第6話 過去と再開
何回目の転生だっただろうか?
あの時俺は、勇者として転生した。
──魔王を倒すまで寿命以外で死ぬことができない呪いをつけられて。
──あの時の俺は死ぬために魔王城へ行った。
■■■と共に。
確か四天王? だかなんかが足止めしたが、なんだかんだで魔王のいる場所に行って魔王に土下座で頼んだなぁ。
俺を殺してください! って。
ま、その時は寿命で死んでやりましたが? 魔王様に「無理 (笑)っていうか自殺しろよwwww」って言われたなあ。
無理って言ったら「■■■と■■■■」とか言われたっけ。
後「勇者の使命とか………ええんか?」とも聞かれたな。ぶっちゃけ勇者 (笑)の使命とか興味ないから放棄したしあれだったけど。
確かその時くらいに魔王の娘と遭遇してる………はず。
もしかして■■■が魔王の娘か? え? ■■■■って何?
………どうでも良いことだが、一時期魔王城で働いてた。
たぶん謁見の後なんだけど、魔王城スッゲーホワイトだったな。
時給も良かったし。
あの時俺、魔王が世界征服したほうがよくね? って本気で考えてた。
まあ、女神サマ (自称)に死んだ時に色々言われた気がするが、まあ知らんな! 記憶を取り戻したい。
■■■■
俺は少し昔の事を思い出すのを止め、俺のステータスを見終わったと思われるハギの様子を観察していた。
まあ、魔王の娘が転生する事はよくある事………だろ? (※あり得ません)
きっと俺が転生者っていう事に驚いているだけだ。………たぶん。
ぶっちゃけ俺は、魔王の名前も魔王の娘の名前も覚えていない。
ただ、どこがで魔王に呪いをかけられたのは覚えている。
最近、少しずつだが思い出すこともあるが、あくまで『知識』だけで『記憶』はまったくだ。
それに──どんな呪いだっけ? 自分に害は無いからまあいっか。となっていて、全く覚えとらんかった………興味あるのだが。
ハギだったら分かるのか? だったら少し聞いてみたい。
そんなことを考えていると、やっとハギが視線をこちらへ向けた。
……しかし、なんか少し嬉しそうなのは何故だ? ……もしかして、同じ『転生者』だからか? それとも………。
そんなことを考えていると、ハギは俺に抱きついてきた。
その目には少しだけ涙が。
何故だ………あ。
「やっぱり……やっと…やっと見つけたぁ」
「………はぁ、やっぱりか? なぁ『魔王の娘』っていうのは…」
やはりと思っていた俺は、一応反応できたが、その後のハギの行動に驚かされた。
ハギは、俺に抱きついたまま、泣き出したのだ。
ハギはまるで、ずっと失っていた宝物を見つけた子供のような表情で、俺を見ていた。
いや、そんな顔されてもねぇ……まったく覚えとらんのよ。
「やっぱりあなたが、私の父様に土下座して変な事を大声で叫んでいた人でしょ?」
「え? 何でそれを……ってまさか」
「うん、父様から聞いたのを最近思い出した」
……ああ! やっぱり、あの魔王様の娘か! 名前忘れたけど!
クソッ、あの事は知っていたのか。黒歴史とまでは言わないが恥ずかしくはあるんだよ。
そういえば、あの娘も黒髪だったなぁ。
「しかし、何故貴女様がここに? 陛下は?」
「急に態度変わったね………もう敬語で話しても遅いし、いままでのままでいいのに……。父様のことは、知らない」
「………………なあ、何で知らねぇの?」
俺は口調を元に戻し、魔王様の安否を知らない理由について聞いてみた。
聞いてみたい事はそれ以外にもあるが、一番気になるよな。魔王様の安否。
一応仕えていた人物だし。
「……それは、父様が私達にかけた魔法のせい」
「へぇ~。流石魔王様。………ん? ちょいまち。その言い方だと俺にもその魔法使われていることになるのですが……」
「え? でも父様、何かそんなこと言ってたよ?」
………え? 俺も魔法使われてたの?
そんな記憶無いけど……。
俺の頭が混乱してくる。
うん。これは仕方ない。仕方ないことだ…………。
「………ハギ、ちょっと確認させてくれ」
「ん? 何?」
「俺達は魔王様に呪いではなく魔法をかけられた」
「うん……」
うん。ここまでは大丈夫だな。
まあ、ここからが問題ですがね。
「で、俺達はどんな魔法をかけられたか知らない」
「うん。………え? ケイが知ってるって、父様言ってたよ?」
「?………知らないけど?」
…………え? もしかして俺が覚えてないだけ?
困惑しながらも、俺は少しの間、自分の記憶を漁る事になった。
……つっても、覚えてないものは覚えてないからなぁ………。
次の投稿は何時になるかわかりません。