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未来か過去か⁈ そんなの私には関係な〜い!  作者: 想永猫丸
全ては私に任せろ!
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電脳戦2!

 突発な用事かあり時間を割けずに目標に届かなかった……

 尻切れ蜻蛉で見直しも出来ていないので、後日修正・追記すると思います。


 

 ポチポチポチポチ…………


 一斉に聞こえ始めるポチポチ音。


 それぞれ思い思いの体勢でモニターと睨めっこしながら、目にも止まらぬ速さでコントローラーのボタンを裁く小ミアノア達。


 先程までのバカ騒ぎは瞬く間にボタンを押す音へと変わった。


 現在、アリスから全探索艦に対し同時強制ハッキングが行われており、ミア達が迎撃及び攻撃を行なっている真っ最中。


 消失現象が再開される前、ローナを中心とした情報部は最終局面に備え、仮想相手としてレベル5である椿を想定した対策として、ミアやノアを利用した準備を裏で進めてきた。


 この既知世界でレベル5に唯一対抗しうるミアとその妹のノア。

 彼女らの親である天探女もかなりの能力を持っているが、専門分野以外ではオールラウンダーのミアの足元にも及ばない。

 しかも自身は椿達と事を構える気がさらさらなく、情報部の方針に従う意思が皆無だったので戦力としてカウント出来なかった。

 なので直接対決にはこの姉妹に頼らざるを得なかった。




 話は変わる。

 以前にミアノアを生み出した理由を説明したが、今回は誕生の経緯について。

 天探女が研究所から帰還を果たした際に「今後は椿達と事を構えるつもりはない」と公言し研究所で得た情報の提供を渋っていた。

 さらに極度に衰弱、錯乱しており心身共に不安定だったので、情報漏洩の観点から療養を兼ねた軟禁状態に置いた。


 療養施設に移送してから数日後、突然「長」が来訪、天探女と面会しある提案を持ち掛けてくる。



 ──今後の人生を情報部ではなく探索部で過ごさないか、と。



 鰾膠(にべ)も無く断る。

 聞けば「あの方」が関わる組織とのこと。

 これ以上関われば心が耐えられそうにない。


「長」は頑なな天探女を見ると、()()()()()の情報を開示する。

 すると態度が一変、興味が湧いたようで熱心に耳を傾け始め、あれ程頑なであったにも関わらず最終的には「長」の提案に乗り協力を約束。


 その後に体調が回復すると研究所で得た情報の開示を始め、先を見据えて「我が子」を生み出す作業に取り掛かる。

 そしてミアノア(我が子)がある程度、育った時点で情報部から探索部幹部候補生育成施設がある惑星へと親子三人で移り住む。勿論、抜け目のない「監視付き」で。


 そこでは誰に気兼ねする事なく、我が子に愛情いっぱい? の英才教育を施しながら育てる。


 こうして天才姉妹が誕生した。


 因みにミアノアとは直接関係は無いが「とある少女」()()()()()も後に同じ惑星へと来ることになっていた。


 今回、基地で「消失」が起こされ探索者が飛ばされた際、ミアは艦AIから分離・独立させておいたアシ3号を使い真っ先に復帰を果たし、1号の汚染を解析・処理して動けるようにした。

 その際判明した汚染プログラムのパターンから、探索者が飛ばされた先の割り出しに成功。初めに救出したローナの指示により順番に拾い上げ、情報部施設へと連れて行くのに貢献した。


 そのアシ3号だが、実は1号とは違い艦の制御関連には一切関わっていない。


 なら普段は何をしているのか?


 彼? 彼女? の専門は椿対策。つまりレベル5の専任担当。

 常に目を光らせ網を張り巡らせて、という影の存在。


 ミアがプログラム関連を弄った時、周りの者は彼女が直接成したと思っている。

 それはある意味間違いではないし類稀なる才能を有し、それを惜しみなく行使しているのは疑いようがない事実。

 とはいえ生身の人間が直接出来る事は限られる。

 いくら優れているとはいえ「ポチポチ」だけで世界を変えるには時間が掛かりすぎる。


 変えられるにはベース(ソフト)が必要。

 つまり自ら作り上げたベース(アシシリーズ)に指示し、細かい部分を肩代わりをさせているのは言うまでもない。


 彼女が優秀なのは「唯一無二」と呼べるプログラムを組める能力と、他人とは一線を画した「感性」だろう。

 柔軟性に飛んだ自由奔放、それでいて隙の無い、どんな場面でも即応し、主の意思を汲み取り肩代わりしてくれるプログラム(ソフト)を構築出来るから優秀なのだ。

 優れたハードは優れたソフトが無ければ宝の持ち腐れでしかない。


 そんなミアでも弱点と呼べる部分が存在する。

 表には出さないが、大概の事には動じない妹のノアとは異なり人見知りがあり、どちらかと言えば引っ込み思案で臆病。初めて会った者と打ち解けるまで時間が掛かるとそこそこ繊細な神経の持ち主。

