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未来か過去か⁈ そんなの私には関係な〜い!  作者: 想永猫丸
選択 結果 誰が為に?
149/215

色々? 桜の……

相変わらず何かを忘れている……気がする


*2021/3/30

第105話「蜂起」の後書きに、本文に対する補足を追加しました。


他にも似た様な箇所が結構あります。

気付いたら追加していきます。


 ピクピク……


 嬉しそうにピクピク悶える先生。

 基地に戻り、待機室に全員が集まったところ、突然周りを囲まれ予告なく「お仕置き」が開始されモノの数秒でノックダウンしてしまう。


「ハアハア……今回は……これくらいで……許す」


 お仕置きの発起人である菜奈が息を荒げて言い放つ。


 早速エマの恨みを晴らすべく、即有言実行に移す為、基地に戻る最中にバージョンアップした自らの能力を悪用? し、アシ2号以外のソニア艦も含めた全艦AIに招集を掛ける。

 そこで話し合った結果を搭乗者へ内密に伝達をしてもらい全員賛同を得た上で「お仕置き」が実行された。


 先ず初めに背後に音もなく忍び寄った菜奈に腕を回され体を持ち上げられた状態で逃げられない様にホールドされると、正面から満面の笑みを携えたエマが接近。

 囲っていた円陣がその歩調に合わせ徐々に狭まると一斉に「擽り地獄」が始まった。


「ハアハア、ノア約束だかんね!」


 足元で悶えているノアを見下ろし額の汗を拭いながら念を押す。

 すると先生は僅かだが頷いてみせた。


 その反応に満足そうな一同。


 そこにヒソヒソ話声が聞こえてくる。


(ところでシェリーとシャーリーの艦、一回り大きくなってなかったかい?)

「ほ、ホンマか?」


 マキの囁きに驚いて振り向くマリ。


「……よく気付いたな。流石マキだな」

「ドックに入るのに多少気を遣う程度だがな」


 ジンとコーチンの渋い声。


「こ、コーチそれは誠の事で?」

「何だ気付いていなかったのか……マキの注意力を見習うんだな」


「私も全く……」

「二人共使命感が足りん証拠だ! 基地の外周を走り込みして来い!」


 えーと直径1kmだから一周約3km……二人なら10分あれば……いやそうじゃない!

 へ? そうなの? いつの間に? 二人の艦だけ? アルは? 他の艦は?


 二人の反応から推測するに、搭乗者には知らされてはいなかったようだ。

 まあ成層圏に到達するまではステルス状態、解除して宇宙空間にいる時は艦の中に居る訳で、意図しない限りは自艦を見るなんてことはしない。

 さらに艦が見えたとしても、傍に比較対象が存在していない宇宙空間では大きさが多少変わろうが知る術がないだろう。


 戸惑う二人に自艦AIからの指導が入り、素直に指示通りに部屋から出て行こうとしたところ、突然全員の前に空間モニターが現れた。


「はーーーい、みんなグッドモーニングだったカナ~?」


 爽やか笑顔のエリスがどアっプで映し出される。


「おうエリスか! 今日も元気そうやな!」

「おうマキか! 明日も元気だヨ?」

「相変わらずオモロイ言い方しとるの~」

「いや~散歩好きのマリには負けないかな~」


 いつも通りの騒がしい三名。

 盛り上がる前にラーナが割って入る。


「おはよ~エリスちゃん~そのまま作戦会議室(ブリーフィングルーム)に来てくれる~?」

「おヨ~~ラーナは何か変わったよ~ナ? 雰囲気が~」

「ウフフ~どんな風に~?」

「う~~~~~ん、クラゲみたい~?」

「……はい?」

「アハハハハ先に待ってて下さレ~」


 無邪気な笑い声と共にモニターが消えた。


「そんじゃ行こか!」


 マキを先頭に転送装置に向かって歩き出す。


 ノアをそのまま放置しておくわけにもいかないのでアシ2号にノアの反重力シューズを含めた宇宙服を制御してもらい体重を軽くして貰った上でエマが背負う。


 そこに菜奈が近寄り小声で話し掛けてきた。


「到着前に気付いたけど……基地(ここ)の中……昨日とだいぶ……変わってるよ」

「へ? どんな風に?」

「分からない何かが……いっぱい……増えてる」

「な、なにが?」

「分からない……全く……返事しない」

「返事しない? もしかしてAI系?」


 聞き返したが答えずに不安そうな眼差しを向けていた。


(アル、今の聞いてた?)

