細長く続く薄暗い部屋で、正面左側の真空空間と接している外壁である壁面以外は真っ黒。
左手の壁に見えていたのは肉眼で見るのとは違った宇宙で、探索艦から見るのと同じ景色であった。
その壁以外の天井や床、そして右側の壁は全て艶の無い黒色系統で統一されているが、手前から奥へ疎に置かれてある椅子やテーブルとその真下の床だけは薄らと淡い光を発していた。
椿を先頭に暗い室内へと進む。全員が入り扉が閉まると部屋が一気に暗くなった。
だがすぐに天井と右手の壁に無数の「光」が灯り始めると周りが見通せるくらいの明るさへと変わった。
この無数の光は星々が発する光。
基地に届いた星々の光を「取り込んで」いるらしく、大小の『マゼラン雲』の塊や『アンドロメダ銀河』、更には『さんかく座銀河(M33)』までもがくっきり見えていた。
「こちらへ」
といくつかある内の扉から十m程離れた椅子に腰掛ける。
四人が着席したタイミングで床面までもが外の景色に切り替わる。すると一段と部屋が明るくなった。とはいっても紙に書かれた字が何とか読める程度にだが。
「お? おーー」「ん?」「キャ!」
床面一杯に映っているのは広大な天の川銀河。
一瞬で床が無くなったので宇宙空間に放り出されたと脳が錯覚。思わず声を出したが、未だ床面から引力が作用していたので直ぐに「仕掛け」に気付けた。
これは探索艦とはまた違った感覚であり、景色も艦から見るのとは違った趣きがある。
だがこの程度探索艦乗りならば日常のありふれた光景だし、特にコックピットで浮いているだけの私には動揺とは程遠かった。
ただ艦以外でこのような精密な風景を再現した部屋は初めてである意味新鮮に感じた。
というのも探索艦の球体壁面モニターは、可視光だけでなく各種電磁波も参考に、私達にも認識し易いようにと画像処理をした上で鮮明に映し出してくれている。
だからか私と奈菜は眉毛を軽く動かすだけの動揺で済んだのかもしれない。
次にテーブルの上面が淡く光出すと、数m離れた位置にアンドロイドがスーと現れると紙媒体を彷彿させる空間モニターにて「メニュー表」を配っていく。
「私はいつもので。皆さんは何にしますか?」
「ダージリンをアイスで」
「私は……それにレモンを」
「アイスラテ……渋め」
「賜りました」
ウェイトレスが頭を下げてからスーと下がって行く。それに軽く頭を下げる椿。
「ところで皆さん……」
ウエイトレスの気配が消えたところで椿がテーブルの上で手を組むと、私たち三人に訝しげな眼差しを向けてくる。
その視線に身構える三人。
因みに菜奈が操っているアンドロイドは少し離れた位置で銃口を下に向けた状態で待機させている。勿論引き金に指を掛けた状態で。
「あの……そのままでよろしいのですか?」
三人の顔を順に見ながら怪訝そうな顔つきで聞いてくる。
……そのまま?
椿が何を言いたいのか分からずお互いに目配せしてから椿を見る。すると人差し指で自分の頭を指刺した。
──頭? …………お、シールドか!
