フラグ?
もう頭の中が「ぐしゃぐしゃ」で展開に追い付けない。
こんなんで無事最終話まで辿り着けるのか……
あと菜緒の心情をもう少し丁寧に表現したかった。なので修正か追記を行うかもしれません。
笑顔で「下りておいで~」と手招きをする椿。
隣では「こちらへどうぞ~」と同じく手招きをする黒服の中年女性。
周りの集団もエマ達が下りて来易くするためにその二人から距離を取り空間を開け始める。
「ど、どうしよう」
「い、行くしかないでしょ~」
躊躇う二人。外から見えていない首から下では「先に出て」と壮絶な小突き合いバトルが勃発していた。
「い、一緒に出よ?」
「う、うん、分かった~」
待たせて機嫌が悪くなられても困るので諦め外へと出てゆく、が動揺しまくっていたのであらぬ方向へと飛び出してしまう。
「あらあら」
無重力空間で藻掻く二人の様子を見て、女性から思わず笑みがこぼれ出る。
その笑みを合図? に集団の中から二人の黒服男性がエマ達に向け素早く飛んで行き、クルクルと回転する二人を上手に受け止めお姫様抱っこをしてみせる。
突然現れた歯がキラリと光る程? のイケメンにお姫様抱っこをされ、驚きと恥ずかしさに姉妹共々身を小さくしてしまう。
さらに裾が捲れて太もも丸出し状態に気付くと顔を真っ赤にして乱れを直し出した。
その様子を見て見ぬ振りで連れてゆく男性達。
大人しくなった二人を抱えながら椿の下へと戻って行く。
「椿様。一つだけご報告が御座います」
エマ達を眺めながら小声で話し掛ける。
「な~に~?」
椿も笑顔を崩さず同じく小声で返事をする。
「先程アリス様が突然お越しになられまして」
「へ? 誰が?」
「アリス様です」
目だけを向け思わず聞き返してしまう。
「アリスが何でここに?」
「理由は存じません、がここに椿様が戻られるのを予想されていた節が御座います」
「へーー予想ねーー。でも丁度いいじゃない? 聞いておきたいこともあるし」
「それは……そうですが……」
「で、どこにいるの?」
「VIPルームでお待ちです」
「よし時間も無いし早速会うか! あっ……とその前にあの二人に着替えを見繕ってあげて。あとお化粧もしてあげて」
「畏まりました。お着替えは……」
「普段着で構わない」
「了解です。ご朝食はいかがなさいます?」
「そうね~アリスと一緒に食べようかね! っと言うワケであの人の部屋に用意してくれる?」
「承知しました。そのように手配致します。あちらのお二人は如何なさいます?」
「アリスとの接触だけは注意して。来た目的がハッキリするまでは。それ以外、エリスとの面会も含めて制限無しで」
「了解です。アリス様とは会わせない方向で接待致します」
椿にではなく、皆の前に降りてきたエマ達に向け頭を下げながら答えた。
「お二人共、良くお越しくださいました。心から歓迎致します」
「「…………」」
イケメンから解放されても挙動不審な姉妹。乱れた服を直すのに夢中でそれどころではない状態。ただエリーは意図してか椿達から顔を背けているように見えた。
そんなエリーを見て黒服女性が優しく語りかける。
「エリー様。今回のお二人は大切なお客様。前回の様な行動の制限は御座いませんからご安心を」
「ほ、ホント~?」
「はい。エリス様をお連れ頂いたお礼も致したく、先ずはお召し物から取り換えていきましょう」
「は、はい」
「?」
俯き加減でチラチラ見ながら返事をする。
そのやり取りを見て、姉に何かの違和感を感じた……のを切っ掛けに我に帰る。
「そ、そう、エリスの容態は?」
思い出したのか黒服に詰め寄るが、
「エリス? あの子なら心配いらない」
とカプセルからヒョイっと軽々降りた椿が割って入る。
「心配?」
そのまま茶目っ気タップリにエマの顔を覗き込んできた。
間近に迫った黒髪の少女に一瞬身を引くが負けじと言い寄る。
「な、何よ! そりゃ当たり前でしょ!」
「何で~?」
「何でって……仲間だからに決まってるじゃない!」
