散歩や! とあるスジ?
とりあえず修正を終えました。が現時点との「言葉や表現の差異」があった為、所々修正や削除、又は追加をしてあります。
ただ大筋では内容に全く変わりはないので、どこがどう?という報告は省かせて頂きます。
*マキが研究所に連れて来られた際に「真っ赤な宇宙服」と書いていましたが、真っ赤なのはシェリー姉妹でマリ姉妹はライトブルー(空色)を着ているので修正してあります。
因みにBエリア探索者9組の宇宙服の色は
エリー姉妹・・ホワイト(白色)
ローナ姉妹・・ブラック(漆黒色)
ルイス兄弟・・ネイビーブルー(紺色)
シェリー姉妹・・レッド(真紅色)
マリ姉妹・・ライトブルー(空色)
アリス姉妹・・ゴールド(黄金色)
ミア姉妹・・ライトグリーン(若葉色)
リン姉妹・・ライトピンク(桃色)
ワイズ兄弟・・ライトグレー(灰色)
となっています。
もし誤記がありましたら↑が正解です。
因みに↑の名前順は(エリー姉妹を除き)Bエリアに着任して来た順となっています。
(シェリー姉妹とマリ姉妹は同期)
固まる五人。
特に店から出てきた三人組の中央にいたないすばでぃーな女性と、入ろうとしていた二人組の内のこれまたないすばでぃーの二人の女性の時間が一瞬で止まってしまう。
十秒程瞬きも呼吸もするのを忘れ見つめ合って固まっていた二人は数回瞬きをした後にやっと口を開いた。
「…………あ!」
「…………お!」
「マキか?」「マリか?」
「「…………」」
「マキやーー‼︎」「マリやんけーー‼︎」
同時に飛びつき大はしゃぎで抱き合う二人。形の良い山脈が同じ様にプニョプニョと再会を喜び合っているかのように震えていた。
「マキやマキやーー‼︎何でここにおんのや⁈」
「マリ!元気やったか?って姉ちゃん何でこんなとこにおんるんやーー⁉︎」
「それこっちのセリフやーー!いやいやそんな事はもうええ!ホンマモンのマキや!いやいやいやいやーーもう絶対に離さんからな‼︎」
「ちょ、マリやちょい待てって、苦しいわー」
感動の度合いは姉の方が大きい様で、妹に覆い被さる勢いで抱きついていた。
「何やこのけったいな兄ちゃんは?マリそっくりやん!」
どこからとも無く聞こえる調子のいいオヤジ声。
「およ?その物言いは師匠か?」
さらに嬉しそうに反応するマキ。
「ワシはアンタの師匠ちゃうで?マリの師匠やで!」
「ハハハハ!師匠も変わりないの!相変わらずボケとるな!」
「何?ボケやと?……さらにその女装……もしやマキか?」
「そやで!しかしマリは暫く見ん間に一回り大きくなったんちゃう?」
「へ?あ、これか?丙、もうええよ!」
マキから一旦離れると、マリを覆っていた丙は体をスライム状にし、一瞬で離れて元の形態へと戻り、甲と共にマリの周囲警戒を始めた。
「ふぇ?な、何やそれ?」
「ウチの頼もしいボディーガード達や!」
自慢気に甲と丙の肩をポンと叩いて見せる。
「オー?感動の姉妹再会シーンお邪魔カナ〜?」
両腕を背後に回し、覗き込む様に二人の間に入ってきた。
「その話し方……エリスやんけ!相変わらずキラキラ笑顔で眩しいのーって何でこんなとにおるんや?」
「アハハ、流石姉妹!全く同じ反応するんダネ!」
「そりゃ当たり前やろ?で、みんなここで何しとんのや?三人ともいい匂いさせおってからに!ってその耳、ホンマもんかい?」
ステラの頭の猫耳に目が止まる。
「ホンマもんなのね」
「へ〜〜」
その場から動かず遠巻きに遠慮することなくジロジロ猫耳を眺めるマリ。
そんなマリにステラはピクピクと耳を動かして見せた。
「いやーウチも寝てる間にここに連れて来られてな。そんで起きたらエリスがおったからみんなで食事しに来たところや」
「連れて来られた?誰に?」
猫耳に興味が無くなった様でマキに向き直る。
「椿っちゅう奴らしい」
「そうか椿か…………ってあの椿かいな⁉」
「どの椿かは知らんがその椿らしい」
「…………」
突然目をまんまるくするマリ。
「どした?姉ちゃん?」
「……忘れてた。腹減ったわ」
「それならこれを食べるといいですね」