(聞いてたよ~。菜奈ちゃんに気にしなくて大丈夫~って言っといて~)

(何が大丈夫? いったい何が増えたの?)

(ん~今は大人しくしていて欲しいんだな~)

(アル、答えなさい)

(エマ~)

(……何?)

(事態を悪化させたいの〜?)

(…………)

(エマの役目は〜?)

(…………)

(「遺跡回り」じゃないの〜)


「そんなことは分かってるわよ!」


 思わず声を出してしまった為、皆が驚いて振り向く。


「……え、エマ、や」

「ん? 気が付いた?」


 背中から蚊の泣くような声。


「……その話題は暫くは止めて、くれ」

「何で?」

「…………なんでも……だぞ」


 何故か菜緒に視線を向けるノア。


 すると「エマ、止めましょう」と真面目な顔でノアに同意してきた。

 有無を言わせぬ雰囲気に負けて「うーー分かった」とここは折れる。


「菜奈もよ」

「……はい」


 菜奈も念を押された。


「それと~基地の外に探索艦が一艦、跳躍して来たよ~」


 仕方なしに再び歩き出そうとしたところに報告が入った為、再び歩みが止まる。


「跳躍? 誰? 跳躍ってことはエリスじゃないよね? もしかしてアリス?」

「え〜と……ワイズ艦だね~」

「ワイズ? ってことはサラが帰って来た?」

「無人~~だね~。どうやら「回送モード」でご帰還~ってところかな~」

「へ? サラは?」

「本人に聞いて〜」

「他に何か情報は?」

「はいはい〜。ん~~『ラーナへ。艦を戻すからワイズを有効に使え。分かっていると思うがその星系から出さずにだ』との置き手紙発見~」


「りょうか〜い」


 躊躇いもなく返事をした。


「へ? ラーたん? ワイズ? 他には?」

「もう一つ~『こちらは少々厄介な事態になった。その内に帰るからそちらはそちらで頑張れ』だそうな〜」

「頑張れって他は? サラはどこに?」

「記録は真っ新(まっサラ)なっしんぐ〜」

()()だけに?」

「流石マキ〜。ツッコミありがと〜」

「よしアルテミス合格や! ワシの弟子にしたる!」

「し、師匠⁈」


「やなこった〜」


「い……い……いい加減にしろーーーー‼︎ もういい! みんな行こう!」



 全く帰った早々、ダンジョンだの、正体不明な存在だの、頑張れだの、弟子にするだの!

 次から次へとみんな好き勝手しやがって‼︎


 あたしゃ本気で怒るぞ!


 鼻息荒くドスンドスンと足音を立てながら転送装置に向かって行く。




 作戦会議室(ブリーフィングルーム)に着くとワイズ兄弟が席で大人しく座って待っていた。

 二人とも宇宙服を着込んで。


 ……ん?


 エマを見るや否や真面目な顔で敬礼をしてくる。

 二人が敬礼をしている姿を見るのは初めてかもしれない。


 周りも二人がいるとは思っていなかったらしくエマ同様、二人を見て直ぐには反応出来ずにいた。

 ただラーナだけは兄弟に笑顔を送って自らの席へと向かって行く。

 そしてマキは急にアタフタしだしマリ()の背に隠れてしまう。


 その二人に続きエマが動き出す。

 先ずノアを席まで運びそーと降ろしてから二人に無言のまま近付いていく。



 そう言えばこいつら正式に探索者になったんだっけ?

 でもね、今はそんな事は関係ないわ!



