第百二話 完成! 放置!
・・・・・・
球体モニターにポップアップ画面が突如現れる。
見ると真っ黒な壁面の一部から煌々と光が漏れだした。さらに光を反射させた輝く丸い何かが外へと躍り出てきた。
「はあ?」
ロイズの知る限り、宇宙空間を移動する大型で球状に近い物体は一つだけ。それは探索艦。
その探索艦だが現在研究所内にいるのはエリー艦のみ。つまりあれはエリー艦ということになる。
ここに戻ってきてからはエリーとは接触していない。そのような立場なので、エリーに関しては何の話も聞かされてはいなかった。
「……ん?」
突然の出現にどう対処したらよいのか、迷いが生じていたところに研究所から暗号文が届いた。
「はは、マリのヤツ……見事成し遂げたか!」
ローナから暗号通信にて詳細を聞いたシェリーの口から笑みが溢れた。
本人だけでなく周りの者にも周知の事実。初めて会った時から変わらない、いや変えられなかった「難題」を見守り続けてきた「親友」からの祝福。
今回の作戦の説明を受けた時、反対しようと口を開きかけた。こんな状態で行かせたら、いくら護衛を付けても良い結果にはならないと。
<マリの性格では……>
プライドが絡むデリケートな問題。なので過度な干渉はせずに見守っていた。
だが今回だけは見過ごせない。マキやシャーリーがいない今は自分が止めないと。
だが言えなかった。
ローナの隣で説明を聞くマリの顔。あのオドオドとした自信なさげな雰囲気はどこへやら。
あの表情を見たらマキでも止めるのを躊躇っていただろう。
その後のマキは真剣だった。性格上の難点は克服できたと思えるほどに。
「……喜んでばかりもいられないぞ」
ジンの言葉で現実に引き戻される。
「……何か起きたのですか?」
「マリが研究所内に取り残されているらしい」
「え? 何故、です?」
別行動をしていた? どうして? そういえばマリの艦が見当たらない……
「逃走中に警邏アンドロイドに妨害されたようだ。現在は自艦に向け孤軍奮闘中とのこと」
「救出に向かわなくて?」
「(ローナから)命令変更の指示は届いていない」
「……了解」
渋々、ざわつく心を静め自らを納得させる。
囮は継続。今は自分の役割を全うしなければと自分に言い聞かせる。
「それと追加の指令として、三艦の位置は特定されてはいないが、存在自体はバレているのでマリが出てくるまでロイズを研究所には近付けさせるな、とのことだ」
「……それも了解です」
心の中で復唱する。
「さてどう戦う?」
「少々お聞きしても?」
「どうした?」
「調査艦全艦の常時個別識別は可能ですか?」
「数は問題ない。条件にもよるが」
「条件とは?」
「見通せる範囲内ならば」
探知用の電磁波の問題。使用する電磁波を変えても相手の「硬い部分」に邪魔をされ、その先は見通せない。分かりやすい例として、こちらに対し敵艦全てが縦列に並び替えた場合、レーダーには最前にいる1艦しか映らない。いろんな意味で硬い箇所は厄介な存在なのだ。
「それで構いません。では今すぐコタロウ君を使いましょう」
「……そう言う事か! なら護衛が必要だな」
借り物を壊すわけにはいかない。
「いえ、それでは目立ち過ぎますしこちらの意図がバレる恐れが。もし鹵獲でもされたら開発者であるノアが悲しみます。なのでカモフラージュの為、質量兵器に先行させコタロウ君と同じ動きをさせて下さいませ」
「分かった。では早速調査に行って貰うぞ?」
「よろしくお願いします」
──次はこちらが暴れる番です。
ジンは自艦の側で待機していた質量兵器とコタロウ君を再び敵群へと突進させる。
対する敵はシェリーへの心理作戦が成功はしたが念の為、さらにその効果を高めるために出来るだけ艦同士の距離を詰め、シェリーが突撃出来ないよう密集隊形をとっていた。