ステラがぶら下げていた袋からテイクアウト容器に入った料理を取り出し、お腹を押さえたマリに手渡す。
「ええ香りやな~……貰ってええの?」
「ええのですね。遠慮なくどうぞですね」
「そこのベンチで食べて下されたらドウ?」
直ぐ傍のベンチを指差すエリス。
「そ、そなや。直ぐ済むからちーとだけ待っててくれる?」
「いくらでも待ってるさかい、早う食え」
「飲み物買ってきますね」
ステラが小走りに店へと入って行った。
「ところでマリはなんでここにおるん?」
「ん?おう!聞いて驚くな!って大きな声では言えんが実はな、エリーを助けに来たんや!」
大きな声で教えてくれた。
「……エリーここにおったんか⁉」
「そや!ウチがもう脱出させたから一安心やで!」
「姉ちゃん一人でか?」
目をパチクリさせてマリを見る。
「そやでーーーー」
オコノミヤーキを口の中でもぐもぐさせながらニヤリと笑うマリ。
口の周りはソースと青海苔まみれだ。
そこにステラが戻ってきた。
「はい、お待たせしましたね」
買ってきた飲み物を手渡してからマリの口元を拭いてあげる。
それを温かい目で黙って見守るマキ。
マリは素直に拭いて貰った後、受け取った飲み物の半分程を一気飲みした。
「ホンマか!いやいや姉ちゃんもやるときゃやる子だったんね。大したもんや!」
飲み終え一息ついたところで、隣に座っているマキがマリの背中をバンバン叩いて喜ぶ。
「えへへへへそやろ?ちっとは見直したかい?」
ここぞとばかりにドヤ顔をして見せるマリ。
「尊敬に値するで!そんで姉ちゃんはこんなとこで何しとんの?」
マキの質問に一瞬動きを止めたが直ぐに食事を再開しながら返答した。
「……散歩や」
僅かな間を置いて小声で呟くマリ。
マキはその一瞬の間を見逃さなかった。
姉の性格は「何となく」は知ってはいるので「ここに来るまで苦労したんやろな」と心の中で思ったが口には出さず、でも相方としてツッコミは入れないと流儀に反すると思い、正直に思った事を言う。
「……迷子か。相変わらず難儀な性格しとるみたいやな」
「いやいや散歩言うたやん!ちっとアクシデントが発生してもうて帰るのに散歩がてら遠回りしてるだけやん」
やはり迷子やったか……ならここで会えて幸いやったな、と
「そーかそーか。ならちょうどええ。散歩はもう終いにしてウチと一緒に帰ろ!」
マリはその言葉を聞いて一瞬嬉しそうな顔を見せたが直ぐに真面目な顔に戻した。
「そりゃいい……ってウチはまだ任務遂行中なんよ。それにマキはどこに戻るん?」
「どこって……ハナちゃんがAエリア基地におるし、みんなもそこにおるし、こっちの用事もあるから」
エリスをチラリと見る。
「そうかAエリア基地か……ウチはまだ行ったことあらへん……」
「マリは?」
「ウチの帰投先はBエリア基地なんよ」
語尾が小声になっていく。
「なら先に帰っててな。ウチらも用事済ませたら直ぐに帰るから」
「そうか……また離れ離れかいな……」
シュンとするマリ。
「……元気出そ?姉ちゃん」
「……そなや。ウチはマキの姉ちゃんやしな!」
「話は纏まったのカナ?」
「スマン、待たせた。で師匠はどこにおるん?」
「みんなの思い出の中におるんよ」
「「プッ」」
空色の宇宙服を着た双子が吹出す。
「喜んでくれてあんがとさーん!」
「流石空気読むの上手いわ!師匠完璧!」
マキが空に向け親指立ててグーを付きだす。
「当たり前や!で、ワシの体は多分ミケちゃんがおったところにまだおるで」
「ミケちゃんって?エリーの?」
「移動はしてないん?」
「ワシの性格からして面倒くさいことはせーへん。年食うとトイレに行くのも億劫になるんよ?」
「オウ!アソコなら私知ってるアルネー!」
エリスが片手を上げて飛び跳ねる。
「そうか?エリス知っとるんか。なら案内頼めるか?」
「お安い御用デース!」
親指立ててグーを突き出す。
「ほなら早速行こ!」
「ストープ!」
「? どないしたエリス?」
「ミケちゃんがいたドックは今は真空なんダナー」
メイド服を着ているステラをマジマジと見て話す。