 さらに好奇心旺盛で興味が出ると周りが見えなくなってしまうというヤンチャな一面も持ち合わせている。


 相手が人では無い電脳世界ならば向かう所敵なし状態で弱味など見当たらないが、リアル世界では年相応の女の子。


 心配な部分は誰かが手綱(たずな)を握り、道を示さなければ能力を遺憾無く発揮出来ない。

 今回、常にローナと常に行動を共にしていたのは、妹のノアや気心の知れたラーナと離された状況下で、基地に戻す事も出来ず、他に任せられる者がおらずと取れる選択肢が無かったから。


 普段であればノア()がそばにいて上手く()()しているから心配ないし、途中Cエリアから始まった「悪巧み」の際も気心のしれた者達がそばにおり、さらに目的もハッキリしていたので許可したのだ。


 まあ椿にとって最大の障害となるミアの姿を隠すにも丁度良かったし、椿のストーリーの邪魔をせずに済んだので結果としては上手くいったといえるだろう。


 因みに普段姿を現さない3号の存在を知っているのは生みの親である姉妹のみ。


 今までは椿の独壇場であったこの世界を変えようと、牽制と嫌がらせの意味合いで、ちょこちょこと能力を見せつけて反応を見ていたが「消失」が起こるまで全くの無反応であった。


 ミアノアの存在は認知している筈。

 彼女の立場ならミアの能力を知ろうと思えば、強権を発動させれば簡単に分析出来ただろうに、全くの無反応で成り行き任せ。

 なのでこれ以上、手の内を曝け出す訳にもいかず、受け身とならざるを得なかった。


 その椿の本心は全てを運命に委ね、結果を待つという「受け身」のスタンスだったので致し方ない。


 だが事が進むにつれ相手が椿よりも上位の存在であるアリスへと変わってしまう。

 対象が変わればこちらの対応も変わってくる。


 格下ならばまだしも、想定していた相手より格上となれば、対策を一から構築し直さなければならない。

 彼女は正体をひた隠し、関りが無い素振りをしながらも裏で密かに、そして(したた)かに準備を進めてきたので尚更だ。


 もし事前情報も無しにこの事態に見舞われていたら、今まで研究や試験を重ね、苦労して盤石と呼べる体制を整えたモノが無駄に終わっただろうし、成す術もなく良いようにあしらわれてしまっただろう。


 だがエマ達の活躍のお蔭で早期に数度にわたりアリスの実力を測る機会に恵まれた。

 それは相手にも言える事。だが同じレベルにいる者は、例え鍔迫り合いでもお互いの実力が分かるもの。

 本人曰く、準備さえ整えれば十分に対抗しう(遊べ)ると。


 方針は決まった。よって来るべく決戦に備え、準備を始める。

 とはいえアリス相手ではかなり心許ない。


 何故心許ないのか?


 もしお互いの能力が拮抗しているならば優位になれる個所を準備する。

 自分達が弄れたのだ、アリスも当然出来る筈だし、していないとも思えない。

 アリスは当然の如く自ら艦AIのバージョンアップ、又は改変しているに違いない。


 前哨戦となったAエリア基地。

 アリスは探索部の基本プログラムに椿が使用している専用プログラムを弄って待ち受けていた。

 対したミアは黙々と解析に専念。

 初戦だったのもありお互い手の内は晒していない。


 乗っ取り等に使うプログラム関連の優劣は実際に相対するまで比較出来ない。

 もし同レベルならばより多くの機材(バックアップ)を用意した者が勝者となる。

 そこで着目したのは基地AI。エリアマスターには内緒で真っ先に管理下に置いた。


 基地AIの中央処理装置は一般と比べれば遥かに高性能。星系内の情報処理を担っている星系AIと比較しても数十倍の能力を有している……とはいえ探索艦搭載の艦AIとは同程度の能力でしかない。


 もしアリスの艦が魔改造でもされていたら、同程度の能力のAIを複数用意したとしても太刀打ちできない可能性が。


 ただ同じなのは中央処理装置の能力()()で、基地は直径一km、探索艦は百五十mといった物理的な大きさの違い、さらに自エリア内から集まる情報を集約・処理する必要性から基地機能維持や探索艦の面倒まで見る為に、主記憶領域と利用出来る仮想領域に割くスペース(領域)が比較出来ないほど多く用意してあるのだ。