 敬礼をしたままこちらの動きを追っていた兄弟の目は、何故か期待の籠った眼差しを向けていた。


 その眼差しを見ると自然と兄弟へと足が向かう。そのままサイドテーブル付きの椅子に手を掛けて一呼吸置いてから……勢いよく後方へとひっくり返す。


 思いもよらなかった行動に、何も出来ずに盛大に引っ繰り返る兄弟。

 唖然としている兄弟に向けて雄叫びを上げた。



「そこはお前達の席じゃない! 私とエリ姉の席だ!」



 ギリギリ角は生えてはいないが鼻息はとても荒かった。


「いたたたっす! そんなことしたら怪我するっす! って俺達初めてなんで席が決まってるなんて分かんないっす!」

「宇宙服着てるんだ! 怪我なんかするもんか! それと新人は先輩が来る迄、壁際で立って待つもんだろ!」

「お、俺っち病み上がりなんだけどな~。しかし今日の姉さん荒れてるんだな〜」

「姉さんじゃない! エリアマスターとお呼び!」

「それ、何かやだな〜」

「そうっす! 親しみが湧かないっす!」

「親しみだぁ⁉︎ 新人に必要なのは苦労だ!」


「え、エマ、ちょっと落ち着いて、ね?」


 菜緒が止めに入る。


「ガルゥゥゥゥ!」


「ドウドウ~~取り敢えず~待て、カナ~~?」


 全員が後ろを振り向く。

 すると転送装置の上にはニコニコ顔のエリスがおり、こちらに向け歩いて来た。


 エリスに視線が集まる中、皆の間を擦り抜けエマの傍へ。


「エマ~~?」

「ん? 何?」


 振り返ると同時に勢いよく抱き着いてきたので反射的にエリスを受け止める。


「何を怒ってるのカナ~?」

「だ、だってどいつもこいつも!」

「怒りん坊なエマ~~私を見てネ~~」


 行き成りエマの顔を両手で押さえ自分の方へと向けさせる。


「何? え?」


 アリス()と瓜二つの、幼いが綺麗で天使の様な可愛らしい顔が目の前に。

 変わらずのどこか子供染みた、そして温かみのある目。


 最近同じ顔の「ドMの姉」に何度もキスをした記憶が一瞬だけ蘇るが、直ぐに忘却の彼方へと消え去っていく。


 考えてみたらこんな正面からマジマジと顔を見た事が無かったな


 先程までのイザコザはどこへやら。エマは目の前の顔に見入ってしまう。

 この姉妹の外見()()はノア姉妹同様、見分けがつかないほどの瓜二つ。

 だからと言ってこの姉妹を間違える仲間は一人もいない。

 なぜなら同じ容姿・同じ顔でもそのハッキリと異なる性格が、雰囲気、そして「目」に現れている為、見る者にとっては全くの別人のように感じられてしまうからだ。


 というのも性格の違いから、二人は言動や仕草はご存じの通り全く異なる。


 姉であるアリスはどこか達観した雰囲気が漂う大人しめな礼儀正しい少女。相対する者には目だけではなくしっかりと顔も向けるタイプ。そしてサラを除き必ずと言ってよい程、人との関係に距離を取ることを忘れない。


 妹のエリスは相手によって態度を変えることはない。例え真逆な性格な者と話したとしても、いつの間にか自分のペースに持っていけれるほどのマイペースでポジティブ思考の持ち主。

 たまーに怒ることもあるが根に持つことは無い。

 常に前向きで、常に楽しそうに。彼女を知る者は皆、そう感じるだろう。



 僅か数秒間、エリスと見つめ合っただけなのだが気分が落ち着いてくる。


「落ち着いたみたいだネ~」

「え、う、うん。ごめん」

「おーいいって事ヨ!」


 と笑顔を見せてからエマの胸に顔を埋めた。



 この感じ……どこかで……



 無意識の内にエリスの頭をナデナデする。

 するととても温かい気分で心が落ち着く。

 さらに撫でるのを止め、エリスの身体に手を回し抱き寄せてしまう。


 その様子を黙って見守る仲間達。

 驚いている者。慌てている者。温かい目で見る者。みなそれぞれ違った思いで眺めていた。


 だがラーナとノアと菜緒の三人だけは同じ表情で二人を眺めていた。



 その後、各々定位置へと腰掛ける。

 他エリアから来ている菜緒と菜奈とソニアはルイス&ルークの席とローナの席を利用する。

 自分の席が分からずアタフタしていた二人は挙動不審なマキが何とか教えてあげた。


「それじゃ~全員揃ったところでミーティングを始めます~」


 自分の席から司会進行を進めるようだ。





「それで何処から回るの?」


 隣に座っているエリスに聞いてみた。


 エマ達にとって右も左も分からない状態。

「消失」に関する情報は二百年前の「粛清」によって失われており現時点で唯一、椿と椿の研究所が情報を握っているようでこの世の何処にも残ってはいない。



 分かっている事と言えば


「遺跡」とは桜と椿が実験体として連れて来られて生活していた場所


「遺跡」はエネルギースポットと言われる場所の上にあり、その上で桜と椿が実験体として生活していた場所


「覚醒後」に「遺跡=エネルギースポット」にいると「消失現象を収める力」が得られる


 と言うことと


 最後に力には「エネルギースポットから得られる力」と「自分の思いからくる力」の二種類がある


 そして思いからくる力は「自分の中にある「思い」から生じる」


 と言う点だけ。



 それらのことはレベッカや桜、そしてアリスから教えて貰った断片的な情報でしかなく、しかもここにいる誰一人として実体験した訳では無いので、全くと言っていい程理解が進んではいない。