「途中までの案内しかできないカナ?」
「それでええ」
「それでええなられっつごー!」
速攻で食事を終えエリスの案内で迷宮通路の転送装置がある小部屋へと「一発」でやってきた。
「…………なんでやねん」
驚くと同時にしょげるマリ。
「どしたん?」
「「?」」
首を傾げるマキとエリスとステラ。
「あんだけ苦労したのに何で一発で来れるんや」
「どしたん?」
「ま、マキも見つかったしあまり深く考えんとこ!な、マリ?」
師匠の励ましと共に甲と丙もマリの肩に優しく手を置く。
「みんなありがとさん……」
「何しんみりしとんの?マリらしくもない」
「何でもあらへん!」
「そか?そんじゃ先に基地に帰っててな」
「お、おう!でも……心配やわ」
これでもかってくらい心配そうな瞳でマキを見るマリ。
「また悪い癖出とる。大丈夫やて!」
「そうや!甲!」
何か閃いたようで目が輝きだした。
「?」
「お前、今からマキのボディーガードや!うんそれがええ!」
マリに敬礼をして早速マキの傍らへと移動する甲。
「う、うぇ?い、要らんよ…大丈夫やて」
「アカン連れてけ!これは姉ちゃんからの命令や!甲、頼んだぞ!」
胸を張り大きく頷く甲。
そんな姉を見てため息をつく妹。
「は、はぁ……」
「優しいお姉ちゃんで羨ましいのダナ~」
「マキ様、遠慮せず貰っておくね」
「い、いや、こいつらはミアがノアから借りたモンらしいからあげる訳には……」
ステラの発言に慌てるマリ。
「そうか?それならAエリアにノアが居るから返しとくわ」
「それはええ!必ず手渡しで返すんだぞ?ほなら先に行くで!」
「ああ、後でな!」
力強く握手をして、マリは転送装置へと消えていった。
「うぉ!ハッチが無い!」
壁の転送装置から出るといきなり真空状態へと飛び出した。
そのまま丙と一緒に無重力の宇宙へと飛び立つと先の何もない空間に穴が突然開く。
そこに二人は迷わず潜り込む、とすぐに穴が閉じられた。
そのままコックピットへと向かうとローナから暗号通話が入った。
「やっと帰って来たわね♩」
「スマン、道に迷ったわ」
「直ぐ撤収するわよ♩」
「シェリーは?」
「見ての通り♪任務完遂♪」
「了解」
「よし♪全員撤収!」
「……マリ、や。お土産、は?」
「あ、忘れた!」
「早く!」
「あ、ま、待って……」
「……あでぃお〜す……」
「全く……♩」
三人とも速攻跳躍していった。
「えーーと甲やったな?よろしくな!」
マキに敬礼をする甲。
「そんじゃエリス、ウチラを基地まで頼む」
「よろしくお願いしますね」
「まっかせなサーイ!その代わりマキも頼んダゾ?」
「おう!そっちは任せなさい!」
・・・・・・
「姉様、そろそろ降りて下さいな」
「んーーもうちょっとこうしていたいのだー」
「もう……みんなが姉様のこと見てますよ?」
「みんなってだーれー?」
「周りを見て」
「んーー?」
幸せそうな笑顔でゆっくりと順番に顔を見ていくが、誰にも興味を示さず再度ランの首筋に顔を埋めてしまう。
「さっきとはまるで別人ね」
「いつも……こんな感じ?」
菜緒と菜奈は二人横並びでソファーに腰掛け、リンを横目で見ながらエマに聞いてきた。
「はは、普段はもうちょっと距離があるかな?」
「もうちょっと?」
「今のあなた達くらい」
菜緒と菜奈がお互いの距離を確認し合う。
そして目線をリンに戻した。
「ねえリン、教えてくれる?」
「ん~~?今いそがしいからあとにしてほしいのだ~~」
「姉様、お姉様がお聞きしたいことがあるそうですよ?」
「そうなのか~?ところでランラン、なぜエマエマのことを「お姉様」とよぶの~?」
「お姉様は私にとってとても大切な人だからですよ」
「がーーーーん!」
まるでこの世の終わりといった感じでランの腕の中で全身脱力してしまう。
「あ、勿論姉様も大事ですよ?」
その言葉を聞いて直ぐに復活。
「それならいいのだ!でエマエマ、な~に~?」
「さっきランが聞いたけど、何故ここにやって来たの?」
「ん~~~~~~なんだっけ?」
「ゼンマイ定食美味しかったって言ってましたよね」