三人同時に気付き、同時に頭部保護シールドを解除する。
それを見て椿がクスクスと笑う。
「皆さんと会えなかった僅かな間に、そのままでも飲食可能なように仕様変更されたのかな? って」
「もっと早く教えてくれればいいのに~!」
私とクレアは恥ずかしくなり俯く。
菜奈だけはシールドを解除した後も表情を崩さず椿を見たまま。
ただ今のやり取りで少しだけだが緊張が緩んだ気がした。
「一つ……いや色々と聞いてもいい?」
「どうぞ?」
「ウチの探索者のアリスがここにいると思うんだけど?」
「何故彼女を探しているのですか?」
アリスの名を出しても口調表情一つ変えずに聞き返す。
「大切な……仲間だから」
「大切……ですか。その情報に間違いはありません。はい、確かに彼女はここにいます」
隠さずサラっと答えた。
「今すぐ会えない……かな?」
「すいません。今はちょっと用事がありまして。後ほどで良ければ」
「元気なのよね?」
「はい」
笑顔での返事。
「分かった。次の質問しても?」
「遠慮せずにいくらでも、気の済むまでどうぞ」
「あなたは椿……よね?」
「他の誰に見えます?」
首を傾げて聞き返された。
このタイミングでウェイトレスが現れ椿から時計回りで飲み物をさり気無く置いてゆく。
因みに円卓の並び順は椿→菜奈→私→クレアで、それぞれに飲み物が行き渡ったところで椿が紫色の炭酸水? が入ったタンブラー風の透明なグラスを両手で握ると、呟くように口を開いた。
「この姿は二百年近く変わらないんですよ。……成長もせず……老いもせず……死ぬことすら叶わない」
「死ねない?」
「はい。病気は勿論のこと、傷一つ付けられません。とはいえ今は死ぬわけにはいかないので「過激なの」は試していませんが」
「不死身?」
「はい。未だにどのような原理かは判明してはいませんが「消失現象」の影響なのは確かですね」
死ねない……これは「人」にとってとてつもなく大きな意味を持っている。
現在、殆どの人類は「生体強化」の恩恵で病気にはなり難い、そして怪我も脳や心臓や脊髄といった重要な器官を失わない限りは程なく元の状態に戻せる。
また「寿命」だが「生体強化」と「脳内チップ」の恩恵で、自らが望まぬ限りは百歳程度は無事に過ごせるよう「設定」してあるが、大抵の者は七十~八十歳を過ぎたあたりで「人生の幕引き」を望みだす。
そうなる要因は色々と考えられるが、人の精神は長い年月に耐えられないからだと言われている。
その寿命の二倍以上を生きてきた椿達。
こんな身体になった時は僅か十二歳の子供。しかも「生体強化」といったサポートもなかった時代。
そんな時代に生まれ、その後二百年もの間、精神崩壊も起こさず正常な状態を維持してこれた。
これは驚愕に値する。
(余談だが「老化現象」だけは「生体強化」の範囲外。なので加齢と共に容姿は変化してゆく)
「幸か不幸か「欲」は以前と変わらずあり、食欲などの減退もありませんし、新陳代謝も行われている……にも拘らず成長が止まったのには納得がいきませんが」
淡々と話す椿。口調表情から悲壮感は感じられない。
「あの時、あの瞬間に時が止まった……という感覚ですかね。多分ですが、正しく「力」を昇華出来なかった「報い」かと」
「レベッカがあなた達の体に「驚くべき変化が起きた」って言ってたのはそのことだったんだ」
「レベッカはそんな事まで……」
マジマジと見てくる。
「それで、その変化のお陰で桜が生きていると知った?」
「そうですね。その時に発現した……いえ「気付いた」との言い方が適切ですね」
「気付いた?」
「はい。皆さんご存じの『繋がり』です。貴方達探索者であれば誰もが使える「繋がり」は艦AIの補助があってこそ使える代物ですが、それは神が私達「贄」に与えてくださった「奇跡」が元になっています」
「……元?」
「そうです。お互いの存在を感じることが出来る「繋がり」。これは何十年も研究に研究を重ねて改良をした上で、探索者であれば誰でも使えるようにと探索艦にフィードバックさせたもの。それが「繋がり」の正体です」
「…………」
「何千、何万光年と離れていても、探索艦と契約さえしていれば、存在だけでなく「会話」が成り立つ。とても素晴らしい能力と技術力。ですが探索艦など無かった私達はその恩恵には与れません。なので出来る事といえば漠然と感じ取るくらい。当然会話なんて夢のまた夢」
「もし双方に艦を用意出来たら?」
「何も変わりません。相手となる姉が認知外にいれば、使えるのは「繋がり」のみ。同じ世界にいなければ「繋がり」は成立しません」
「…………」
「ですが悲観はしていません。「生きてさえいれば」いつかは会えると信じているので」
ここでも悲壮感は感じられなかった。
「実は……先日お姉さん……「桜さん」に会ったの」
「ドリー……ですよね?」
「知ってた?」
「はい。顕現したのは。会えたのは「友人」のお陰ですね」
「友人?」
その単語には聞き覚えがある。
「そう。そばで貴方達を見守っている、とても強い人……」
握ったグラスを虚な眼差しで見ながら呟く椿。
「エマさん、何故Bエリア基地だけそばに惑星が……いえ違いますね。何故Bエリア基地だけが惑星のそばに建設されたと思います?」
「……分かんない、かな」
「それこそ無数にある惑星の中から何故ドリーが選ばれたのか」
「お姉さん……桜がいるから?」
「違います」
「なら……やっぱり分からない」
「一番の目的は姉……桜に気付いてもらうため。その条件を満たしていたのがドリー」
「?」
「一種の「賭け」でした。可能性が一番高いドリーを選択した上で改造しそこに街を作り、桜のDNAを受け継いだエマさん姉妹の分身体を常駐させた。目的は想定された「入れ替わり」が起きた際に、こちらの意図に気付いてもらえるようにと」
「気付く? 意図とは?」
「…………」
その問いには答えず、一度だけ笑みを見せてから話を続ける。
「あちらの科学レベルはこちらよりもかなり進んでいるようで「入れ替わり現象」によってモノがやってきた場合は、どこであろうとすぐに探知出来るようなシステムが構築されているそうです。そのモノの中に桜のDNAを受け継いでいるバイオロイドがいたとしたら?」
「直ぐに調査が開始される。……バイオロイドは桜に興味を持って貰う為の撒き餌というわけね」
「はい」
良く出来ましたといった表情で返事をした。
「……あそこで私が会えたという事は、桜に友人の意図が通じた?」
ドリーで会ったあの桜の悲しそうな様子。あれは何かしらの意図を察したから?
