表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来か過去か⁈ そんなの私には関係な〜い!  作者: 想永猫丸
それぞれの思惑と別離
106/215

第百六話 本能欲望! エリス!

遅くなりました。

やっとの事でエリスの登場です。

ここまで長かった……


☆注意☆

 ()()()使()()している『』ですが、離れた所から電磁波を通じて会話に参加している者の発言に用いています(艦AIは除外)

 今回のように改行直後に「」と『』が入れ替わったり「」「」となっている場合は都度「視野」が入れ替わっているから、と思ってください。

(大規模修正時に順次統一しています)


*2025/2/6 大規模修正を行いました。

 ・・・・・・



 一仕事終えて戻ってきたミアはローナ艦に接触した状態で「炉」を停止させる。

 有線となったのでローナが映った空間モニターが現れる。見れば何かに集中しているように見えたので、声を掛けずに視線を移す。

 球体モニター面には追いかけっこをしている真っ最中のロイズとシェリー(二人)が忙しなく動き回る二本の光の軌跡が映っていた。

 その動きは古代に行われていた「闘牛(コリーダ)」に似ており、暇つぶしにはもってこいの眺め。


 その軌跡を遮るように壁面に穴が開くと一口サイズの和菓子が三つ乗ったお皿がフワフワ〜と現れ、そのままスチール机(定位置)に舞い降りる。

 お菓子を一つ手に取ると追いかけっこを眺めながらお口の中へ。悦に浸りながらもぐもぐと咀嚼しているところにローナの呟き声が。


『サラ……まだなにか隠しているわね……』

「……サラ? アリスのことかい、な?」

『アリスの件も含めて♩』

「?」


 先程から変わらず何かを読みながら話すローナ。

 目の動きやその発言から情報連結で送っているC・Aエリアの情報に目を通していると思われる。

 器用だな、と思いつつ様子を窺う。


『しかし「賢者会」まで出てくるとは……』

「…………」

『まあ(隠し事は)お互い様だし、あっちの成果次第で(アリスの件は)帳消しにしてもいいかもね♪』


 この様子なら「サラ方面の方針」に大きな変更はなさそう。


『それよりお願いした件はどう? 中は覗けそう?』

「……難しい、かも? どうやらセキュリティーレベルが引き上げられたみたい、だぞ。ただ……」

『ただ?』

「……何故だかマリの居場所だけはくっきり見えてるんだ、な~」


『それはそれで腹立つわね♩』


 腹立つ、というより「面倒くさ〜」といった表情。


「……どうする? 押してもいい、かい?」


 いつの間にか空間モニターが1枚追加されており、そこには黄色いドクロのアイコンが描かれたアナログボタンが。空間モニターがをさり気無~くだす。

 そのボタンにプルプルと震えた指が伸びてゆく。


『まだダメ、我慢なさい♩』


 にべもなく断られた。

 最終局面でもなし、新たな不安材料が増えた今、切り札は温存しておきたい。


「……りょうか……い」


 仕方なし、名残惜しそうに項垂れた人差し指を引っ込めた。



「よし」


 凡その流れは掴んだとミアに顔を向ける。


「ミア、マリの位置、こっちでも見れるようにしてくれる?」


 返事の代わりに立体図が投影される。早速マリの現位置を確認する。


 この立体図はノアが離脱寸前まで収集していた内部情報の中にあった最新版を元にしている。当然潜入前とは雲泥の差があるし、マリの逃走ルートも最新版(これ)を元に作成し渡しておいたので今頃は自艦のそばまで来ているだろう。

 と思いきや……


「あれ~ルートから外れてる~♩ 帰る気あるのかね~♩」


 思わず首を傾げてしまった。





「ローーーーイズ! 避けずに原子の粒となれーーーー‼︎」


「ひ、ひぇーー! な、なんで調査艦(あいつら)消えちゃったのよーー⁉︎」


 意気揚揚としたシェリーの雄叫びを聞いたロイズは「とっても嫌な予感」がしたので直感に従い艦の移動を始めた直後、何かが艦を掠めた。



 ──動いていなかったら……直撃?



