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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第二章 学園1年 春~
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第67話 奴は勇者と一緒に………

 例外、それは例の外れと書く。

 そんな例外さんは今――


「うふふ………うふふふふ……」


 笑い方が不気味だね♪

 ってな訳で、何故か王女様がおります。何故か。

 それにさ、問題点があってさ、何故か拓哉に視線を向けておりましてね。何故か。

 だからさ、面倒だしもう………いいよね?


「拓哉、ファイト」

「え? ちょ! 待て!」


 そう言って俺は、即座に王女から離れ『幻惑魔法』を発動。拓哉以外を誰もいないと思わせる。

 ついでに、王女に干渉して拓哉にだけ視線がいくように仕向ける。

 俺? 俺は逃げる! だってあいつ王女じゃん? それもあれじゃん? 見事に性格が変わったじゃん? 王女のクラスメイトもびっくりしてたし。俺も結構引いてるし。

 ハギ? まあ………大丈夫でしょ。

 俺は一足先にギルドに行かせてもらう! さらば拓哉! 君のことはたぶん忘れないよ………。


 ってな訳で、拓哉を生け――代償にして逃げさせて貰うぜ?

 どうせ奴らぁ気付くこともできやしねぇ。まさに、俺が逃げても大丈夫だってことだ。


 でもまあ、本当に……生きろよ……拓哉。

 ………どこからか「勝手に人を殺すなあああああああぁぁぁぁぁぁ!」と、聞こえたが、きっと気のせい気のせい。

 さあ、冒険者ギルド行きましょうか。


■■■■


 案の定、俺が来た途端にギルド中が騒ぎになった。

 まあ、正確には『俺が来た数秒後』だけど………。


 まず、俺がギルドにきた瞬間はまだ、何ともなかった。

 だが、数秒後――ギルドマスターが現れたのだ。

 それも、よ~く知っている。顔見知りのドワーフのギルドマスターが。


 そして、こちらを向き、俺で視線を止めた。


「おい、そこの黒目黒髪の少年。貴様クロヤ・ケイではないか?」

「………違います。俺はクロヤ・ケイなんて人物は知りません」


 顔見知りギルドマスタードワーフことギロティは、ニヤリと口元に笑みを浮かべる。

 そして、俺に近づいてきて……。


「久しぶりじゃねぇかい! 元気にしてたか? ケイ」


 ――バンッ と、音がしそうな強さで、背中を叩かれた。

 地味に痛い。


「そっちこそ、スゲー出世してるな。ギロティ」

「そりゃあ、お前さんのお陰ってもんよそれで、だ……」

「?」


 俺は急に変わったギロティのテンションに着いていけんわ。歳かね?


「お前さ………死んだんじゃなかったのか? っていうかお前、今何歳?」


 OH……最初からぶっこんできますねぇ。

 そうだよね。そりゃそうなるよね。

 最後に会ったの70年くらい前だし、その時の俺より今の俺のほうが若く見えるのもおかしいことですよねぇ。


「いやぁ、まあ、うん。今は再開したんだ。それを祝おうぜ?」

「おう! ………そんなことで話をそらすことが出来るとでも?」

「いやぁ、クロヤさんなんて名前のかた、知らないですよぉ~?」


 あらあら、コミュニケーション能力が凄~くあがってますねぇ。この髭もじゃドワーフギルドマスター。


「誤魔化すなら最後まで諦めないで頑張れよ……」

「断る。それより、俺のギルドカードってまだある?」


 俺は喋るのが面d――もとい、喋る時間が勿体ないし、周りの目が痛いので、本題に入る。


「俺の話は無視かよ……まあ、あるぞ、このギルドにな。だけど――」

「おい、そこで言葉を止めるな。続きが気になるじゃねぇかよ」

「いや、特になにもないけど。少し待ってろ」

「…………」


 いやぁ、久しぶりだなぁ。ギロティも元気そうだなぁ。

 さて、俺はのんびり待ちますか――


「「「いやいやいやいや」」」

「………ん? どうし………ああ、ギルド登録ならあっちで出来るぞいってらー」


 いやぁ、感動の再開にすっかり忘れてた。

 脱走お疲れでーす。


 でも、もう大丈夫だ~。楽できる。


「……あのケイ?」

「………………」

「お~い」

「……………」

「ちょっと、ねぇ、反応して? 泣くよ?」

「………………」

「本気で泣くよ? 私、泣くと凄く煩いって有名だったからね?」

「……………ああ、スマン。ぼーっとしてた」


 やっぱり、ギルドの椅子ってだらだらできるんだよなぁ。

 流石にぼーっとしてたのはいけない事だ。

 気を引き締めていこう。


「………………………」

「ん? ハギさん? ギルド登録行かんのか? 勇者のお二人はもう行っておるぞ?」


 なんか、威圧感感じる。

 ちなみに、拓哉さんはまだまだ囮になってもらっています。

 なんか逃げ切ったみたいだし、解除しますか。


「…………」

「ん? どうしたハギ。今日は威圧感が凄いが」


 あれ? 俺、無視されてる?

 ま、いっか。


 それじゃあ、昼寝でもしますか。


「………ねえ、もう少し反応してくれても…ってあれ? 寝てる!? ケイ起きてーー!」



 ………なんだよ。揺さぶるなよ。

 せっかくの昼寝タイムが台無しだよ……。


「……ああ、おやすみ」

「寝るな!」


 ハギに叩かれた。

 じぇんじぇん痛くないけど。


「いやぁ、俺暇だしさ……」

「だったら、一緒にギルド登録して!」

「俺は保護者か……」


 まあ、寝ていても仕方がない。

 それくらいは手伝うか。


「…………そう言えば、勇者組のリーダーさんは?」


 ………まあ、アイツは大丈夫だよ。無事だよ。きっと大丈夫。



 ちなみに拓哉は現在、王女様に見つかって追いかけられています。

 ………生きろよ、拓哉。

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