 その力にしても、目に見えたり容易に体感出来るものであったなら少しは理解が及ぶだろうが、唯一「力」を見た事があるエマでさえ「光の球」としか表現できないモノなのだから、皆にとっては想像すらつかない、というところが本音であろう。


 桜の「過去」を見たエマも、二人の楽しい様子が殆どで「何をしていたか」までは全く分からないのだ。

 こんな状態で無闇矢鱈に「遺跡」に行ったとしても何をしていいのかが分からず空振りに終ってしまうかもしれない。とてもではないが効果を期待するだけ無駄に思われる。


 だが現時点でこちらの世界にいる「贄」は二人もいる。

 アリスと椿。

 経緯は違ったかもしれないが「贄」が存在している。

 この二人は「力を付ける」方法を知っている筈。


 その内の一人、アリスが「遺跡」周りに連れて行くならエリスが最適だと言っていた。


「椿」でもなく「自分(アリス)」でもなく。



 エマに釣られて皆の視線がエリスに集まると、当の本人は「うぇ⁈」といった表情でキョロキョロし出す。


「……ハーーイ、エリスちゃんでーース‼︎」


 反射的? に自己紹介を始めた。


「それは知っとる! そんなボケは要らんわ!」

「挨拶はええから先進めてーな!」


 すかさずツッコミとヤジが飛んで来た。


「おーーなら話を進めマス!」


 と、やっとのことで話し合いが進んで行く。



 エリス曰く、

 何処から回っても構わないが、エマが意識を失った「遺跡」だけは今は避ける必要があるとのこと。

 更にアリスが言っていたようにエマ姉妹だけではなく菜緒姉妹も強制参加とのこと。

 現地滞在予定時間はエマ達次第。

 持ち込み品は食料品くらいで特になし。

 因みにおやつは好きなだけ持っていけとのこと。



「他に同行者はいるカナカナ~?」


 肝心な事を聞く前に聞かれた。


「え? いいの?」

「去る者拒まず来る者追わズーー」


「逆やろ!」


 かなり不満そうなマリ。

 先程から()()()を奪われてばかりいるからだろう。


「アハハハハ! 好きにすれバー! でもみんなお出掛けして基地の中をガラガラにして問題ないノ~?」


 先日はノリで全員参加を豪語してしまったが、改めて言われると心配になってくる。

 基地の防衛システムは完璧な状態らしいが、どんな装備があるのかは知らされていない。

 まあ気いたとしても私にはチンプンカンプンに違いないだろう。


「どうしようかね? ワイズ達の待機は決定事項としても」

「そ、そうなの⁈ これってパワハラじゃない?」

「ショックっす! エマッちから離れたく無いっす! 断固抗議するっす!」

「そうは言ってもねーーこれ、サラの指示だから」

「なら仕方ないのね」

「そうっすね」


 素直に引き下がった。


「やっぱり~私とシェリーちゃんとソニアちゃんも残ることにするわ~」

「……ソニアも? 分かった。後はよろしく」


 ラーナはアリス対応という大義名分で。


 シャーリー()に向けて大きく頷いたシェリーは自分の役割が分かっている様で一切の文句を言わない。

 姉の視線を受け、隣のシャーリーも自らの役割を理解して、力強く頷き返す。


 残念そうにエマに視線を向けながら頷くソニアは皆にとっては大事なお客様。

 サラと交わした約束があるので、ある意味「本当に危険な状況」に同行させるわけにはいかない。


「後、残りたいという者は?」


 誰も声を上げない。


「はいはい~それでは準備が整い次第~出発して頂戴~」



 特に揉めることも無く、無事ミーティングが終了した。

 心配の種であったエリスの反対も無く肩透かしを食らった感じに思えるほどに。


 ただ私としては「遺跡」に行くのなら一人、いや姉と二人だけにしておきたいという気持ちが未だに残っている。

 だからと言ってその道はもう選ばない。

 皆がついてきてくれる限り、同じ道を進むだけだ。


 今回、再び基地に残る選択をしたラーナ。

 彼女が早々に戻って来てくれたお蔭で、安心して基地から出ることが出来ている。


 ノアを始めミアが手を加えた防衛システム。

 どんなモノかは分からないが、今はとても心強く感じる。


 その基地にあのシェリーが控えてくれる。