 データを見なくても何かの正体は分かっている。その何かの破壊力も知っている。

 このままではヤバイと一旦仕切り直しで跳躍の指示を出したが「何故だか」艦がいうことを聞かなかった。

 ならばと第五世代艦を盾と牽制に使うために集合の指令を出したのだが「何故だか」指示に反してシェリーに対し各々勝手に突撃を始めてしまった。


 一方のシェリー。何度かロイズへの突撃をしたのだが寸でのところで交わされストレスが溜まってゆく。そこに40艦による「無秩序で緩慢な体当たり攻撃」が始まると「侮られている」と勘違いしてしまい、ストレスのゲージが理性を保っていられる限界付近まで上昇してしまう。


 ……えーーいウロチョロと!


 そう思った瞬間、先ほど言った「戦いを楽しむ」との発想は霧散。目の前を飛び回る「鬱陶しい奴らを排除したい」とそちらに意識が向いたのをジンが察知。全質量兵器を操作し全ての艦の「推進装置」を破壊してしまう。


 この「離れ業」が成功したのは実のところはミアのお陰。

 気を失ってしまった実戦(クレア)を踏まえ、今のシェリーの能力に沿ったプログラムを「ポチっとな」に紛れて送っておいたのだ。合った。

 艦AIであるジンにも気付かれぬように仕込んだそれは「リミッターを一時的に解除」するプログラム。


 その「結果」を目撃したロイズ。崩れた笑顔で冷や汗を流すと激しい回避運動を取りながらその場から離脱を計る。

 結果、シェリーの攻撃がかすりもしなくなった。



「くそ! ……当たらん!」


 妹の前では絶対に使わない言葉。



「ふっ……こんなもの、当たらなければどうと言うことはない援護しろ……って味方がどこにもいないのねーーーー!」


 こちらはまだ余裕が感じられる言動。



「仕方ない……()るしかありません!」

「シェリー! それではローナとの約束が!」

「しかし!」

「頭を冷やせ!」

「す、すいません!」

「先ずは質量兵器で逃げ場を塞ぐ!」

「了解です! ではイメージを送ります」

「よし……それでいい! いくぞ!」

「はいコーチ‼︎」


 シェリー艦に追走していたジンが操る質量兵器が高速で散開してゆく。

 その様子を逃げながら見ていたロイズは何かを察したらしく……


「あ、なんかヤバそう……ならこっちから」


「なっ」

「不味い!」


 思惑がバレたらしく囲む前に急減速。どうやら速度差を利用しての体当たりをするつもりらしい。

 冷静さを欠いていたシェリーは予想外な行動に反射的に躱すイメージをしてしまい、そのイメージにジンが反応。千載一遇ともいえる好機を逃してしまった。



「ふ……はははは! 良いぞ……最高だ‼︎ これこそ我が求めていた戦いだ‼︎」


 遂にはキレてしまったらしく目つきが変わる。


「し、シェリー、冷静になるんだーー!」


 その変わりようにジンが動揺してしまい? 一瞬艦の制御に乱れが生じたがすぐに持ち直した。



「あ、あれーー()()()()()()、かなーーーー?」


 その妙な動きを見て、本日一番の「身の危険」を感じたので、直感に従い迷わず「光速」で逃げ始めたところ、追う側も速度を合わせてきた。



 二艦はこの時点まで速度を抑えての追いかけっこをしていた。

 そうしていた理由は主に「相手が認識できる点」と「話し合いの余地を残しておく」の二点。


 だが片方が光の速度(ボーダーライン)を超えてしまった。これは「交渉決裂=時間切れ」を意味する。

 時間切れ。つまり話し合いの余地は無くなった。これ以降は真剣(ガチの)バトルとなる。



「ひええええ」


 真剣に逃げるロイズ。

 光の速度を超えている為、シェリーの姿は全く見えていない。なのでセオリー通りに不規則運動にて逃げて一旦距離を開けようとする。

 これは光速を超えた艦を正確に追うのは探索艦の性能を以てしても不可能だと思ってのこと。

 実際に秒速30万kを叩き出す物体に追従するのは予測を以てしても不可能に近い。

 その程度は追う側も知っているのですぐに諦めてくれるだろうと。

 だが現実は違った。逃げても逃げても

 先程からヒシヒシと感じている身の危険を知らせる心のアラームが収まるどころか増大していく。その直感のお陰で間近に迫りくるシェリーの存在を感じ取れた。



「ふふふふ」


 ロイズの「最後の一押し」で新たな能力(スキル)が目覚めたシェリーが不気味な笑みで追い掛ける。

 追う側からはロイズの姿はかろうじて見えるがだが光を超える速度で、しかもランダムに動き回る相手に探索艦の性能を以てしても追走は不可能。

 本来であれば「シェリーが目標を見失い、ロイズが逃げ切る」で決着がつくはずだった。だが実際にはロイズ艦の背後数mの位置に白色ドリル型へと形状変化をさせたシェリー艦がピッタリと張り付き追い回している。

