第61話 野外実習直前
拓哉の黒歴史暴露大会をやったことと、拓哉の寝坊のせいで完全に勇者組はギリギリだった。
俺? 俺は「転移」で校門に一瞬で行きましたよ? ハギもですよ? だから、問題はない。
まあ、勇者組には実験中の魔道具を使ったので、遅刻はしなかった。
おかげでいいデータもとれた。好評だったので完成品をやらんとな。
「おはよー。ハギちゃん」
教室に入ると、まずハギが話し掛けられる。
俺は自分の席に座っているだけ。
勇者組も人気者だ。
いや、俺にだって話し掛けてくる奴いるぜ? ………たぶん。
まあ、俺の事はどうでもいいんだ。
まだ眠いし寝るか。
俺は先生が来るまでの時間で、ぐっすり眠る事ができた。
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俺が目を覚ましたときには、教師が話をしている途中だった。
「――え~後の連絡だが、今日から三日間、お前達には『野外実習』をしてもらう。もちろん、実習なので評価にはいる。手を抜くなよ」
その後、先生は欠伸をしながら教室を出る。
………この先生、やる気なくね? 俺もないけど。
「ねえ、ケイ? 皆移動をし始めてるけど……大丈夫なの? 寝ていて」
「大丈夫。時間ギリギリまで寝てるだけだ。心配せず行け」
「いや、そういう意味じゃなくてね……」
まあ、言いたいことはわかる。
つまるところ――俺達は一切実習の準備をしていないのだ。
「で? なんで起こしてくれなかった?」
「? 先生がチョーク投げてもケイが投げ返したりしてたから?」
「……………」
おおぅ………まさかそんな事をしてたとは………。
少し自身の無意識に恐怖を感じながら、俺は再び寝る姿勢に入った。