一方迫りくる探索艦の外装と同じ物質を用いる質量兵器に有効な対抗手段を持たない調査艦は、唯一の盾であり武器でもある艦前面を向けようとするが、接近しすぎていたため(艦同士の接触を防ぐための)セーフティーが働き動けずじまい。
調査艦からしてみれば僅かな隙間、だが質量兵器にとっては自由に動ける隙間を敵に触れずに済む限界速度で縫う様に移動するコタロウ君達。妨害もされず、悠々自適に擦り抜けてゆく。
コックピットには程なく敵全体の配置図が3D表示され徐々に範囲が広がってゆく。そこには目まぐるしく動き回るコタロウ君達の位置も光点も表示されている。
眺めていると立体図の中に数カ所、他とは違う色合いの光点が現れる。
「こ、これは……」
「ああ」
敵が集まっていたお陰で調査自体はすぐに終わり無事引き上げてきた。そのままシェリー艦を中心に広範囲に広がり待機する。
「奴も含め全部で四十一」
「ロイズの言っていたことは本当でしたか」
「だが何故探索艦なのだ? しかも第五世代の旧式を使っている?」
「確か第五世代型は第七世代型の雛型として開発された物ですよね?」
「そうだ。探索部が創設されゼロエリア基地の訓練所で試験的に使われた探索艦が第五世代型だ。そのデータを元に開発されたのが今の第七世代型となる」
「性能の差は?」
「全てにおいて天と地程の開きがあるな。ただ外装に関しては第七と同じだし、隠蔽迷彩モードも我々よりは劣るがなかなかのモノを備えている」
「そんなもの、何処から引っ張り出してきたのでしょう?」
「……今でもそこら中にあるぞ?」
「……はい?」
「お前も乗っていた筈だ。探索者育成施設で」
「……なるほど。という事はあの中にいるかも知れない者は探索者では無い可能性もある」
自分は探索者となる前に訓練施設で動かした。
「搭乗者に関しては探索者かそれに準ずる者と思っていた方が良い。第五世代とは言え仮にも探索艦。動かす為には搭乗者となる探索者が必要」
探索者でなくても艦は動かせる。ただしコックピットに入るにはエリアマスターの許可がいる。逆に許可さえあれば「班長」でも動かせられる。動かすだけなら。
「いずれにせよ、奴のペースになっているのは気に入りません。ここは先手必勝、一気に畳み掛けます」
「分かった……お? 奴に動きが……」
調査艦群が移動を開始。一部が密集しだすと巨大な円面を形成し、面をこちらに向けた。
動きが止まったタイミングで再度通信が入る。
『シェリーの姉さん……やってくれたっすね』
先程までとは違い明らかにトーンダウンした声。
「……何の事だ?」
『まあおいらはエリー姉さんの件はノータッチなんで……でもどうなんだろ? うん? いいのかな? でも今更どうしようもないし~』
「何をごちゃごちゃと」
『まあいっか。こっちはもう少し遊んでいたかったけど、姉さんを生きたまま捕まえろって指令が来たんで』
「何を言っているのか全く分からんがちょうど良い。我のついでの任務は貴様の捕獲。これが最後の警告だ、大人しく投降しろ。今なら命だけは保証してやろう」
『ついでって……シェリーの姉さんのお尻は小ぶりで引き締まってカッコいいとは思うけど、オイラの趣味ではないんだな。でもどうしても投降しろって言うならエマのお姉様を連れて来てちょ♪』
「エマ殿は貴様には勿体ない……グァァ‼︎」
何かがシェリー艦にぶつかり体が前後に揺さぶられる。そのせいで怪我をしている肋骨に痛みが走った。
「シェリー! 大丈夫か⁈」
「痛っーーだ、大丈夫です! それより今のは⁈」
「調査艦か⁉︎ 体当たりをされた‼︎」
「そ、そんな⁈ あの距離からコーチに気付かれずに近寄る事など……」
『ほい、次〜』
そこにロイズの軽い掛け声。
「不味い‼︎」
ジンが咄嗟に艦を動かす。その途端、ジンにも観測出来ない「何か」が艦を掠めた。
その何かが光の帯びを引いて光速で遠退いて行く。
「分かった跳躍だ‼︎」