 それを可能にしたのは三度の敗北とロイズの反撃。これらにより知らずの内に抑圧されていた感情が弾けてたことにより新たな能力(スキル)を会得したのだ。



 因みにロイズ艦は研究所からある距離に達すると搭乗者の意志に反して艦が反転、研究所へと舞い戻って来てしまう「仕様」に変えられていた。


「なななな、なんでやねーーーーん」


 訳もわからず逃げるしか手はなかった。




『あれじゃ何時までたってもケリが付かないじゃない♩』


 行ったり来たりを繰り返すシェリー達を眺めていたローナがため息交じりに呟く。


「……一つだけ、ロイズの動きを止める方法がある、ぞ?」

『ハッキングしないで?」

「……そう。シェリーのご機嫌を損ねずに済む、かも」

『へーー』

「……ただ、そん時はこの艦の姿を奴に晒す事になるんで、な。ここからちーとばかし移動しとかんと、な」

『ミアの姿を?』

「……いや僕ではない、ね」

『よし、その案採用♪ シェリーには派手な役回りをお願いしたけど、目立ちすぎるのも余り良くないし、早めに撤収させたいからサッサとやって頂戴な♪』


「……んじゃちょっくら行って来まーす、かな?」


 ミア艦が隠蔽迷彩状態のまま研究所からホワホワ〜と離れて行く。

 ある程度離れた区域に到着すると全ての隠蔽を一瞬だけ「解除」した。


 何も無い空間に突然、そして一瞬だけ現れる白色卵型の探索艦。

 その瞬間ロイズ艦が、いやロイズ自身が「フリーズ」してしまう。


「う、うぇぇぇぇ? あ、あれはアルテ……うがっ!」


「本能」と「欲望」が素直に「反応」して艦の操作が疎かに。そこをシェリーの会心の一撃が直撃、安全機能が作動してしまった為、機能停止させられてしまった。


「な……なんで……ここに……エマの姉さんが……(ガク)」


 さらに気を失ったため搭乗者保護プログラムが起動。艦AIの判断にて治療用カプセルに押し込まれ、簡易的な治療と並行して強制冬眠状態にされてしまう。

 この状態に陥ると搭乗者の意思は働かず所属エリア又は探索部の指示待ちとなってしまう。以後は各基地か探索部本部の設備で艦の修復、搭乗者の治療をしないと艦共々復帰は難しい。


