第86話 なんか移動時間って飽きるよな
夏休み始まって一週間。
「ハギー準備はいいか?」
「うん。いつでも行けるよ」
そして俺は、ライアを見る。
「行ってらっしゃいませ。お帰りをお待ちしております」
「よし。じゃあ………行こうか」
俺は転移魔方陣を起動させる。
ああ、久しぶりだ。
「………本当だったんだね」
「ああ」
俺は衝撃に備える。
備えながら、魔方陣に乗る。
ハギも乗った。
さあ、一週間ぶりに外へ行こうではないか……………!
まあ実際はメインは旅行だけどな。
■■■■
「あ~、眩しー。死ぬー…………そういやハギって日光大丈夫?」
所有物である馬車を信頼できる御者に任せ、俺とハギは荷台で雑談する。
現在外出して30分経過しましたー。
「うん。日焼けはしやすいけど、特に駄目ってことはないかな」
なるほど。吸血鬼は昼夜問わずに活動出来ると。
「それで? どうしてそんな事を?」
荷台に付いている座席に座っているハギがこてんと首を傾げる。
いや…………まぁ………。
「伝承とかでほら………夜に行動すること多いだろ? 日光苦手なのかなーって」
まあ俺は日光苦手だけどな。
「まぁ………そうだよねー」
実際は吸血鬼の乱獲とかあったから、そういう間違った伝承が伝わっただけなんだよな。
まあすぐ日焼けする事は知らんかった。
その後も俺とハギは、馬車に揺られながら雑談を交わす。
「――そう言えば。今は何処に向かってるの?」
ハギの唐突な質問に、俺は首を傾げる。
何故知らんのだ。
「………前言ったよな? 魔国だよ」
「あ、あはは………冗談かと思ってた」
ハギは苦笑しながら言う。
冗談? おいおいハギよ。俺はそこまで分かりにくい冗談は言わないぜ? まあ言えるけどさ。
スキルって本当万能だよな。
「まあ出来る出来ない関係ない。そんな冗談は俺は好きじゃないよ」
「へぇ…………」
おい、意外そうな顔するな。
それで会話は終わり、ハギはキョロキョロと周りを見たり、俺は景色をぼーっと眺めていた。
「………暇」
「そうか? 結構………まあ暇かもな」
今回休暇なので、魔法のことも何も考えていない。
勉強? まあ一日一時間以上やろうか。
ってか、ハギのお陰で本当に暇になってきた。
「ケイ、なんか話してよ」
「無理。話題が無い」
ちなみに俺達結構話の話題とか少なくて、すぐに会話についていけなくなるタイプです。
あー、早く着かねぇかなぁ………。
馬車に揺られながら、ぼんやりとそう思った。
急に三章がはじまる。
まあ当初は学園生活全部で『学園編』だったわけですが、なんか途中で「あ、これ書きてぇ」となり、急に三章が始まったのです。
ちなみに第二章の章タイトルは変わっているはずです。
そんな感じで三章開始です。…………これの前に一話ありますけどね。
短い予定ですが、よろしくおねがいします。