「ち、跳躍⁉︎」
「調査艦が我々に向け跳躍しているんだ‼︎」
「なら常に動き回れば……キャーー」
今度は直撃。体が前後に揺さぶられる。
『キャーーって、姉さんも可愛らしい叫び声、出せるんっすね~』
「ハアハア、き、貴様ーー‼︎」
乱れる金髪の隙間から垣間見る鋭い瞳。グリップを握る両手が怒りで小刻みに震えている。
『オイラとしてはこれ以上女の人が傷つくとこ見たくないんだな。だから素直に捕まって欲しいのね』
ここで敵の動きが一旦止まる。それに合わせてこちらも停止する。
「フ……ハハハハ、笑わせるわ! この程度の攻撃、痛くも痒くも」
『そうだよね~調査艦では傷一つ付けられないよね~。でも~同じ探索艦なら~どうでしょう~?』
「き、貴様! その艦に人は乗っているのか⁈」
『当然!』
「無事では済まないぞ!」
『かもね~』
「く……」
『同僚の誼みでもう一回だけ。お願いします、抵抗せず素直に捕まって下さい』
「……」
『全く頑固なんだから。もう少し冷静に周りの状況を確かめた方が…………良いんじゃない!』
「何だと? ……あっ‼︎」
最後の生き生きとしたロイズの言葉に違和感を覚え、本能的に視線を動かす。すると調査艦群を映していたモニターで視線が止まる。見れば円の直径が二割近くまで減っていた。
「フ、わざわざ数を減らして狩り易くするとは……礼を言おう」
変則的に動き回る的に当てるにはどうしても弾数がいる。所謂【下手な鉄砲も数打ちゃ当たる】理論だ。
『あらら……ちょっと違うんだな~』
「何がだ?」
何だこの余裕は?
『……3、2、1、ほい完成~』
「完成」の掛け声を最後に星々の明かりが消えうせ漆黒の暗闇に覆われてしまう。
「な、何ですの⁇」
「チッ、やられた……」
「…………」
そこにロイズの声が。
『はいお終い~』
シェリーはロイズの策略により身動きが取れなくなった……
・・・・・・
「あれを……自力で抜け出すのは至難の業ね……♩」
動かずに戦況を観察していたローナが呟く。
「シェリーも人質程度で後れを取るなんてまだまだ甘いわね~♩」
うーーんといった表情。
「だいたい人質取るのは追い詰められてる証でしょうに、それに気付けば対処の仕方も思いつくでしょうに♩ まあマリの件が片付くまで、反省も兼ねて放置しとくかね♩」
シェリーには言っていないが、シェリーは今後のストーリーには欠かせない存在。なのでいざとなったら実力行使に打ってでも助ける。
「しかし……人質……誰かしら? マリが感じた嫌な予感……当たりかも♩ ノア?」
『……ほい? 今、最後の一人飲み込んだ、ぞ?』
sound only。
「そう。シェリーが捕まった♩」
『……なんと、な!』
「情報の吸い出しは?」
『……そっちはまだ継続、中~』
「状況次第では中断、シェリー救出に行くかも♩」
『……了解。あ、忘れてた、ぞ。ミアがこっちに向かってる、って』
「……なんで?」
『……Aエリアの方々が総出でこっちにいらしてる、って。しかも頭のチップか艦AIがハッキングされてるかも、って』
「チップ……成程エリスか……あのクソおやじめ……コロッと騙されたな……」
ボソリと呟く。
『……は、はい?』
「何でもない♩ でミアは向こうを離れても大丈夫なの?」
『……それが逃げられた、って』
「なんで?」
「……すんません。それ以上は分かりません、です」
何もせずに逃がした? ミアらしくもない。いやそれより……
「それはチョット不味いわね♩」
「……どんな風、に」
「マリがね「嫌な予感がする」って師匠と話してたのよ♩」
「……それってフラグ、じゃないの?」
「ええ、トビっきり強大なヤツね♩」
これもマリの特技の一つ。ある意味予言に近く、彼女の言葉をどう判断するかによってこちらの運命が決まる。
今回は「逃げた」のではなく「帰った」としたら……