「仲間! へーーそうなんだ。仲間、なんだ。エリスは!」
仲間と言う単語を聞いて明るい表情で黒服の顔を見る。
それに対し呆れ顔ともとれる困り顔をし、椿から目を背けてしまう。
「そ、そうだ、貴方は本物?」
「へ? 本物って?」
「貴方がアノ椿よね?」
「か・も・ね~」
「かもねって!」
「自分でも自信が無いのよね」
「そ、それってどーゆー意味?」
「…………」
困り顔で考え込む椿。
「椿様」
突然頭に容赦なくゲンコツが浴びせられる。
「い、痛ーーい! ううう、怒られちったよ」
頭を押さえながら舌を出してみせる。
「どうやら本人で間違い無いみたいね〜」
エマの半歩後ろから姉が呟く。
「か、揶揄ったの⁈」
「どうかお許し下さい」
代わりに深々と頭尾下げる。
「……………………」
「え、エマ?」
妹から不穏な空気を感じたので見ると、眉間にシワを寄せながら椿を睨みピクピクと肩を震わせていた。
ここでそんな反応するの~? と心配になり二人の間に割り込み無理やり引き剥がす。
プルプルと震えるエマに全員の視線が集まる。
明らかに怒っている様に見える。だが何故か直ぐに震えが止まる。さらに目を瞑り一度だけ大きくため息を吐く。
それからゆっくりと目を開け姉にニコリと笑みを見せると……予備動作も見せずにスルリと姉の脇を抜け、行き成り椿へと向かって行った。
「「「あっ!」」」
思わぬ行動に声を上げるだけで全く反応出来ない一同。
その中で唯一エリーだけは「不味い」といった表情で手を伸ばす……が一歩届かず空を掴む。
周りの黒服達は……特に慌てた素振りは見られず目で追うだけで動こうとはしない。
そして椿も迫りくるエマに対し、行動を起こす訳でもなくニコニコとただ眺めているだけであった……
・・・・・・
「主任! 敵を発見!」
「どこだ?」
「No.1はN195-81ポイント! No.2は……」
「よし各目標に各ペアで向かわせろ! 初弾は判別出来なくていいから全速で撃ち込め! 手応えがあったらそこが目標だ! そこに全弾ぶち込んでやれ!」
「「「了解!」」」
Aエリア基地から僅かに遅れて、ハンク達のところにも調査艦の大群が現れた。
その数二十万。こちらはほぼ想定通りの規模。
基地から五光秒の区域に、行き成りDエリア所属第五世代型探索艦全数に当たる四艦が現れる。
それに続き調査艦が続々と跳躍してくると第五世代型は隠蔽迷彩状態になりその中に紛れ込んで姿を眩ましてしまう。
旧式とは言え仮にも探索艦。迷彩技術は中々のモノで散開中の調査艦に紛れてしまうと間も無くロストしてしまう。
そこからは我慢比べの開始。
ジワジワと包囲を狭めていく敵。
それを質量兵器を駆使し、ギリギリのところで持ち堪える探索者達。
事前にウイルス系の武器の情報を得ていたので、被害を最小限に抑えるために、さらに探索艦の自体の「特攻」を警戒し質量兵器を駆使した戦法を取っていた。
ただ質量兵器は敵艦の大きさと比べれば豆粒同然。特に調査艦の「硬い部分」に対しては質量の差が歴然なので威力が減退してしまう。そこを避けて攻撃させているのだが敵も陣形を頻繁に変えて対応しながら進軍していたので予想以上に時間が掛っていた。
だが三光秒の距離まで押されたところで戦況が硬直し出す。
防衛範囲が狭まり敵が集まり出したお蔭で効率良く迎撃出来る様になったのだ。
ウチの戦力ではこのラインは攻守のバランスを取るには最適だな……ならば余裕がある今の内に攻めに転じた方が……という考えが頭の中を過る、がハンクは戦術の変更はしなかった。
それは四人のエリアマスターの中で一番「防衛」に主体を置いている、さらにレベッカの存在を知らないが故の結果だった。
ハンクとしては、行方不明の第五世代型が現れたということは操る人物が登場している筈、と考える。誰だかは知らない、多分「あの方絡み」の者と思われるが、そいつさえ排除出来れば余程の奇策を用いてこない限り烏合の衆と化した調査艦など早々に片が付くだろうという思惑もあった。