「…………お?ミアミアじゃなくてノアノア?…………ん?リリー?」
「姉様!頑張って!」
「…………おにごっこ?」
「「「鬼ごっこ?」」」
ラン、エマ、菜緒がハモる。
「なるほど……」
一人納得するアリス。
そこに隣の部屋からクレアが一人浮かない表情で入ってきた。
「どう起きそう?」
ソニアがエマにもたれ掛かって寝てしまったので、首だけクレアに向けて聞いた。
「もう少しかかりそう」
力のない笑顔で返答する。
クレアはレイアが起きても直ぐ分かるようにと扉は開けた状態にして、そのままエマが座っているソファーの横の僅かに空いていたスペースにそーと腰掛けた。
「クレアさんの時を参考にすればもうそろそろ起きてもいいんですけどね」
「アリス」
「はい何ですか?」
「今更だけどレイアにクレアを合わせても大丈夫?」
「クレアさんはどう思いますか?」
「私は話しをしたい」
「なら問題ないのでは?」
「いやレイアの思惑とかは?」
「それはエマさんに対してであって、妹であるクレアさんに関しては何の縛りもないかと」
「まあ最初は二人だけっていうのは止めた方がいいかもね」
「それには……同意する」
菜緒の意見に菜奈が賛同する。
「では私が同席するということでどうでしょうか?」
「…………」
「な、なんですか?その目は?」
「ま、しかたないか。この中ではレイアを制御出来るのはアリスしかいないし」
「そこは半分正解。ただ彼女の性格からして皆さんが手を出さない限りは紳士的に接してくれると思うし、根はやさしい人だと思うので、私は必要無いかと思いますけどね」
「分かった。取り敢えずはお願いするわ」
「承りました」
「それとマキはどこに連れていかれたの?」
「さあ?」
「心当たりも無いの?」
「いくつかは。ですが何処とは断定できません」
「せめて艦といっしょなら……でもここにマキさんの艦が残っている以上、探し出す手段が無いわね」
「…………」
マキの話しになってから表情が暗くなっていた菜奈。
そんな妹に気付いて優しく手を握る姉。
「艦……ハナちゃん」
エマもハナちゃんの気持ちを思い沈んだ声で呟く。
「呼んだかいな~?」
エマの思いとは裏腹に普段通りの聞き慣れた声が聞こえてきた。
「あ……マキの事なんだけど」
「なにシケタ声と顔しとるの?」
「へ?だって……」
「マキの事でか?」
「う、うん。ごめん、私のミス」
「それはちゃう!酒飲んでだらしなく寝とるマキが悪いんやろ?考えてもみい?あの場で全員起きてたら、連れてかれる事はなかったやん」
「そうなんだけど、多分私が原因で連れてかれたんだと思う」
「気にすんなって。実は「とあるスジ」からの情報でマキの安否の情報だけは逐次入って来とるんや」
「とあるスジ?」
「な、アルテミス?」
「ふ、ふ、ふ」
「あ、アル?何で知ってるの?」
「……秘密や」
「へ?」
「居場所までは分からんみたいやけど、マキの事は今んとこ心配あらへん。そやからそっちはそっちの心配をしいや」
「う、うん、分かった」
「凹んでるかなと思ってたけど大丈夫そうね」
「でもアルテミスは誰から情報を仕入れているんでしょうかね?」
思い当たるのはこいつしかいない、という感じでエマと菜緒がアリスを見る。
釣られて菜奈とランとクレアも見た。
全員の視線がアリスに集まる。
だがアリスは首を横に振った。
「私ではありませんよ?」
違うらしい。
二人は今度は菜奈を見る。
釣られてランとクレアとアリスも見た。
「菜奈、分かる?」
「全艦口を揃えて「……秘密や」……だって」
「一体誰だろう……」
「おおおお思いだしたどーー!」
突然リンがハッとした顔をして大声で叫んだ。
どうやら会話には参加せず、先程から必死に思い出そうとしていたらしい。
「うぉ!ビックリした!何か思い出した?」
「ウキウキドキドキどうしよう!……かな?」
「「はい?」」
「またリリーと遊んでもらうのだーー!」
「あのシェリーと?あら珍しい」
エマとランが顔を見合わせた。
「ん……」
隣の部屋から声が聞こえてきた。
次回は8月中に更新します。




