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未来か過去か⁈ そんなの私には関係な〜い!  作者: 想永猫丸
それぞれの思いの終着点
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悩み? 分担!

お花畑が見える……


*今話も会話中心です、と言うか頭が回らず想像の翼か広がらない……

「急いで戻らないと!」

「みんなはどうする~?」

「あっ! 忘れてた。拾ってから戻ろう!」

「もう起きてるかしら~」

「ボチボチ目が覚めてる頃だと思うケド」


 先頭切って案内しているエリス。その後ろに二人が続く。

 直通の転送装置が無いようでいくつかを跨ぎながらの移動をしていたが途中、音もさせずに忍び寄りエリスの肩越しにエマが軽く抱き着く。


「ねえエリス」

「ん? ちょ、チョエ~~」

「ふ……これで勘弁してやるぜ」


 耳タブをカプリと咥えられゾクゾクと来てしまったのか、その場で軽く体を震わせ硬直してしまう。


「じゃあ私はこっちね~」


 間髪入れずに反対の耳タブにも情け容赦ない攻撃が加えられる。


「は……はへエエエエエエ…………」


 耐えられなくなったのか脱力し倒れ込もうとしたところを二人が難なく支える。

 そして耳元で囁く。


「黙ってたのは許してやる。みんなにも黙っとく。だからもう無理はしない。いい?」

「そう。お母さんも言ってたでしょ? 好きにしなさいって~。だから今後は~」

「私達の為に行動しろ! いいな?」


「い……いえーース」


 見たことも無い「ハヘ顔」を見せ幸せそうなエリス。

 その顔を見れて満足そうな二人。


 まあこいつにも色々な事情があったんだ。

 チョコ以外では何かされた訳でもないし、嫌な思い出は記憶にない。

 聞けば私達と似た境遇みたいだし、同じ探索者だし。

 ただし目が離せない重要人物なので傍にいさせることにする。


「先ずはみんなと合流しないと~」

「菜緒達?」

「ボチボチ目を覚ます頃合いじゃナイ?」

「よし先ずはみんなと合流!」


 最後の転送装置の前で別れてそれぞれの艦に乗り込んだ。






 ・・・・・・





 エマ達が研究所を離れる少し前。

 菜緒の指示のお蔭で戦況が探索者側へと好転していた。


 それぞれがそれぞれの役割を果たしている中、菜緒艦は戦場の中を隠蔽迷彩状態で一人基地へとゆっくり近付いて行く。


(…………と今言ったのは可能です?)

(勿論可能。現にあの方も使っておるのじゃろ? なら出来るかどうかはお主次第だと思うがの)

(ではどうすれば)

(訓練……では間に合わぬか。ならばお主の立派な身体に細工するしかない。ちと基地()に入ってわらわの下に来るがよい。わらわ直々に足腰立たぬくらい(いじく)ってやるから覚悟せえ)

(了解)