 これほど頼もしい事はない。


 それぞれが席から立ち上がる中、保養施設の宴会でラーナが言った言葉を思い出す。



 我々探索者の殲滅。


 殲滅と言うことは生かしておかないと?

 それは我々の存在が邪魔だから?

 それなら何故探索部なんて創設したの?


 椿も探索部を作るに当然承知していた筈。


 効率の良い「贄」育成システム……


 レベッカが探索者を守るという名目で作った無敵要塞(探索艦)の頑丈さは折り紙付き。

 殲滅するのが当初からの決定事項なら、ここまで頑丈な艦なんていらないだろうに。


 二人は初めから別々に動いていた?


 いや……あのレベッカの性格ならそれはないと思う。


 それよりも気がかりなのは……何故私達六人を人工的に生み出す実験をしたのか? という点。


 椿主導で行われた実験。

 レベッカは後から知ったと言っていた。

 アリスは人工的に「贄」を作り出す実験と言っていた。


 遺伝子(DNA)を使った実験……そして思惑通り成功を果たした。


 それなのに全てを無に帰そうとしている


 でもそんなことはさせない。

 絶対に、だ。


 どちらにしても今はエリスだけが頼り。

 アリスが不在な今は。


 思いから来る力……


 椿の思い……


 そして桜の…………………………の……?






 あっ…………






 どうしよう…………





 一番肝心な事、気が付いちゃった…………





「ど、どうしたの? 顔真っ青よ⁉︎」


 心配そうな表情でこちらを見ている仲間達。

 気が付けば全身がブルブルと震えていたのだ。


「い…………いや…………なんでも…………ない」


 両手を見る。どうしようもないほど震えており全く言う事を聞かない。






 どうしよう…………



 こればかりは…………もう…………無理かもしれない



 初めから…………選択の余地なんて無かったの?



 これも…………運命なの…………



 なら何で…………レベッカも…………アリスも…………桜も…………




 あの人言っていた「決断」って…………このことだったの…………




 だめ…………もう何も考えられない…………





 振るえる掌に誰かの手がそっと添えられ優しく握ぎられた。


「お姉様…………落ち着いて下さい…………ね?」


 本文で今後説明をしない可能性があるので菜奈の特殊空間についての説明を今しておきます。


 彼女の能力は自らの脳内チップを利用し、問い掛けに応じたAIと話をする、というのものでした。

 話中にも説明がありましたが、菜奈は天探女によって脳内チップを改造されAI(相手)に対し(情報連結/情報部が自前の研究所を作ろうとして苦労する原因となったシステムを利用)防壁に関係なく1対1で会話を成立させていたのですが、今回のバージョンアップによりのご招待を受け入れたAI(友達)を自分のイメージ化された特殊電脳空間内に「数に関係なくご招待する」ことが可能となりました。

 勿論相手が対話を拒絶した場合は成立しませんし、そこはあくまでも「友達感覚」の上で成り立つ「対話」と言うことになっているので菜奈、又は相手次第で「お開き」になってしまう可能性もあります。

 ただこれは菜奈の性格だから、なのかもしれませんがほぼすべてのAIは菜奈の問い掛けを拒絶したり途中退場はしない様です。

 何でかって? それは……秘密です(一応理由はあります。対話強制プログラムが働いているとかではないです。あくまでも菜奈の人徳がなせる業と相手の立場、といったところです)


 あと第三者が菜奈との会話を盗聴しようと思えば「ノア」レベル以上であれば可能なのですが、参加者以外には何を話しているか言語も含め「意味不明」と感じ何人たりとも分からない状態となっています。

(可能性が無くなったのでネタバラしますが、第一候補であったクレアの為に用意した能力とは異なります。クレアはどんなモノだったかと言えば、Cエリア到着時に見せた質量兵器を操作する能力ですね。アレの為にノアやミアが一生懸命改造しまくっていたのですが……まあ美味しい所はみんなで分け合わないと)

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