「……はい、お終い〜〜、だぜ」


 再び隠蔽迷彩モードになりノンビリと戻る。


『なるほど……ロイズの習性を利用したのね♫』


「……菜緒ラーの悪だくみを利用させて貰った、のだ、もぐもぐ」


 一仕事終えた後には餡子たっぷり丸々と肥えた「ヤツハシ」と、冷えた「抹茶」が良く合う、なっと。


『それじゃシェリーには全て回収して撤収してもらいましょうかね〜♪』





「あらら、あんな単純な手に引っ掛かって」

「どうなさいます?」

「うーーん。彼は今まで頑張ってくれてたし役目もここまで。そろそろ開放してあげないと」

「この後の計画は伝えてあるので?」

「ううん」


 首を横に振る椿。


「良いのですね?」

「うん。どう転ぶかは……お楽しみ!」

「はぁ……。でもここまでくると、椿様の願いが叶う時が近付いてきたと実感しますね」


「そうだと……いいな……」


「願い」と言う言葉を聞いて、俯き加減で戸惑った笑顔をする椿。

 その様子を見ていた中年女性は向き直ると椿の両肩に手を置いて話しを続けた。


「ここまで何年も、何十年も頑張って来たのです。諦めなければ必ず願いは叶います。それは椿様と桜様お二人が身をもって証明されてきたではないですか」


 和やかな笑顔で語りかける女性。


「ありがと大丈夫。私は最後まで諦めないから。うん!」

「それでこそ椿様です! 職員一同皆椿様を応援しております!」

「うん、頑張る! では後は予定通りに」

「はい、了解しました」


 ここで一呼吸、間を開けてから「さて、そろそろ彼女の出番ね」と椿がニヤケながら言う。


「彼女? エリス……様ですか?」

「そう。ここからは彼女に頑張って貰わないと、ね!」


「……それはそれで一抹の不安が……」


 と顔を背けながら不安そうに呟いた。




 ・・・・・・




「師匠! これ何やと思う?」


 直径50cm程の黒色で凹んだ金属製の板? を手に取りマジマジと見つめるマリ。

 試作台の上にはそれこそ「何に使うの?」と思える物が所狭しと並べてあった。


「これか? 料理に使う鍋とちゃうん?」

「ホンマか? 何でこんなところで鍋の研究しとるん?」

「そりゃ……ほれあれや、究極の料理(カレー)(こしら)えるんには素材にボーキサイト使わんと、大火力の火炎放射器(バーナー)の威力に耐えられんやろ?」

「ボーキサイト! なるほど……因みに師匠は辛口派か?」


 板を元にあった場所へとそーと戻す。


「カレーけ? 年寄りに辛いモン食わせたら血圧上がってまうやろ? そやからワシは甘・口・派!」

「甘口派か……師匠ならカレーのトッピングに「タコヤーキ」まで入れてそうで考えるの怖いわ……」

「……何で知っとるん?」

「げ! マジ?」


 眉間にシワを寄せるマリ。


「あれ美味いんよ? 知らんのけ?」

「いやウチは別々の方が……」

「酒飲んだ後のシメの一品! 最高やろ?」

「シメならうどんやろ……」

「マリは古臭いの~。しゃーない、食欲を唆るウマイ食い方教えたる! まずはカレーの上に出来立てホヤホヤのタコヤーキをのっけたらオイスターソースをな、ドバドバとな」

「師匠の話し聞いてたら腹減ってきよった」

「早速ノッてきたな? よし、ここも面白くない(おもんない)し食いもん探しに行こか?」

「そやね早う行こ!」


 食い物を探しで横道に逸れた。




 ・・・・・・




 ここはとある客室の寝室。


「ふぁぁぁぁ! よう寝た!」


 ベットの上で目を覚ますとアクビをしながら大きく背伸びを一つ。


「おはようございますね。マキ様、朝食にしますかね? それともご入浴にしますかね?」


 声がした方に顔を向けると猫耳メイドがすまし顔で立っていた。


「朝食……ってステラ、ここどこ? いつの間に部屋移動したん?」


 BともAとも違う部屋。見慣れぬ部屋に辺りを見回す。


「ここは……」


 と口を開きかけたところに足元の方から会話に割り込む者が。


「おはようデスネ! マキ!」


 元気の良い声に頭を起こすと、黄色というよりは黄金色に近い髪と同じ色の宇宙服を着たエリスが椅子に腰かけながらにこやかスマイルでこちらを見ていた。


「うぉ! エリスやんけ!」

「ハーイ、エリスちゃんネ!」


 普段と同じく元気に返事をする。


「マキは元気だったカナ?」

「おう! エリスもいつもと変わらず爽やか笑顔で元気そうや!」

「お褒め下さり光栄デース!」


「なんやいつにもまして言葉が可笑しくないか? 嬉しい事でもあったん?」


 普段よりもテンションが高い気がする。


「それはマキに会えたからカラ?」

「お? 嬉しい事、言ってくれるの〜。そんでエリスはいつAエリア(ここ)に来たん?」


WHAT(ファット)?」

「?」


 傾げるエリス。そのエリスの反応に首をかしげるマキ。そこにステラが割り込む。


「マキ様」

「?」

