帰還?
時間間違えてました。
後で修正入ると思います。
*今話から主人公の視点に戻ります
*2023/6/18 大規模修正を行いました
先に基地に帰ってきたのはエマ達であった。
基地から一光秒の距離にて跳躍を終える。
普段であればこの時点で情報連結が始まり、全方位モニターの一部に「拡大表示された基地が映ったウインドウ」が表示される。
エマにとっては普段と変わらぬありきたりな、気が緩む瞬間。
それは前回の帰還まで繰り返された日常。
だが今回はいつもと違った。前回でさえ出たのに今回はウインドウが出なかったのだ。
この「普段」は搭乗者が設定したものではない。なのでエマの艦特有というより全艦共通の設定だと思われる。
その証としてランから動揺した声が聞こえてきた。
『⁈ ……基地が……ない‼︎ そ、そんな……まさかまた……』
違和感に気付いたランが必死に周辺を探し始める。だが基地は何処に見当たらない。
──よしこれなら大丈夫だね。
ランの慌てぶりに満足。ノアの能力の高さに感謝しつつ、これ以上ランを実験台にするのは申し訳ないのでネタバラすることにした。
「ラン落ち着いて……シャルロット?」
『ウフフ、はいエマ様♡ ポチッとな』
ボタンが押されるアナログ音が聞こえる。
「ポチッとな」の掛け声と同時に真っ暗な宇宙空間が映し出されているモニターの中央にポツンと小さな基地が「忽然と」現れた。
『はへ⁈ ほえ⁇ ど、どういうこと⁇』
『オーホホホホ、お嬢様! 見事なリアクションでございます‼︎ これでしたら探索者をクビになっても芸人として』
『りあくしょんが、な・ん・で・す・っ・て⁈』
あのランがブチ切れた!
『ヒィェーー、皆様御機嫌よう……プチ』
あっ逃げた……
これは不味いと作り笑顔でフォローに入る。
「ゴメンね。どうしても誰かで試したかったの」
『何を……ですか?』
「さっき基地が見えなかったでしょ?」
『はい』
「艦と同じ性能の隠蔽迷彩を施したのよ!」
『へ? 迷彩ですか?』
「そうそう! 因みにシャルロットには事前にあらゆる手段を用いて「基地を見つけて」と指示しておいたの」
『そうなのですお嬢様! この私でさえどこにあるのか分かりませんでした!』
シャルロット復活。
『で、でも何のために? ですか?』
「少し前から基地に所属不明艦が来てるじゃない? で、今後、私達四人揃って出掛けた時、もしもの為の「保険」としてね」
『……なるほど……事情は理解しました……ですが……あ、あんまり……です』
そう言って俯くと泣きだしてしまう。
「ごめんごめん。ゆるして……ね?」
「消失」の後だったしランにはちょっとキツかったかな? 確かめるだけならアッチで済むし。
『う〜〜お姉様〜その言い方〜卑怯ですぅ〜』
涙を溜め顔を真っ赤にして上目遣いでモニター越しに睨んできた。
でもその顔、ちっとも怖くはないしむしろ可愛い。
「分かった分かったから。今度こそデートしてあげるから許して」
『ダメです‼︎』
「え? え〜〜」
『今からです‼︎』
「あ、そう……」
『さあ行きましょう‼︎』
何故かもう涙は止まっていた……
ラン艦は素早くエマ艦の後ろに回り込むと、水風船の様に「ぶにょぶにょ」と無理矢理押す形でのんびり長閑に基地へと帰っていく。
その際「お嬢様! 誰もいない今がチャンスでございます」などと入れ知恵をしている奴がいたが、今回も聞こえないフリをしておく。
因みにノアにも「フォロー」をしておくよう言っておいたが……
アッチは……マキだし大丈夫かな?