『……どうする、の?』
「ミアがこちらに向かってるのよね? 間違いない?」
『……うい』
「ノア、予定変更、情報抜き取り中止。貴方は今すぐ撤収、部員を情報部に引き渡したらそのままAエリアに向かって菜緒達と合流なさい。途中でミアに現状報告しておいて」
『……はい、よ』
「まだミアの姿を晒すわけにはいかない、急いで!」
『……ではではこのまま行く、ね。二人をよろしく~、な~』
速攻離脱していった。
「マリ、ちょっといい?」
『姉さんか? どないした?』
「これから通信封鎖を再開、麓で待ってるから自力で下山せよ♩」
『何かあったんか?』
「師匠、丙にデータをダウンロードしてナビさせて♩ その後は貴方も自閉モード♪」
『へへへへ、さっそく引き籠らせてもらいまっせ~!』
「以上、幸運を♩」
と通信を終えた数秒後、何者かが基地の直ぐ脇、ローナ艦からでも見える位置に跳躍して来た。
その探索艦は白色卵型で極々自然にゆっくりと研究所の宇宙港へと入って行く。
その光景を終始、息を殺して見守る。
宇宙港のハッチが閉じ、姿が見えなくなったところで目を閉じ小さく息を吐く。すると掌が汗を掻いているのに気付いた。
「ウソ……この私が……緊張してる?」
僅かな間、手を眺めていた。
・・・・・
白色球体の艦から出てくる二人。
空色の宇宙服を着て気持ち良さそうに寝ている女性をお姫様抱っこにて運んでいる猫耳メイドと小柄な黒髪の女の子。
二人は艦から出ると、研究所の上級職員が待ち構えているタラップまで、人が歩く速度で飛んで行く。
「椿様、お帰りなさいませ。お久しぶりで御座います」
向かう先には三名の黒服の女性が横並びで待ち構えている。その中央にいた中年の小柄な女性が椿に向け言葉を発すると、脇の二人は深々と頭を下げた。
「はい、ただいま。何か変わったことは?」
和か笑顔で答える椿。二人は三人の正面に降り立つ。
「いえ、特に……全て順調です」
「外は?」
「そろそろ方が付くころかと」
「で、何でスミス達が汚染されてるの?」
「そちらは予測範囲内です」
「そう、それならいいか。あ、それとこの子は私のお客さんだから丁重なおもてなしをして」
口を開け寝ている女性を横目で見ながら説明をする。
「かしこまりました。こちらのアンドロイドは?」
猫耳メイドを見ながら聞く。
「この子の専属メイドさんだから側にいさせてあげて」
「承知しました。貴方、お名前は?」
「アリス様のメイドでステラと言いますね。アリス様のご指示で今はマキ様付きのメイドをしていますね。以後お見知りおき下さいね。因みに私はアンドロイドじゃなくてバイオロイドなのね」
頭だけをペコリと下げるステラ。
「アリス様の? これは失礼致しました」
「あ、くれぐれも粗相の無い様にね!」
椿の再度の警告。
「かしこまりました」
「いい? 最上級のおもてなしだからね!」
「椿様?」
椿に向き直る中年女性。
「?」
「しつこいです。一度仰れば分かります」
「は、はい……ごめんなさい」
シュンとなる椿。
「とは言え、これほど嬉しそうな椿様をお見掛けするのは私の代になってから初めてですね」
「べ、別に嬉しくなんかないもん!」
「何も恥ずかしがることはありません。お友達が家に遊びに来てくれたら誰でも嬉しいものですよ」
「そ、そうよね! ヤッパリそうよね⁉︎ 私間違ってないよね⁈」
「はい」
笑顔で同意する。
「それじゃよろしくね!」
「その前に、えーそちらの方は……マキ様と仰るのですね、何故寝ておられるのでしょうか? どこかお身体の調子が?」
「えーと、ただ酔っ払って寝てるだけ」
「はぁ……それでお酒臭いのですね。……椿様、まさか貴方は飲んではおりませんよね?」
椿よりは背が高いので見下ろす形でジロリと睨む。
「の、飲んでなんかないわよ!」
「それならばよろしい。貴方はまだ13歳。未成年の飲酒は法律で禁止されております」
