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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第二章 学園1年 春~
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第65話 王女vs啓

 時は少し遡る。

 俺とハギは、勇者組が集合場所にいないので、スキルや魔法を使って探査。

 すると、魔術的な探査妨害が行われており『探査魔法』は意味が無かった。

 その後俺はハギを結界前に待機させ、勇者達を救出。

 それで、現在――


「貴方! 急に現れて、英雄気取りですの? 馬鹿馬鹿しいですね。まったく……それに、面白いことをおっしゃいましたねぇ。是非とも聞かせてくださらない?」

「ああ、いいよ」

「あら、話のわかる人――」

「ただ、ちとおいたが過ぎた。少しは反省しろ」


 女王から、凄まじい怒気が放たれる。

 うわー怖いなー。

 まあチンピラ達に絡まれた時よりマシかなぁ?


「………私を怒らせた事、後悔させてやりますわ」

「そりゃこっちの台詞だ。よくも友人を (物理的に) 苛めたなぁおい。そして後悔するのはお前だ」


 女王は呪文の詠唱に入った。

 暇だなぁ。

 もう完封してやるつもりだから、そのプライドやらなんやらを拓哉の格好で完封してやる。


「私、魔術への造形は深いのですわ『ファイアボール』」


 飛んできたのは初級魔法。

 それも森の中で火属性とかこの女王馬鹿なの? ああ、コイツを馬鹿って言っちゃあ馬と鹿に失礼だな。


 まあ回避も面倒だし、しなくても大丈夫なので、そのまま当たる。

 女王は勝ち誇った笑みを浮かべているが――


「な!?」


 魔法が俺の体をすり抜けた所を見て、そんな余裕は無くなった。


「うわー、まさかそんだけ? よっわ」

「う、煩いですわ! さっさと私の魔法の燃料になりなさい! 『大爆発』」


 あ、女王死んだな。これ。

 女王が使った魔法は、火属性中級。

 しかし使い方や使用場所によっては上級になりうる魔法だ。


 今回は上級になった。

 なんせ結界が張ってあるし、ちょっと結界の強度的にも爆発の被害は最小限だけど。


 まあ何にせよ自爆だ。

 この女何やってんの? 馬鹿でしょ? あ、やっぱ馬鹿っていうのは馬と鹿に失礼だ。

 脳筋だ。脳筋。


 俺は女王の魔法を霧散させ、代わりに過去の恐怖映像(トラウマ)を見ていてもらう事にした。


■■■■


 王女は今、どこか分からない場所にいた。

 判ることは、自分が横向きになって寝転んでいることと、『暴力』を受けていること、『罵倒』されている事だけだ。

 どこかの家なのかもしれないが、辺りには見たこともない様な物ばっかり。

 言葉も分からないような言葉を少し使っている気がする。




 身体中が痛い。

 刺々しい痛みではない。

 身体中がじんわりとくるような痛み。

 苦痛だった。


 急に世界が変わったと思ったら、唐突にこの『痛み』がやってきたのだ。

 ――早くこの(あくむ)から目覚めたい。


 しかし、体が言うことをきかない。

 一切動かない。

 どんどん景色が曖昧になってくる……。


 今度は、違う場所にいた。

 次の場所は……何となくだが、わかる。

 教室だ。

 そこでも私は暴力を振るわれていた。

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。

 殴る蹴る意外にも、ナイフみたいな物で、指を切られそうになった。

 頭から水を掛けられた。

 せっかく写したノートを捨てられた。


 そこまで来てわかった。

 この夢の中に、私の居場所は無い。

 もしかしたら、これは…………


■■■■


「はぁ~、王女様でも負けちゃうか………」


 王女が心理的に魔法に負けたことを悟った俺は、魔法を解除する。


「やべぇ~……どうしよ?」

「う、うっ!?」


 うわ!? こいつ、どんだけ問題起こしてんの……。流石の俺でも引くわー。

 まさか、その年で『呪蝕』(じゅしょく)が起こるなんてさ………怨みの買いすぎだろ………。


「さすがにこれは治すか………【浄化】(バニッシュ)


 俺は全属性魔法を使える。

 光属性もお手のもの。

 まあ、闇属性以外は苦手だけどな。

 でも全属性も覚えておくものだ。

 こういう時に役に立つとは………。


 さて、どうしよう。流石に、記憶消去は面倒だし、だからといって復活させるのもなぁ………。

 いや、最終的に一番大きな被害を被るのは拓哉ではあるが………やっぱ記憶改竄かな?


「お~い。起きてくださ~い」

「……………」


 光属性最高位魔法:浄化(バニッシュ)で、『呪蝕』は完全に浄化した。

 闇属性のスペシャリストが言うんだから間違いない。

 しかし、王女は一切反応しない。そして『精霊状態』の俺は触れられない。どうしよ?



 ………あの魔法、使うか。

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