まぁ、任せよう。うん。
ランとは待機室で待ち合わせとしドックへ滑り込む。
それまでの間にアルテミスから不在中の基地についての報告が入らなかったので念の為、待機室へ向かう途中で聞いてみた。
先ずマキ達は一度も帰還していないと。
私達はのんびりしていたとは思わないし、逆に急ぎ行動していたわけではない。
それでも遠方に行っていた私達より遅いのは少し気になる。
ただ約束の時間にはまだ余裕があるし、慌て出すには早い。
まあ今は落ち着いているし、心にも余裕があるので信じて待とう。
それと基地やドリーへの来訪者もいなかったこと。
ドリーについては民間定期便も作戦前に来たばかりで暫くの間は予定がないらしい。
数分おきに輸送船が行き交う星系もあるが、植民惑星の中でかなり「若い」部類に入るここドリーに関しては人や物の移動はまだ少ない。
特産品がある訳でもなし、特筆すべき観光資源もない、誇れるのは人口と静かに暮らせる生活環境だけとこれからの惑星。
経済活動が星系内で完結している現状では、外部とは月に数回程度の情報のやり取りで事足りてしまう。
次にサラの容態だが順調に推移しており、このままいけば一週間以内に移植を終えて無事復帰を果たせるとのこと。
その話を聞いてまずは一安心。心配事が一つ減った。
ただサラとは違い比較的軽度の怪我で済んでいた班長達だが、意識が戻る気配が一向にみられないのが気がかりでもあった。
まあ、どちらにしても今は待つしかない。
そしてメインAI。
今朝の段階で当初の予想に反してハード部分の修理は完全に終えたので、仮の処置として探索艦のAIの「基本システム」を入れて試験を兼ねた調整を行っていた。
そこに運良くDエリアで「基本システム」が手に入ったので、早速「入れ替え」をして貰っている。
これが上手くいけば転送装置が復活。その他の不便も解消されるだろう。
Dエリア基地から一緒に貰った「各種の情報」は、基地AIが復活次第移植し、その後に三人の艦からもBエリア固有な情報を落とし込む予定。
ただ情報共有は基地AIが復旧すれば勝手に始まるので我々探索者が気に掛ける必要な無い。
必要ないが共有出来たかの確認くらいはしておくつもり。
だってその情報が単独行動中いつ必要になるかなんて分からないし、その時に後悔したくはないからね。
帰還厳守時間の12:00までまだ大分余裕がある。
時間ギリギリに帰って来るとは思わないけど、ゆっくり基地内を見回る余裕はあるかな?
でもマキ達が行っている宙域は私達よりも近い筈なのに、未だに戻って来ていないのは少し気になる。
何事も起きて無ければ良いけど……
のんびりと考え事をしながら「飛んで」きたので昨日よりも少しだけ移動に時間がかかった。
私にはノアみたいな器用な真似は出来ないから尚更の事。
そんな私を嫌な顔一つせず、可愛らしい笑顔でランが待機室で待っていてくれた。
「お待たせ〜さあ行こうかね〜♪」
「待ってました!」
入るとドアの前で待ち構えていたランが行き成り腕に抱きつきくと無理やり連行された。
通路を「飛んで」移動している最中もずっと私の腕にしがみついたまま。
そんなランは機嫌が良さげ。
てゆーか鼻歌まで聞こえてきた。
「ところでどこに行くの?」
目的地を知らないので聞いてみた。
「ウフフ。昨日マキさんと娯楽街をブラブラしていたら、とてもステキなお店を見つけたんですぅ!」
へ~いったいどこだろう……
「着いてからのお楽しみ、です♡」
とのこと。
「はい着きました〜こっこで〜す♪」
基地の中にある、唯一の衣類専門店。
ここにも入った事はない、と言うかエリーと違い服にはあまり興味がなく、さらに流行を追う訳でもなし、自分の好みに合えさえすれば特に拘りはなかった。
なので現物を見たり試着したりなどはバーチャルの世界でしかした事はなかった。
購入にしても何かのついででも無い限り服屋に進んで足を向ける気もなく、専ら地上のお店からの「通販」で間に合わせていた。