 脳内通話にて話をしていた菜緒と天探女。その間も情報連結にて菜緒からもたらされた情報を目で追い掛け熟読して行く。

 話が纏まると、閃光の合間を縫いながら菜緒艦は基地へと近付いて行く。


「ラーナや」


 ドリー前で待機中のラーナを呼び出す。


「はーーい」

「ちとミアノア(あ奴ら)の設備を借りるぞ?」

「? 好きに使ってー」


 にこやか笑顔での返事。


「皆の衆、わらわは少しの間、引き籠る。防衛は任せたぞ!」


「「「行ってらっしゃーい」」」


 何故か気持ちよく見送られた。


「…………何じゃ、誰も引き留めてはくれんのか」


 ボソリと呟く。

 全員の笑顔に文句も言えず、後ろ髪をひかれながらもノアの部屋へと向かって行った。


 因みに戦況は囮役として完璧な動きを見せたワイズ&ロイズ、そして無駄のない洗練された動きのシェリーの活躍により僅かな時間で敵探索艦は殲滅終了。

 今は総出で調査艦を減らしている真っ最中。なので基地から見てどの方角にも閃光が瞬いていた。



 Bエリア主任代理権限を行使し目的のノアの部屋へとやって来た。

 菜緒の為にあるツール(プログラム)を探しに。


 あ奴らは必ず「予備」を残している筈。

 それは秘匿しておく必要があるので無闇に立ち入れない自室で管理している筈。

 同様なモノは当然自分も持っている、がCエリア基地に置いてあり手元には無いので借りようとここにやって来た。


 薄暗い部屋。

 ベッドと横幅がある机と大きな棚。

 机の上には何やら絵描きに使う道具が所狭しと並べてあり、隣の棚には漫画らしき本がギッシリと詰まった棚が。

 ベッドの上には脱ぎっぱなしの学生服とシャツ、そしてぶらじゃーとぱんつが。


「全くいくつになっても変わらんの。ちっとは姉を見習わんかの」


 文句を言いながらも服を手に取りランドリーボックスへと優しく投げ込む。

 直ぐにクリーニング・畳まれた状態で受取り口に戻ってきたのでベッドの上にそっと戻しておく。


「あやつの性格なら……お、あった。ここを「ポチッと」長押しすれば」



 チン



 木製の机に置かれた超アナログなフレキシブルタイプのデスクライトのスイッチを押すと、奇妙な音と共にデスク面がモニターへと様変わりし、そこに何やらメニューが表示される。


「ぬ⁉︎ もしやサラの‼︎」


 何気に気になった『㊙参考画像』と名が付けられた怪しい絵柄のフォルダーアイコンをポチッとすると……どうやら漫画(副業)の参考資料だったようでサラはおろか女性が一人もいない、歯がキラリと光っているイケメンばかりがズラリと揃った在り来たりな資料であった。