さらに基地に追加された防衛機構も控えているので防衛には自信があったのだ。
その発想はある意味正解だった。
第五世代型を操っているのはレベッカ。何万通りの戦術プログラムを予め第五世代型にインプットしておき、状況を見ながらレベッカが適時選択をして調査艦群に指示を出すというカラクリ。
レベッカからの指示が届かなくなった場合、探索艦の様に汎用性が高い造りならば脅威に値するが、数と前に進むしか能がない調査艦では出来ることが限られてしまい、決められたパターンでの攻撃しか出来なくなるのは仕方がない。
つまり勝敗を決する鍵となるのはレベッカが操る艦を殲滅できるかに掛かっているのだ。
攻める側のレベッカも椿の意志を尊重し、一切手を抜くつもりは毛頭無く探索者の殲滅に取り掛かっている。
ここDエリアでは、初めは数に任せジワジワと力押しして最後に一気に殲滅、の予定だったのだが、別の区域で予想外の事態が起きたのを感知、僅かな間そちらに気を取られたが為に隙が出来てしまったのだ。
「み、見つけた! これでしょ?」
「当たりかも! 行っちゃえーーーー!」
一箇所、球体型防御陣形を取っていた一団に迫る艦が二つ。その二艦から放出された質量兵器全弾が広範囲に広がりながら向かっていく。
中心に位置していた一つの質量兵器が砲弾型へと形状変化をし、調査艦の前方部の固い部分にめり込み貫通を果たす、が速度が減退され艦中心部辺りで停止してしまう。
もし突撃した部分が側面等の柔らかい部分だったなら突き抜けるだけであったが、固い前部であったが為に慣性の法則によって艦が後退、その為他艦と接触し、誘爆を引き起こされてしまったのだ。
その爆破の勢いで密集していた艦が押された事により陣形に綻びが出来てしまう。
その隙間に半数の質量兵器が潜り込み内部から破壊してゆく。
最終的に「火達磨」とかした一団に残りの質量兵器が四方八方から突撃、中心付近に隠れていた探索艦に突き刺さる、が大半は侵入角度が「甘かった」為に弾かれてしまう。
これはほぼ同じ素材なので侵入角度や侵入速度を緻密に計算した上で突撃させないと容易に起こり得る失敗。
その辺りはミアやノアによって補正される様に調整してあるが、今回の様に目標物が見えていない状態では補正は意味を成さない。
ただその中で一機だけ「運良く」目標に突き刺すのに成功した質量兵器があった。
内部に侵入した兵器は脳に当たる艦AIの破壊に見事成功。機能停止した艦から脱出まで果たした。
「一番乗りーーーー!」
「ソフィアーー仇は取ったどーー!」
「おう! よくやったぜなの!」
撃墜に成功した姉妹からの映像には爆発が収まった空間に、残骸に囲まれた銀色の球体が一つ、漂っているのが映し出されていた。
「No.3は沈黙! 艦AIの破壊に成功したと思われます!」
「No.4は逃げられました!」
「No.1は交戦中!」
「No.2も同じく!」
「失敗したペアには深追いはさせるな! 元の位置に戻って次のチャンスを待つように!」
「「「了解!」」」
班長達からの報告が続々と舞い込む。
どうやら四艦の内、一艦の撃墜には成功したようだ。
たった一艦、されど一艦。
現在Dエリアで動ける艦は四組計八艦。
ここまではペアが各1つずつ対応していたが、一組がフリーで動けることになったのだ。
これで均衡が崩れてゆく……筈。
「ソフィア! ソニアからの連絡は?」
「あれ以来全く無いぜなの! ってゆーかこっちからの問い掛けに無視せてやがるぜなの!」
ソニアと同じ顔の少女が艦内で目を瞑り腕を組み身動ぎ一つせず、口だけを動かして答えた。
「分かった……」
渋面を見せるハンク。
こちらに敵が押し寄せてから定期的に連絡を取らせていたのだが、ある時点を境にソニアから応答が無い状態が続いていたのだ。
・・・・・・
「……は! ここは?」
薄暗い木製の天井、さらに特徴的な照明器具が見える。
──一体何が起きた?