通販でたまに起こる「サイズ違い」も、給料天引きにはなるがランドリーボックスでの「修整」が簡単に出来るので尚更の事。
ランと並んで入り、物珍しいそうに店内を見回す。だが予想に反し、商品である服が一着も置いて無かった。
あるのは店内の中央に、横並び三mおきくらいの間隔で三つの「お立ち台」が置いてあり、奥の壁には広めの試着室が六部屋分設置あるだけ。
あとは入口脇にはセルフサービスのドリンクコーナーと1人掛けのソファーがいくつかあるだけ。
この店舗にはアンドロイド店員は一体も配置されてはいない。基地内の店舗には大抵アンドロイドが配置されているのだが。
私的には変に付き纏われて上にアレコレ勧められるよりはよっぽどいいが、いなければいないで何か落ち着かない。
実はそんな接客も通販メインで購入している理由の一つ。あの視線にはどう努力しても馴染めなかった。
腕を引っ張られ二人並んでお立ち台の上へ。
すると空間モニターが現れる。ランは慣れた手付きでモニターを操作し服を選び始めた。
その間、やる事がないので再度店内を見回す。
するとここから数m先、試着室の扉と扉の合間の壁に流行りの服? を着こなしたモデルが交互に投影されていた。
ランが私の視線に気付くと「このモデルは購入者、つまり自分に置き換えて投影させることが出来る」と教えてくれた。
自分の姿が確認出来るというサービスの一環とのこと。
「あった! これですぅ!」
モニターを操作していたランが叫ぶ。すると展示台に真っ白な「チャイナ服」を着た私が現れた。
「はへ?」
自分の姿を見て赤面してしまう。
谷間があまりない胸元がパカっとハート型に開いて「丘」の半分が丸見え状態。裾は膝上、スリッドは腰のクビレ辺りまで入っていた。
「ち、ちょっと過激すぎない? これじゃ歩いたら見えちゃうでしょ⁈」
……なにが?
「案外見えないものですよ♡」
普段から着こなしている者の発言。とは言え君達は上下別の普通のチャイナ服だよね?
ならばと歩いているシーンも投影させる……あれま、ほんとだ。
「いやいやいや。これじゃ捕まっちゃうよ⁈」
……誰に?
「大丈夫ですぅ!」
一つ隣のスペースに同じ格好をしたランが現れる。
「あら可愛い……」
マキクラスの体型なら似合うと思ったが、幼児体型の方が……とつい本音が出てしまう。
そのせいで顔を真っ赤にして頭から湯気を出して固まってしまう。
あれ~またやっちまったか?
いやいや素直に可愛いと思う。
なんと言うか……そう、とても「子供らしい」と思える。
私以上に薄い胸元に起伏がない腰回り。
所謂「幼児体型」だからかな?
でもそれは口には出さない、いや出せない。
「分かった。ランに任せる。でも着るには勇気がいるよね」
「なら着る時は一緒に! いつでも言って下さいね!」
「はいはい。あ、そうだ。あの二人の分も作らない?」
「えーーお姉様と二人だけのお揃いにしたかったのにーー」
ブーたれてしまう。
なのでモニターを操作し服に少しだけ変化を与えてみる。
「えーとね、ランと私の服は……ここはこのくらいにして」
「ふむふむ」
「で二人のは……ここをこうすると……」
「…………素晴らしいですぅ!」
ご納得頂けたようで目が輝き出した。
でもどの部分で感動してるんだろう……
ま、気に入って貰えたようだし良しとしよう!
「じゃあこれでいい?」
「はい。早速作りましょう!」
「購入までの手続きお願いしてもいい? 支払いは私がするから」
「え? いいんですか?」
「これくらい任せなさい」
ちょっとだけ得意顔をしてみせる。
そのまま入り口脇のソファーに移動。手続き画面を呼び出す。
えーと総額は……
げ、結構いい値段だわさ……
このままではルークの二の舞だ。
そうだ思い出した! そう言えばお給料はどうなるの? サラ不在だしもしかして賃金未払い? 組合なんてないしどないしよう?