「……全く何処で育て方を間違えたのかの」


 イケメン()()興味が無いらしくため息交じりの呆れ顔で見ていたが数枚開いただけで直ぐに閉じ、目的のプログラムを探しを再開する。


「む! 今度こそサラでは?」


 開くと……『絶品グルメ日記』とその日に食べたおやつの日記であった。


「……偏った食生活をしておるの~」

「何勝手に人の部屋を漁ってるんですか?」

「もう来たのかえ?」

「来たのかえ? じゃないでしょうに」

「いやこれは子のベッドの下を掃除するのと同義でな。ちゃんと成長しておるのかをチェックしておるところじゃて」

「それいつの時代の妄想ですか?」

「お主は相変わらず頭が固いの~」

「固いの~じゃありませんって。まあ自制心は働いているみたいだし親子のプライバシーに迄、とやかく口は出しませんけど」

「自制心とは?」

「主任のことだから鬼の居ぬ間にとサラ主任の部屋で合流かと思ってました」

「お主はわらわのことを全く分かっておらんの」

「?」


「ほれ」


 とポケットから黒いレースの布切れ? を取り出し広げて見せた。


「……ぱ、ぱんつ? しかもスケスケ⁉」

「戦利品じゃ!」

「もしやサラ主任の? いつの間に」

「なに、ここに来て代理権限を得た後、真っ先にサラの部屋を漁りにの~」


 顔に当て数回大きく深呼吸。それから愛おしそうに頬擦りを始める。


「…………」


 蔑んだジト目。


「気付かれる前にちゃんと返すんですよ」

「い、嫌じゃ! これはわらわの為にサラが買った(こうた)物。つまりわらわの物!」

「はあーーーー」


「…………羨ましいか? しようがない奴じゃの。ポチっとな」


 手を伸ばしモニターのアイコンをポチっとする。


「だから勝手に……ってこれは!」

「どうやら気に入って貰えたようじゃの」


 そこには大量のエマの画像が。しかも本人の承諾を取ってい無さそうなキワモノばかり。


「…………」


 言葉を失いガン見し出した。


「それより……これじゃな。ポチっとな」


 アイコンをタッチすると遠くで何かが動く音が聞こえた……ではなく『ノアちゃん特製魔改造ツールBOX転送開始?』との表示が。


「ほれ、何時まで見ておる。次の小娘の部屋に向かうぞよ。お主は先に医務室のカプセルの中で準備して待っておるのじゃ」

「は、はい」


 名残惜しそうに、だが慌てて出て行く。

 モニターを閉じミアの部屋へと向かう。


「何じゃ、姉妹揃って色気が無いの~」


 レイアウトは全く一緒。違うのは布団カバーの色でミアは赤系色、ノアは青系色。


「さて、()もそうじゃが()はさらに凝り性じゃからの。どこにスイッチがあるか想像も付かんて」


 ノアと同様にデスクライトのスイッチを押す。

 ライトの電気が点くだけで何も起こらない。

 もう一度「ポチっとな」と言いながら押してみたが変化はなかった。

 机周りを見回してみる、が変わった所はない。


 机から離れベット周り、そして部屋中を隈なく調べるがそれらしいモノは見当たらない。


 仕方なしに机の椅子に腰かける。

 デスク面には数冊の本が乱雑に置かれてあった。


「今どきに紙媒体とは」


 何気に手に取り開いて読み始める。


 内容に理解が及ばず途中で読むのを諦め、本をあった位置に戻そうとしたがそのまま立ち上がり全ての本を棚に戻してあげることにした。

 その際、棚にバラバラに並べてあった物を順番に並べ直す。



 チン



 何処からともなく音が聞こえる。


「む? もしや」


 机に座りデスクライトのスイッチを長押しすると……同じ様にモニターが現れた。


「性格の違いじゃな」


 早速モニターをポチポチしてお目当てのプログラムを探しだすと『ミアちゃん特製神改変ぷろぐらむBOX~転送開始?』との表示。


「さてわらわも医務室へ行くとするかの」


 ポチっと押す。

 モニターを消してからどっこいしょ、と腰を上げ菜緒が待つ医務室へと向かった。






「一つ聞いても良いかえ?」


 空間モニターをポチポチとしながらカプセルの中で横になっている菜緒に話し掛ける。


「は、はい?」

「お主……何故に素っ裸なのじゃ?」

「え? だ、だって準備して待ってろって」

「何の準備かえ? 何を期待しとるのかえ?」

「えーーと」

「お主の隅々まで手入れが行き届いた()しからん裸体は見飽きているので今更ながら興味は湧かんぞよ」


「…………」


 どう捉えたらよいのか返事に困ってしまう。


「よいよい。時間も無し、そのまま横になっておれ」


「ううう」


 どうやら軽く(あしら)われただけで褒めていた訳ではないらしい。


「相変わらず難儀な性格じゃの~。それでは早速始める。心の準備は良いかの?」

「は、はい」

「良い返事じゃて」


 カプセルの蓋が音も無く閉まると中に無色透明なガスが噴霧される。

 すると静かに入眠していく。



 ──ほうほう、無駄のない良いシステムじゃ。流石我が子じゃて。



 ポチポチしながら心の中でほくそ笑む。

 治療用カプセルに追加されたノア特製の機器をミア特製のプログラムで動かしながら菜緒の脳内チップと全身のDNAに対し改変が行われる。

 中では頭部を中心に全身が光を発していた。


 数分の後、光が収まり蓋が開く。


「気分はどうじゃ?」

「…………別段変わりなく」


 起き上がり両手を上げ眺めてみる。