自分と妹の身体が光った所までは覚えている。
だがその先の記憶が全くない。
「おはよう……お姉ちゃん」
妹の声が聞こえた。
何処か寂しそうな気丈に振る舞っている感じの声。
隣のベッドを見ると、綺麗に整えられた布団に妹の姿は無かった。
「な、菜奈?」
起き上がり周りを見回すと、宇宙服の上にエプロンを身につけた妹が両手で何かを持って立っていた。
「うん……起きれる?」
「え? ええ」
「なら丁度出来上がったから……ご飯食べよ」
寂しげな表情でこちらから目を背けテーブルへと向かってゆく。
急いで体を起こし他のベッドを見てみる。
四台あるベッドの内、自分を含め三台の布団の上には宇宙服が畳んで置いてあるのが見えた。
「二人はどこ?」
「……まだ帰っていないよ」
「まだ? どういうこと?」
「エリスさんの手当てで……出掛けてる」
「手当て?」
(菜緒様、私からご説明致しましょう)
「セバスチャン? お願い」
(はい、それでは順を追って説明致します)
(……………………)
「了解、被害はそれだけね。それでマキさん達の現状は?」
(目を覚まされるのはもう少し後になるかと思われますが、既に全員快方に向かわれております)
それは色々と不味いわね……
「そちらも了解。あとエマ達の行先は知っている?」
(レベッカ様の研究所と思われます)
「…………研究所、ね。ここからの移動時間は」
(正確にはお答え出来ませんが大して時間は掛からない区域です、はい)
「行ってから何分経った?」
(百二十八分と七秒)
「その間、変化は?」
(いえ。正体不明艦が現れたのを最後にあちら側からの飛来物はピタリと収まりました)
「…………収まった?」
(はい)
「…………その不明艦はどこから現れた?」
(跳躍してきた「形跡」は見られませんでした。なのであちら側からやって来たと思われます、はい)
「…………推測で構わない。その艦の性能は?」
(はい、耐久性は凡そ二割増し。他は未知数)
「あちらから来たモノと思えば妥当な数値ね」
──やはり技術の小出しをしていたか。でもそれは当然よね。
問題は時期。
何故、今やってきたのか……
それと他にも同型艦が来ているのか……
「お姉ちゃん」
「は! はい?」
「ごはんだよ。いらないの?」
「え? ご、ごめん今行く」
急いでテーブルへ向かい菜奈の対面の席へと腰掛ける。
卓上には焦げ目がついた焼き魚と白米とミソスープが四人分、湯気を立てて並べて置かれてあった。
「四人?」
「いつ帰ってきても……いいように」
姉を見ながらポツリと呟く。
「そう……」
こちらは空席を見て呟く。
「「…………いただきます」」
黙々と用意して貰った食事を取りながら考える。
このまま待つか、それとも動くか……
──直ぐ戻る? 直ぐっていつ? 本当に戻ってくるの? その前に奴らに襲われたら? いやもう既にどこかで始まっているかも……
「消失」が再開した今、誰にとっても待った無しの状態。
この流れはもう誰にも止められない。
そう、決めた本人でさえ……
──エリスさんは何故私達姉妹にも力をつけさせたの?
既定路線の攻撃を凌ぎ切り、みんなで生き残る。
そこまでは「決められた」ストーリーが存在していた。
椿によって。
──エマ姉妹のサポート役として選ばれた、だけ?
その先がやっと見えて来たってとこでこの有様。
様々な可能性を考慮した上で仕組まれたストーリー……の筈。
だがこの流れには違和感を感じる……
つまりこれはイレギュラーな出来事……の筈。
──私達姉妹の存在意義は? 役割は?