「わ、分かってるって!」
「フフ、取り敢えずマキ様にはベッドでお休み頂きましょう」
「うん、任せた! 私は自分の部屋に戻ってシャワーでも浴びてくる」
「そうですか。では手配しておきます。お食事はいかがなさいます?」
「今はいらない。マキが起きたら一緒に食べる」
「承知しました。それでは参りましょう。貴方達はマキ様を客室へとご案内して」
軽く横を向きながら左右にいた女性達に指示を出す。
「「承知しました」」
返事をするとステラに詰め寄る。
「ステラさん。マキさんはこちらでお運びしましょうか?」
「大丈夫ですね。このまま抱えて行きますね」
「分かりました。マキ様が横になられたら、貴方も休憩なさって下さい」
「これはご親切にありがとうございますね」
「それではご案内致します」
マリ達が移動。椿と年配の女性だけになったところで二人は横並びで歩いて移動を始めた。
「それでは真面目なお話を。いくつか報告がございます」
「歩きながら教えて〜♪」
「はい、まず1件目は……」
静かな廊下に二人の足音がコツコツを響く。
「一つ目の捕らえた探索者は出来るだけ早くドックに収容、その後は暫くここにいてもらうかね。退艦させるのは私がやるからドックに入ったら教えて」
「了解です」
「全く……人質なんて卑怯なやり方、私は嫌い」
口をへの字にする。
「許可を与えたのは椿様ではないですか」
「ぶーー」
「エリー様の件は?」
「ぶーーーー」
「ブーたれてもダメです」
「はいはい。次はえーと現在進行中の侵入者の件……。ハッキリいって邪魔ね。この人、何で真っ直ぐ帰らないのかな」
視線の先の空間モニターには長閑に歩くマリ一行の姿が。
「理由は分かりません。わざわざ最短ルートを用意しているのに何故か違うルートに迷い込むんです」
「なんじゃそりゃ? なんかのスキル?」
「さあ……わざと、とは思えませんが」
ハッキングではない。マリの特殊なスキルのせい。
「乗って来た艦が移動してるとか?」
「にしては移動に一貫性がありません。仮に移動しまくっているのであればセンサーに引っ掛かります。それよりこの者の護衛に付いているアンドロイドが正直我々では対処致しかねるレベルでして。無理に手を出してここを破壊されても困るので」
「……あいつの仕業か。でもこの容姿……マリ?」
「…………」
無言でモニターを見つめる年配女性。
「なら無害か。このまま放置でいい。監視は継続、手出しは禁止」
「了解しました」
「マリは一人でここに?」
「先程立ち去った者がいたようですが、他にも宇宙にいそうです。ただどうしても姿を捉えるられません」
「実害は?」
「今のところはハッチが破壊されたくらいで……」
「なら目的はエリー? それならもう直ぐ引き上げるでしょ。うん、これも放置。でも積極的な手引きはしてあげて。あ、それと少しの間、全員自宅待機を勧告」
「理由をお聞きしても?」
「多分天敵? がここに向かってる」
「天敵……ですか?」
年配女性の片眉がピクリと反応。
「うん、どっちかは分からないけど。レベッカが「用心しなさい」って」
「レベッカ様が? と言うことは例の姉妹……」
「相手次第。その時にならないと何とも言えないけど、みんなに被害が及ぶのだけは防がないとね」
「了解。直ぐに手配します」
「よろしく。なるだけ穏便に済ませるつもりだから」
「無茶はなさらないで下さいね」
「何かあったら連絡する」
と言いながら二人は椿の自室へと入って行った。
*突撃出来ないよう密集隊形・・とはいえ隣との間は百mは空いています
*見通せない・・推進装置が発する重力波も同様(阻害・減退・湾曲なども)
*ミアの姿・・視覚的なモノではなく
質量兵器達は初撃以降、シェリー艦の「影」に隠れています。
*2024/12/2 大規模修正を行いました