「そうか。では集中、先ず妹を()()()みるのじゃ」

「感じる? 菜奈を?」

「そう」


 言われた通り目を瞑り集中する。


「…………はい」

「方角は?」

「…………あちら」


 目を瞑ったままあらぬ方向を指差す。


「どんな雰囲気でおる?」

「退屈そうな気分?」

「お主に気付いた様子は?」

「いいえ」

「では本番。あ奴を感じてみるのじゃ」

「はい」

「良いか、感じるだけじゃぞ。決して語り掛けてはならぬぞ」

「……………………見つけた」

「何をしておる?」

「もの凄い速度。多分……跳躍中」

「よし成功じゃ。意識をこちらに戻せ」


「…………はあーーーー」


 大きく息を吐いてから目を開ける。


「本来なら長年の修行と強靭な精神力が合わさることにより身に付く代物なのじゃがな」

「そうなんですか?」

「当たり前であろう。でなければ探索艦は無用の長物と化してしまうじゃろて」

「それもそうですね」

「しかし良く気が付いたの」

「実は一度体験済みなので、もしかしたらこちらからも出来るんじゃないのかなって」

「まあ血が繋がっておるから出来る芸当じゃな」

「はい」

「ただし良い面ばかりとは言えぬ。今くらいの短時間なら良いが、多用し過ぎると実力の伴っていないお主の体にも負担となる。さらに……分かるな?」

「はい、勿論」

「流石は我が副官。ならば良し。これ以上は何も言うまいて」


 珍しく頭を撫でてきた。

 恥ずかしそうに撫でられる菜緒。撫でられるのは初めてかもしれない。

 だが撫でていた手がさり気無く下りてきて立派な山脈をプニプニし始める。

 その手を暫しの間眺めていたがジロリと目線を上げると……そこにはいつもの顔をした上司(変態)の姿が。


「そう言えば今まではチェック(眺める)だけで触診はしておらなんだ」


「…………しゅーーにーーんーー」


 手首を掴み軽く捻る。


「い、痛いのじゃ。もうちっと優しくしてくれんかの」

「はあーー全く、サービスタイムは終了。これから私はAエリアに行って来ます」


 カプセルから降り、隣のカプセルに置いといた宇宙服を着始めた。


「ほよ? 何故じゃ?」

「各個撃破されるのを防ぐためです」

「そうなのか? わらわは戦略やら戦術は疎いのでよう分からんのじゃが。分かるように教えてたもれ」


 捕まれた手首を擦りながら聞いた。


「はい、例え旧型とはいえ探索艦と調査艦の混合艦隊なら技術レベル差は無いに等しい。そしてこの戦いは籠城という名の持久戦。人的資源が極端に少ない探索部にとって、本来は籠城戦は避けるべき戦法」

「ほう、そうなのか?」

「そうなのです。なので個々に対応するより数的不利を補うべく一致団結するべきかと」

「サラはそうは言っておらなんだが?」

「サラ主任の想定には探索艦は含まれていなかった筈、ですよね?」


「そうかの?」


 首を傾げる天探女にジト目を向ける菜緒。

 これは間違いなく忘れているな、と。


「そこで主任に一つお願いがあります」

「何じゃ? 言うてみい」

「ソニアを通じてDエリアに急ぎ退避勧告を出して欲しいのです」

「それは構わぬが……あ奴が聞き入れるとは思えぬがの」

「そこはお任せします。私はハンク主任とお会いしたことはありませんので説得する自信がありません」


「それはわらわも同じで直に話した事はないのじゃ」


 幹部候補生の段階でアンドロイド(人形)を通して何度か話した事がある、という程度。

 Cエリアに引き篭もってからはサラすら会ってはいない。


「でも間接的にせよ会って話したことはありますよね?」

「う、うむ」

「方法はお任せします。貴重な戦力と仲間を失う前に」

「ならAエリアに行った方が良くないかの?」

「あちらでは間に合いません」

「間に合わぬ? ……「消失」か?」

「はい。決着が着く前に世界が滅んでしまいます」

「それを見越してのお花畑かえ……。つまりAエリアとの分断が目的」


 ラーナ達でさえ知らなかった超極秘事項をサラリと言う天探女に今更ながら感心する、が()()()()()なので特に驚きは覚えなかった。


 確かにアリスエリアが存在するが為に双方思い切った行動が取りづらい。

 それは探索部、椿とレベッカ、アリスと三者三様の思惑が絡んでいるから。


「知っていましたか。いえ当初はその方針だったと思いますが()()違います」

「今は? どう違うのかえ?」

「敵の目的は探索者の殲滅。椿にとって何があろうとも殲滅()()()()は絶対に止めない。でもAエリア基地には「アリスエリア」があり手が出せないし、基地を破壊するのは以ての外。さらに四十艦という数が控えている。ならどうするか? 正攻法ならばAエリアだけでも孤立させ、その間に数が少ない他エリアを先に落としその後にジックリと料理します。こちらは「消失」再開前のストーリーだった筈。これなら内部空間への損害を与えずに事を成すのが容易となります」

「ほうほう、お主が言うので間違いないのじゃろう。それで?」

「ただ「消失」が再開してしまったが為に悠長に構える暇が無くてしまった。なので基地から追い出す戦法に変えてきている筈です」


「…………」


 腕を組み考え込む天探女。


C(ウチ)はサッサと逃げて損害0で済んだから良いものを、特に何の縛りもないC(ウチ) やDは内部から破壊されてもおかしくはありません。なので急いで連絡を取って下さい」