理由は知らないがエマ達が代表として選ばれたのも既定路線。
それは椿の意思によるもの。
既定路線といえばもう一組の実験台であったクレア姉妹。
彼女達は今どこで何をしている?
──意義……役割……
「ん? 雨?」
二人が生み出す以外の音が聞こえてきた。
「降ってきたね」
音に気付き顔を上げる。
すると対面で食事をしていた妹も気付いたらしく窓から見える外の景色を眺めていた。
外は昨日とは違い、今の私達の気分と同じく薄暗かった。
──よし、決めた。
「菜奈」
「何?」
「私は一度戻る」
「どっち?」
「Bエリア基地」
「うん。私はここで……エマちゃんが戻ってくるのを……待ってればいい?」
頷く。
菜奈の表情とやり取りから、私が行動を起こすのを予測していたようだった。
襲撃が迫る今、他の探索者と連絡が取れない状況で「待つ」のは得策ではない。
自分が動いたから状況が良くなるとは思えない、がただ待つだけよりは何らかしらの可能性が広がる……筈。
──自分も自らの意思で行動を起こさないと、あの人達にはいつまで経っても追い付けない。
「貴方はみんなの面倒を見つつエマ姉妹が戻ってくるのを待ってて」
「……了解」
「何か気付いたら直ぐに連絡すること」
「うん」
「それともしここに敵が現れたら全員を連れてBエリア基地へと避難する事」
エリスとエマ姉妹がいない今、ここも安全とは言い切れない。
ただレベッカの都合? で連れて行かれたのだから襲われる可能性はかなり低いと思う。
「了解……だけど……」
「言いたいことは分かってる。けど今はまだその時ではないの」
「そうなの?」
「ええ。貴方の能力の使いどころはここじゃない。それに今あの人に気付かせる訳にはいかない」
「お姉ちゃん……知ってたの?」
「何となくだけど、ね。基地に戻った時の貴方とノアのやり取りを見てたら凡その見当がついたわ」
「そう……なんだ」
嬉しそうに笑みを浮かべる妹。
あの時、そうゲームの中にいる時に菜奈の能力に何かしらの付加価値が追加されたのだろう。
それはあのミアが制作に関わっていたことからプログラム関連であるのは間違いない。
さらに戻った朝の保養施設でのノアとのやり取りから推測するに、AIに対して強制的に働きかける作用があるのかもしれない、と。
妹の笑顔を見れて満足そうに立ち上がる。
「貴方はどんな形でもいいから生き残る事」
「分かった。それとね……お姉ちゃん」
「?」
真剣な表情で声を掛けてくる。
「一つだけ……分かった」
「何が?」
「あの子に襲われた時」
「あの子?」
「うん……ここに来た艦」
「それで?」
「あの子は何かを……探してた」
「探す? そう……アレと話せたのね?」
「ううん」
首を横に振る。
「? なら何故探していると?」
「来た時は嬉しそうだった……でも私が気を失う寸前は……落胆してた感じ」
上目遣いで答えた。
「そう。アレとは話せそう?」
「分からない。ただあの子と似た子は……最近いた」
「どこに?」
「エマちゃんの……基地に」
「…………もしかして「いっぱい」ってやつ?」
「そう」
多分私にとってここが分岐点。迷っている時間はない。
菜奈の様な能力があるワケでもない。
ローナ姉妹みたいな観察眼があるワケでもない。
天探女やミアノアの様な技能も無い。
あるのは真面目な性格だけ。
妹を見る。
以前とは違い強い意志を持った目をしている。
そのまま回り込み妹にそっと抱き着く。
すると菜奈も姉の身体に手を回してきた。
彼女達と私達は役割が明確に違う。
菜奈とはもしかしたこれが永遠の別れとなってしまうかもしれない。
仮に私がいなくなったとしても今の菜奈なら一人でも生きて行ける。
暫く抱擁を交わした後におでこに軽くキスをする。
そして「後はお願いね」と一言だけ残してBエリア基地へと向かって行った。
もう暫くこの状態(投稿間隔)が続きます。
*明日は久しぶりに投稿済み話の修正を行う予定です