 この基地AIと情報連結にて常時接続している各探索艦AIの一部をも利用し並列化した上で、アシシリーズが使えるシステムへと変更した。


 ここまですれば今、取れる最善の体制と言えるだろうし、例え魔改造してあったとしても充分対抗していけるだろう。


 最後にこれらとは別に「保険」も掛けておいた。

 厳選なる「試練」を見事(くぐ)り抜け、ミアのお眼鏡に適った者が現れたのだ。

 この者はミアという防波堤が万が一、突破された場合の()()()()()の隠し玉となる……予定。


 この保険は元々はミアの我儘から始まった。

 事前にミアの遊び心を察知したローナから、ただ単に遊ぶのではなくミアと同類を探し出す手段にしてはどうか、と提案される。すると「なるなる〜」と仲間が増えるぞと喜んで賛同してくれたのだ。


 ただ選ばれた「とっておき」は今はこの区域にはいない。

 本人は新たな能力に気付いてはいるが、詳しい事情説明もしていない為に使いどころが分かっていないかもしれない。




 話を戻す。

 小ミアノア達の前に陣取り、中心にいるミアの方を向きながら作業に没頭しているアシ1・2・3号。

 彼女達の役割は部下である小ミアノア達の的確な制御と誘導が主な作業。


 1号の仕事は「アタッカー部隊」の指揮。

 彼女ら? はアリスが張った防壁を、用意してきた中和ウイルス(武器)で無効化し、数に物を言わせてウイルスぶち込んで押しまくる。そして少しでも内部に侵入を果たしたら、システムをマヒさせる効果があるウイルス()を即撒き散らす。

 最終目標はアリスの電脳……では無く艦AI。

 そこを掌握してしまえばこちらの勝利。


「カ、固イ防壁デスネ」


 1号の卓上のモニターには簡略図としてアリスの体を模したアリス艦AIの状態が表示されている。

 その体の周りにはかなり小さな点の無数と言える小ミアがワンサカと群がり、可愛らしい槍や剣、そして手投げ爆弾等の武器を使って攻撃している様子が映っていた。


「爆弾、効き目薄い、ぞ~」

「毒もダメダメ、かも〜」

「こいつ、硬いやん、け!」


 小ミア達から次々と報告が舞い込んでくる。

 用意したウイルスは初回は効き目があるのだが、一瞬で解析されてしまい先にはなかなか進めない。


「今ノ所、有効ナ手段ガアリマセンデスネ」


 弱い所を見付けると物量に物を言わせて防壁への侵食には徐々にだが成功している。

 だが相手の対応が素早く均衡状態となっていた。


「迎撃ガ全クアリマセンデスネ」


 そう、セオリーでいけば防壁周りに迎撃用ウイルスが現れ、こちらにも犠牲が出ていてもおかしくない。だがクレイモアタイプのウイルス(地雷)すら未だに見掛けていないのだ。

 だからといって()()()()攻撃を受けていない訳でもない。


「少シ様子ヲ見マスデス」


 何かおかしいと思いつつ、進める内に進撃することにした。




 2号の役割は「ディフェンダー部隊」の指揮。

 彼女ら? は進入してきたウイルスの除去。つまり1号とは真逆の対応。

 こちらはミア特製のウイルスで固めた防壁の内側で待機。相手が解析に取り掛かった瞬間に別のウイルスをぶつけて捜査プログラムを機能不全に貶めていく。

 さらに相手のプログラムを一時的に隔離し迷宮へと誘い時間稼ぎを行う。


 2号の卓上のモニターには1号とは違い、球体の簡易イラストが表示されている。

 その球体は外周から十五層の防壁、そして中心に『1』と書かれたアシ1号の現在の状態を表しており、既に一番外側の防壁がほぼ消滅し掛かっていた。


「うきゃっ!」

「ひでぶ!」

「うひょひょーー!」

「ぼ、ボスーーまずいーー、かも!」


 次々と聞こえてくる叫び声。

 その声と同時にアシ2号の後方にいる小ノアがポツリポツリと活動を止めて机の上にダウンしてゆく。


「ナ! コノ圧ハヤバイデス! コチラノ対処ガ追イ付カナイ? 仕方ナイ、ドーピングシマスデス、ポチットナ!」


 いつの間にか卓上に現れた、古代のクイズ番組で使われていた超アナログなボタンをポチッとすると……小ノア達が腕が一瞬でムキムキの筋肉の塊へと変貌、ボタン捌きが今までの倍の速度に。

 ここで敵による侵食がやっと止まった。


「フーー、コレテ時間ガ稼ゲマスデス。アトハ3号ノ働キニ期待シマスデス」


 チラッと3号を見る2号。その3号はといえば……呑気に巨大なフルーツパフェを頬張っていた。



今年も何とか無事に終えられそうです。


皆様も風邪等、引かない様にお過ごし下さい。

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