「ここはAエリア基地ではありませんね」

「……はぁ?」

「何寝ぼけてンノ? ここは椿のお城だヨネ!」

「椿? 城?」


「マキ様だけご就寝中に椿様にここに連れて来られましたね」


「連れて来られた? 誰に?」

「椿様ね」


「いつ?」

「寝てる間にね」


「どこに?」

「マキは相変わらず人の話し聞かないノネ」


「他の奴らは?」

「Aエリア基地で留守番中ね。ここにいるのはマキ様だけね」


 考え込むマキ。


「よう分からんが……ここが椿の城っちゅうのは分かった。でウチだけ何でか知らんけど連れて来られたっちゅうのも分かった。で?」


 エリスをマジマジと眺める。


「デ~?」


 目をパチクリさせ首を傾げながらマキの真似をするエリス。


「何でエリスが椿の城におるん?」


 マキが言いたい事がやっと分かったと手をパンと叩く。


「……アノね、実はネ」


 恥ずかしそうにモジモジと。


「実は?」

「トイレを借りニ!」

「……艦のトイレ、壊れ(めげた)んか?」

「そうなのデース!」

「なあエリスや」

「ハ-イ?」


「何でアリスを軟禁しとったん?」


 普段は見せない真面目顔でマキが問う。


「……実は」


 その問いに一度右上に目線を向けてから答えた。


「実は?」

「喧嘩したノネ」

「喧嘩? アリス(姉ちゃん)とか?」

「イエース」

「理由は?」

「恥ずかしくて言えナイな」

「……まあ姉妹つっても色々あるし意見が食い違うのはしゃーない。でもな、大の大人なんやから喧嘩したらあかんやろ」

「でもデモ!」

「デモもストもなし! お前ら姉妹が周りがどんだけ迷惑かけとるか分かっとるん?」

「ヴヴヴ、ゴメンなさい」


 珍しくお怒りモードになったマキの説教に、こちらも珍しくシュンとなる。


「会って仲直り出来るか?」

「一人じゃ……ムリ」

「そやな〜あいつ頭固そで頑固そで屁理屈こねくりまわしそやし。しゃーない、ウチが一緒に行って謝ったる」

「ホントー?」


 椅子から立ち上がりマキに駆け寄る。


「おう、思い立ったら吉日ってな! 早速頭下げに行こか!」

「マキ様、食事はいかがしますね?」

「勿論食べてから! エリスも一緒にどや?」

「オウ、早食い勝負? 受けてタツネ!」


「その前にマキ様」


 二人とは対照的に冷静なステラ。


「なんや?」

「残念ながらマキ艦(ハナちゃん)はここにはいませんね」

「……へ? おらへんの?」

「はい。おらへんのね」

「そりゃ困ったわ!」


 ここではタクシーは呼べないだろう。なので移動手段がない。


「こほん」


「どないしたエリス? 風邪か?」

「なら私の艦に乗ればいいノデース!」

「お? そうか、ええのか?」

「オー遠慮するマキ、初めてみたカモ! まるでマリみたいダネ」

「そうやエリス! マリ知らんか?」

「知りませんネ〜と言うか~アリス以外の仲間と会うのは久しぶりナノネ」


「そうか、久しぶりで知らんのか」


 声・表情共に残念さがにじみ出ている。


「それではレストランに向かいますね」

「ワーイ! 久しぶりの仲間との食事ネー!」

「よっしゃー! 行くどーー!」


 こちらは食い倒れツアーに出発だ。





 マリと甲はお腹を満たすため、香ばしい香りが漂う区域に「一回の転送」でやってきた。その奇跡? に気付かないマリ一行。


「はへ〜ごっつええ匂いしとるやん〜」

「ここなら選り取り見取り! 好きなモン食えそう!」

「けどどの店も閉まっとる」

「バブルでも弾けて景気悪いんかの~。人っ子一人歩いとらんわ、ってここから見えるあの店は営業中(ウエルカム)!」

「ホンマか? 行ってみよ!」


 店に駆けていくマキと甲。





「イヤ〜食った食った!」

「マキってバ、食べ過ぎダヨネー!」

「マキ様の食いっぷりに感動した店主さんからお土産まで貰いましたね」

「それ言うならステラやろ。結構食べとったやん」

「私は人よりも燃費が悪いんですね」

「ってことは出す方も?」

「オー、マキは相変わらずでりかしーが無い女の子ダナヤ」


 マキは知らないが人間と同じ性能のバイオロイドの「食事量」はほぼ同じ。なので「ただの大食い」と思った突っ込みをしている。

 と長閑にクチャべりながら店から出てくる三人娘。と店を出たところで目を先に向けると店正面にいた二人と目が合う。


「「「「「!」」」」」


 お互いを見て固まってしまった。


*首をかしげるローナ・・この時点ではまだマリの特殊能力(迷惑なほう)はまだ知らない



 次話で場面が変わる予定です。

 次回は投稿開始1周年の8/22(土)迄には投稿します。


 ただその後の8月下旬は多忙な為、(8月中の)投稿は1回程度になるかもしれません。(修正は続けます)


 予めご承知下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