デカい顔しといて今更止められない。
躊躇う指を何とか動かし支払いボタンを「ポチッと」押す。
会計を済ませ冷や汗を流しながらアルを呼び出す。
(アル、ちょいと聞きたいんだけど……)
(大丈夫ですよ。ちゃんと支払われます)
(お給料よね? そうそれは良かった)
(因みにエマの分ですが……)
(な〜に〜? まさか私だけ減るぜ〜とかじゃないでしょうね?)
(いえいえ。エマの分は今までの分にプラスして「エリアマスター」と「適合者」の手当て、更に探索部への貢献度が評価されるのでかなり増額されます)
(…………いくらくらい?)
(今までの支給額に0が三つくらい増えますよ〜)
(…………なななななんですと⁉︎)
ていうか「適合者手当て」って何ぞや?
まぁ深く考えるのは止めて貰える者は貰っとこう。あとで返せって言われても返さんからね?
今度の給料日が楽しみだ。うふ♡ってもう直ぐだ!
(……余談ですが)
(な〜に?)
頭の中は既にお花畑。しかも蝶の大群が飛び回っている。
(それでもミアノアの副業の収入には及びませんが)
それを聞いて蝶が何処へ飛んで行ってしまう。
ってあの子達そんなに稼いでいたんだ。あの本の何処が良いんだか。てゆーかどんな人が読んでるんだろう?
因みに他の三人も私程ではないがだいぶ増額されていた。
会計を終えると入口脇の商品受け渡しコーナーに小さな手提げ袋が四つ現れた。
それを受け取りランと一緒に店外へ。
私がノアとマキの分を、ランが自分と私の分を持ち、手を繋いで歩いて行く。
そこで時間を確認したがまだ少し時間がある。
どこかでお茶でもと思っていたところに基地全域に放送が流れ出す。
『き、基地がーーーー‼︎』
『……どうした⁇ マキ、や⁉︎』
『な、何って⁉︎ 基地が無くなっとるやん‼︎』
『……何言っとる、か。大丈夫、かい?』
『何って…………何でそんなに落ち着いとんのや? もしや……』
『……ちっ』
「今最後に「ちっ」て言いませんでした?」
ランが笑うのを我慢しながら紙袋を持った方の手で口元を隠す。
『何や「ちっ」て』
『……バレた、か。仕方ない、な。ハナちゃ〜〜ん』
『何やもう終いか〜つまらんの〜ポチッとな』
『うぉ‼︎ 基地が現れおった!』
『……ほんまつまらん、の〜』
『な、なんやてーー!』
『……そんなんやから「男」も出来へんのや〜』
『く、くぅーー』
ノアよ、何故それを知っている?
『マアマア、皆様ソノクライデ……』
『……しようがない、な。今度一緒に「ポロ」に行ってあげるから泣かない、ぞ』
『……約束やで!』
『……おう! 武士に二言はないぞ、よ』
上手く纏まったようだ。ん? 「ポロ」って?
「マキ、ノア、お帰り!」
空を見上げながら呼びかける。
因みに今の娯楽街の天井は「長閑な青空」となっている。
『……もう帰ってたの、か?』
『な、何やいたんかいな……』
バツが悪そうな声だ。
「うん! ちょっと前にね! 早く入っておいで!」
『お? その声いいことでもあったんか?』
「うん後で話す! 作戦会議室に集合! いい?」
『『了解』』
そのまま作戦会議室へ向かう。
四人だしどこでも良かったが、ここから歩いて行く時間とマキ達がドック→入港→作戦会議室まで「飛んで」行く時間とがほぼ同じな気がしたのでそこに決めた。
まあ今回の結果を説明するのに都合が良いと言う理由もあるけど。
会議室に入ると、整然と椅子が十八脚円形に並んで置いてあり、ここは以前と変わりはなかった。
そこにマキとノアが並んで入ってくる。
「……じゃじゃ〜ん、ノアちゃん到着ぅ〜」
と言いながらエマに抱きつく。所謂「フライング抱きつき」でそこそこの衝撃が。
その後をマキが続く。
「お帰り。お疲れ様」
頭をナデナデしてあげる。
マキにも「お疲れ様」と声をかける。
