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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第二章 学園1年 春~
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第80話 取り引き

あの人の復活

「あら? ごきげんよう………え~と………」


 俺とハギが家に着くと、そこには一度。いや二回は呪った王女様がいた。

 そして俺達の名前を覚えていなかったのね。いやいいけどさ………。


「あ、私はハギ・スカビオサです。横のはケイです」

「ああ…ごきげんようハギさんケイさん」


 ………うん。まあいっか。

 俺はハギにとって一番最悪な修行を課してやろうと心に誓う。


 さて、現在のライアvs拓哉なんだけど。

 拓哉が防戦一方。

 ライアは空間なんぞ破壊しろという命令を忠実に実行した。

 どうせ俺の手間と魔力を消費するだけだしいいんだよ。


 そんなこんなで拓哉が逃げ回る。

 現在廊下を全力疾走中。


 俺はその間に空間を直す。

 ライアは麻酔針を精密に投げながら走って拓哉を追い込んでいく。


 ってかなんで拓哉は『立ち入り禁止区域』入ったの? お前は入れねぇよ? そこら辺の部屋。


 それを実証するかのように、拓哉がドアを開けられずに逃げ回る姿が見える。


「………あの、少しいいです?」

「あ、何だ?」


 俺は意識の半分を王女に向ける。

 ………この人の名前なんだっけ? まあいっか。


「あなたはもの凄く優秀とお聞き致しました。タクヤもその恩恵を受けていると」

「あー……うん。まあそうだね」

「そして貴方の家計が研究者一家である事を小耳に挟んだのですけど」


 あら? もしかしてまだ『魔術論文』とか出回ってるの? あんな骨董品。


 ハギが、何それ? と言った感じでこちらを見つめる。


「多分『魔術論文』とか陛下の家にはあるんだろう?」

「ええ………私も最近久しぶりに読んだので覚えていただけですけど」

「……ハギ、一応言っておくが『魔術論文』は『応用が利く魔法またはその理論』を集めてまとめられた古い本でな。

 そこには『黒谷』の人間の名前の論文が数枚あるんだよ」


 ちなみにその『黒谷』は全員俺だけどね。

 なんかもう適当に書いた論文がどっさりとあったからそれを提出したらこれだ………あの時は逃げるのが大変だった。


 そんな説明を聞かせ、俺は王女に向き直る。


「そんで? 俺に何か用?」

「ええ、早くタクヤに合いたいから『取り引き』しません?」

「ほう………」


 俺は『収納』からテーブルと椅子を三人分取り出す。

 王女を俺の前、ハギは俺の横に座る。


「まあ『取り引き』と言っても、貴方の欲しい物とタクヤの交換なんですけども」

「ああ…………………………………いいぜ。んじゃあ報酬は『禁書』な」


 俺は少し考えてから、欲しい物を伝える。

 交渉はきちんとしなきゃね。

 俺は紙を一枚取り出す。


「……本当にそんなのでいいんですの?」

「ああ、俺も『研究者』なんでね。ああ、その紙に自分の魔力を流してくれ。それで取り引きの成立としようじゃないか」


 この紙には俺が『契約魔法』の一つである『指切りの契約』という魔法が掛けられている。

 通常の『指切りの契約』は『私の○○を貴方の○○と交換する』という事を宣言し、確実に約束を守らせるための魔法。

 今回は通常の使い方で『拓哉を渡すから禁書くれ』って感じになった。

 ちなみにこの魔法には『制限時間』というものがある。

 その制限時間を守れなければ、約束を守れななかった人物は死ぬ。

 なんともリスクの高い魔法だ。


「………魔力を流しましたわ」

「わかった。それじゃあ、そのまま紙を握っていろ」


 俺は魔法を紡ぐ。


「――契りは成された。これから一週間以内に俺の元に禁書を。俺は拓哉を今渡そう」


 俺は未だに逃げている拓哉を『転移』させる。

 俺の目の前に魔方陣が現れる。


「――はっ! 俺は一体………」


 魔方陣から出てきた拓哉は困惑顔だった。

 そんな拓哉に、王女がくっつく。


「ああダーリン! 勝手にどこかにいっちゃ駄目だしょう?」

「ひいいい!」


 拓哉は王女から逃げようとする。

 しかし、王女は拓哉の動きを完璧に封じていた。


「け、啓! ヘルプ! ヘループ!」


 拓哉が俺に助けを求める。


「拓哉、大丈夫だ。王女様は悪い事をしない。改心したんだよ」

「……う、うん……」

「ダーリン! 私だけを見ててくださいよう!」

「え、うわちょっ!」


 うん。俺達は何も見てない。

 俺とハギは二人に背を向ける。


「それじゃあ王女様」

「ええ、禁書は近いうちに届けますわ」


 王女は早速『束縛』で拓哉を捕らえていた。

 ってか、拓哉の姿が囚人に見える。


「あ、拓哉。達者でな? 後で荷物も送ってやるよー」

「いや助けろよ!」


 拓哉は涙目でこちらを見る。

 ハギ、パス。


「あ、ええ、私……タクヤさん。頑張ってね!」

「え? 俺何されるの?」

「大丈夫ですわダーリン。悪いようにはしませんわ」


 ぎゃああああああという悲鳴が、我が家の庭に響いた。


 ………後で勇者組全員送るか。


「………拓哉、強く生きろよ……」

「いや、差し出した張本人が何を言ってるのさ………」


 本当にね。

さて、あの人の拓哉くんへの愛が重いですね。

……もしかしたら、この後もっと悪化していきます。


明日も投稿……予定。

最近執筆時間が少ないので少し微妙。

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