「……成程。お主の意見、しかと受け止めた。だがAはどうする? 今の話だと……」

「はい。アトラス主任の性格はあまり存じませんが理由を知らないが為にこれなら行ける! と限界まで防衛し判断が遅れるかもしれないし、下手をしたら防衛に成功してしまう可能性も。その場合どの様な行動に出るか予想がつきません」

「それは困るの。いつまで経っても状況が変わらんようではな」

「なので早期に決着をつける為にBエリア(ここ)に私が呼び寄せます」


「つまりあの方々の手伝いをしてやると。お主に出来るのか?」


 珍しく真顔で菜緒を見る。


「手はあります。聞き入れて貰えるかはやってみないと。後であの人に小言を言われるかもしれませんが……」

「そうか策はあるのか。今のお主ならきっと上手くいくじゃろうて。それとDはわらわに任せるがよい。男は趣味ではないが何とか口説き落としてみせようぞ」

「お願いします。それとこれは極秘にしておいて欲しいのですが」

「何じゃ言うてみい」

「……………………」

「……………………あい分かった。気に留めておくかの」

「もしもの時はフォロー願います。ミアがいない今は主任だけが頼りです」

「お主に言われるまでもない。ところであ奴は何をしているかをお主は知らんかえ?」

「あ奴? ……ローナさん? どこで何をしてるかまでは……ラーナさんならご存知だと思いますが」

「実はな、その妹の様子がおかしいのじゃ」

「?」

「何と言うかここに来た時から妙によそよそしくての。雰囲気から察するに何やら抱え込んでいるようじゃな」



 あのラーナ()が? ということはエマ絡み?

 離脱した原因を知っている?

 それなら先程の会話の意図は?



「……そちらは主任にお任せします」

「わ、わらわがか⁉︎」

「先程、一見した時にその変化に私は気付けませんでした。なので今の私では役不足。ここはいつものノリで相談に乗ってあげて下さい」

「う、うむ」


「もしかしたら不測の事態が進行中なのかも」


「そ、そうなのかえ?」


「あの姉妹は他のペアと比較にならないくらい強い絆で結ばれているし二人の間には隠し事は一切存在していません。ラーナさんも絶対的な信頼を寄せているしローナさんも自分の半身として信頼し任せている。なので「それしか手段が無くても」大切な妹を犠牲にしたり不安に落としめる策を講じるとは考えられない。つまり一人で何かを抱え込んでいる証拠。ここは唯一、対等に話せる主任が手を差し伸べてあげるべきです」


「……あい分かった。機会を見て聞いてみよう」

「お願いします」

「因みにAの後はここに戻ってくるのかえ?」

「ローナさんかクレアを探します」

「所在の当ては?」

「いいえ」

「しかたない。あの娘は情報部の施設におる」

「座標は?」

「後で教える。それとクレアじゃがこちらは何をしておるかの想像は付くが何処にいるかまでは可能性でしか言えぬ」

「?」

「多すぎて絞り切れんのじゃ。なのでリストを渡すのでお主が決めるのじゃ」

「……はい」


「それと菜緒や」

「はい?」


「……わらわではどう足掻こうとも成し得ない事柄を、何も告げずにお主ら若い者に押し付けてしまい済まぬと思っておる」


「いくつかどうしようもない難題も存在するので主任の願い通りに行くかは分かりません。なので今は貴方の部下を信じて待ってて下さい」


「……そうじゃな。信じて待つとしよう」


「はい。成功した暁には、今までの分も含めてたっぷりとお礼をさせて貰います」

「お、お礼とな? ま、まあよい。あの方の願いが成就されさえすればわらわがどうなろうが」

「その言葉、確かに聞きました」

「う、うむ。どうか無難に纏めとくれ」

「はい、それではAエリアに向かいますね。Dはよろしくお願いします」


 背筋を伸ばした立派な敬礼を披露して医務室を後にした。


 ここを乗り切ったら(前話と今話も含めて)修正を再開します(リアルな話)

 ホラー作品も3話の途中で止まったままだし再開しないと間に合わない。


ところで夏休みはいつ取ろう……

9月下旬だな……


早く涼しくならないかな……

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