挨拶が終わったところで「あとでみんなで着よう」と持っていた手提げ袋を二人に渡した。
ここで皆の動きが止まる。どこに座るかで。
今まで特に決まりがあった訳では無いのだが、親しくしている者同士で固まる傾向が強く、さらに一度決めた席を変えるのも嫌なので皆、毎回同じ席に座っていた。
四人の定位置はほぼ対角線上の向かい合わせ。丁度良いといえばいいのだが離れ過ぎている気がする。
さらに空席が多すぎて何だか落ち着かない。
だからと言って主が不在の空席に座るにも抵抗がある。
結局エマの席の前に、普段から使っている自分の椅子を持っていき、エマと向かい合わせになるように三つ並べる、という「学校での先生と生徒」的な感じで決着がついた。
「それでどうだった?」
まずはマキ・ノアに報告を求める。
「こっちはみんなの手掛かり無し。ただノアがオモロイもん見つけたわ」
ノアに視線を向け話を振る。
「……アシ二号、よろよろ〜」
さらにアシ二号へと説明を振った。
「ハイ、オ任セサレマシタデス」
返事と共に皆の前に空間モニターが現れ、遺跡脇の廃墟前の「足跡」が映し出された。
「先生ガ見ツケタノデスガ、コノ「足跡」ハ数日以内二付ケラレタモノト判明シマシタデス」
画面内に判明している情報を注釈形式にて説明してくれた。
「サラニ「イルス君」ヲ使イ残留物の採取ヲ行ッタ結果、三人分ノ毛髪が検出サレマシタデス」
今度はイルス君本体の画像と共に三つ並んだ毛髪が表示される。既に基地内のラボにて解析が始めているらしく、内一本は綺麗な金髪。
「……その内の一本の金髪は多分探索者だと思う、ぞ。今、ここで三本ともDNA配列を調べている、ぞ」
「せやけど残念な事にメインAIのデータが無くなってしもたからの〜」
「……特定は無理、かも」
声のトーンが落ちる二人。
「凄い! 良くみつけたね!」
素直に二人を褒める。
「あらそれなら……多分、分かりますよね? お姉様?」
「そうね多分……」
「「?」」
「いや、ね……私達Dエリアに行ってたでしょ? その時に基地に寄って基本データが貰えたんだな」
「「!」」
これでまた一歩先に進める。
この世界では生体管理の都合上、現在・過去の全人類のDNAデータが中央政府に集まってくる。
勿論探索者達の分も。
そのデータは「情報の共有化」の名の下、定期的に地方行政府に送られ保管される。
それは政府機関である探索部も例外ではない。
その膨大なデータはBエリア基地にも保管されてあったのだが、先の「消失」の際に記録媒体が破損、い丸々消えてしまった。
今日、Dエリアから貰ったデータの中には幸いにもそのDNA配列パターンは含まれている。
ただ今、生存している数百億という膨大な数のDNAデータ、さらに故人の分をチェックするのには、当然だがそれなりの時間がかかる。
なので気長に待つしかない。
あ、でも探索者は少ないから直ぐに分かるか。
でもね〜たぶんね〜照合結果は決まっていると思う。みんなには悪いけど黙っとこう。
「あ、そうだ! 調べるで思い出した。ノアに調べて貰いたいものがあるの」
新たなモニターに例の「異物」を表示させた。
「これよこれ!」
モニターにはかなり拡大した「何か」の銀色の塊? が映っている。
「……何、じゃ? こりゃ?」
目をパチクリさせ首を傾ける。
「私達が二重惑星でDエリア所属の探索艦の残骸を見つけてね。その中に「混入」してあった物」
「…………」
無言で見入るノア。
「アルが言うにはAIに作用するタイプの「トラップ」じゃないかって」
「……そっち系、か。それならミアの分野だ、な」
「調べられる?」
「……構造解析は得意だが……努力、する」
「お願いします」
頭をペコリと下げる。
「……とりあえず預かっとくぞ、っと」
次回は9/16(月)18時前後の予定です。
少し書き溜めします。