「はい、桜の生存が知れ渡ったのと同時に桜とエマさん、この二人の顔合わせが無事済みました。これは素直に「喜ぶべき結果」だと思います」
「…………」
「どうされました? 浮かない顔をして? もしかして彼方で……何かあったのですか?」
「ううん、何でもない」
観察するような眼差しを向けてくる。
この時に「こんな機会が何度もあるワケがない。穏便に話せている今こそが「力」を返すに絶好のチャンスだ」と思ったがその話を今切り出しても上手く行かない気がしたので、黒い瞳から視線を逸らしてしまった。
「そうですか? 私は今でも反対なのです。こんな回りくどい、賭け染みた真似をしないで、貴方が自らの意志で「贄」となり、準備万端な状態で世界を渡って貰うのが一番確実だと。そのために探索艦、そしてBエリア基地を用意したのですから」
「? 艦は分かるけど基地?」
「Bエリアに所属している探索者は二組を除き、全て「贄」の素質が高い者達が意図的に集められています。勿論情報部出身のペアも含めて。その為のBエリア基地であり、その纏め役がサラさんなのです」
「!」
何か重要なことを言われた気がするがそれどころではなくなった。ローナ達の素性に気付いていた方が気になってしまう。
「逆に言えば他エリアの探索者は」
ここで一度菜奈に視線を向ける。
「一組を除き「贄」になれる可能性が限りなく低い者達。ただ単に体裁を整えるためだけに日々作業をこなすだけの存在と言えるでしょうね。その証拠に「遺跡」は見付けられませんでしたよね?」
「…………」
今度はクレアと奈菜に目配せをする。
「そちらのお二方も本来であればBエリア配属の予定でしたが……上手くいかないものですね」
「上手くいかないって……」
「「贄」となり世界を救う。崇高な行為ではありませんか?」
「それで世界を救えるのなら」
「ですよね」
爽やかな笑みを浮かべる椿。
「でも実際には失敗という前例がある」
「それは「消失」に関する知識不足や準備不足から起因したもの。さらに十二歳の少女達のメンタルを考慮せず、二人に全てを背負わせたのが元凶。キツイ言い方ですが、あの失敗は起こるべくして起きた悲劇なのです。ですが今ではそれも是正され、政府が全面的にバックアップする体制を敷いています」
「政府が? バックアップしてるって? これのどこが?」
「探索者一人に一艦ずつ探索艦が充てがわれていますよね? 探索艦の価値、どのくらいだかエマさん知っています?」
「そ、それは……」
「広大な宇宙空間に人類は進出しているにも拘らず、未だに資源採掘事業が手広く盛んに行われていますよね? 人類が生存していくだけであれば「一銀河」程度でも充分なのに」
「う、うん」
「あの事業の目的はとても希少な物質の発見と回収。こちらの世界ではほとんど存在しておらず、又人工的に作れずと常に不足気味。だからこそ政府は最優先採掘事業に指定し、官民合わせて数万隻の採掘船を使って回収させているんですよ」
「希少ってどの部分?」
「探索艦の外装とAI本体。これらは一つの銀河でやっと一艦分。同様に探索者の頭に入っているナノマイクロチップ。これは一般人のそれとは目的が異なるので希少な物質を用いています。特に貴方達六人は他の探索者のチップとは、比べられない程の貴重品です。この原材料を再び集めるのなら、数億光年先の銀河まで出向かなければなりません」
数億光年先の銀河。つまりこの辺りの銀河は取り尽くしてしまったと。
「因みに人類に漏れなく埋め込まれているマイクロチップですが、こちらは探索者のそれとは全くの別物で特別な機能等は一切ありません。あるのは少々複雑な事情のみ」
「事情?」
「はい。表向きは人類の為にと実施されましたが本来の目的は全く違います。因みにこの仕組みを発案し、政府に進言したのは皆さんご存知の「レベッカ」です」
「…………」
「ところでそのレベッカは研究所設立の目的の説明はしてくれましたか?」
「分身体を「贄」の代わりにするためだって」
「はい。結果的にその実験は失敗しました」
「それも聞いた」
「その結果を受けて考案されたのが探索艦を使った「贄システム」です。そのシステムの遂行に艦AIは欠かせないからと、一般とは比較にならない高い次元でプログラムを組んだのです。「覚醒」を果たした者を完璧な「贄」へと成長させるようにと」
「…………」
「……研究所運営開始後、早い段階で「第一世代型」が完成し順調に進化を遂げましたが、別の部門で進行していた「分身体計画」は上手くいかずに破綻しました。ただ破綻しても「分身体計画」は計画の要で辞めるわけにはいかない。なので別の手段を考えなければならなかった。ならば「本来の人を使った贄システムに戻し、それに探索艦を生かそう」と方針を変更したのです」
「……本来の人……」
「はい。お三方には結果は「言わずもがな」ですね。「贄」となる探索者の監視及び誘導を都合よく行えるようにと調整されています。それこそ手八丁口八丁……あっ手はありませんね。あらゆる手段を行使してでも、エネルギースポットを効率良く回るよう仕組まれています」
「…………」
「それぞれの思惑に一切干渉されない、探索艦による「贄自動育成システム」。良く考えられた理想的なやり方ですよね」
「…………」
「ここまで説明すればもう分かるかと思いますが、レベッカがやってきた事は例え最善であったとしても探索者の意思を無視をした行為。私個人としては決して承服出来るものではありません」
「…………」
「それでも結果的に行き着く先は私達の思いと同じなのですから目を瞑るしかなかった。ですが今回エマさんは見事「贄」になることが出来た。この部分だけでもレベッカに感謝しないと。そして私の長年の夢が叶う時がもう目前に迫っています」
スラスラと経緯を述べる椿に言葉が出ない。
この時点で「贄」にはならない、椿を説得するという決意が揺らぎ始める。
目の前にいる椿は想像を絶する様な想いを積み重ね二百年という途方もない時間を過ごし、そして今を待ち焦がれていたのは間違いない。
並々ならぬ決意で「贄」となり、その決意以上の固い意思でここまで生き抜いてきた。
その差を感じ取り途方に暮れ俯いてしまうが同時に「何かが違う」といった違和感に気付く。
視線の先には足の上に置いていた自分の手が。
その手に両脇から伸びてきた手が重ねられる。
その手の持ち主はクレアと奈菜だった。二人は私を見ながら力強く頷いた。
──うん……諦めちゃダメだ。まだ何もしていない。
重ねられた手を握る。
私達のやり取りを黙って見ていた椿が「折角ですからどうぞ」と手を付けずに置いたままにしてあった飲み物を勧めてくれた。
一呼吸、間をおいてから手を伸ばす。
とここで突然、展望室の扉が開き私の背後から廊下の光が差し込んでくる。
振り向いたが不意のことで眩しく、そこにいる者達の顔は見分けが付かなかった。ただシルエットは一目瞭然で誰が誰と判別は出来た。
だからこその違和感を覚える。
「待たせたな。歩くのもたまにはいいもんだな」
声までそっくり。だが聞いたことのない口調に違和感が増してゆく。
そして背後の扉が閉まったところで女性の顔が見えてくる。
直後、甲高い音が室内に響き渡る。これはコーヒーカップではなく、ソーサーにティーカップを落とした音。
女性がその音に反応し、椿に向けていた顔と目線がこちらへと動く、が私を見ているようで見ていない。どうやら私の後方を見ているようだ。
静寂に包まれる部屋。動いているのはティーカップを手放した状態で手を震わせているクレアと各々の視線のみ。
椿はレイアではなくクレアを。
奈菜は女性から目を離さない。
菜緒はエマら三人を認めた明るいうちに室内を見渡す。その際、椿を認めて固まったまま。
マキはレイアをさり気なく見ている。
菜緒やマキの後方にいたランとソニアはエマを見つけると笑顔になった。
この張り詰めた空気の中、菜奈が操るアンドロイドだけは我関せずと終始、椿から視線を離さずにいた。
次回は5/6に投稿出来なかったら場合、9日か10日になります。
毎度遅くてごめんなさい。




