第55話 朝、家にて
朝で~す。
学園めんどくせ~で~す。
昨夜は悪夢も見たので休んでいい? 駄目ですよね。
あ~めんどい。
ちなみに、起床時間は大体いつも通り。
全然眠くない。
あ~、面倒だなぁ。
………主に勇者達の世話。
ってな訳で朝食は俺が作った。
ライアは料理の補佐とレシピの記憶をしてもらっている。
俺、今一番欲しいものは? って聞かれたら『時間』って即答してやるよ。本当にさ。
魔法? 使うのが面倒でしょうが。魔力も浪費するし。
「おっはよ~ございま~す」
「……………」
俺は今関わりたくない人物の一人、佐藤拓哉氏が現れた。
結構早いのね起床。
「おっ、今日は朝から目玉焼きか? 美味しそうじゃないか」
「…………」
俺は無言で調理を進める。
めっちゃどうでもいい情報だが、拓哉は前世の時からお調子者で、とにかく静かな空間にはいない。
授業中は静かなんだけどな。そんな拓哉だから俺とライアが無言を貫いているのは、耐えられないのだろう。
体質的に。
「い、いや~、今日は暑くなりそうだね~」
「…………」
窓から外を見ながら、拓哉は言う。
俺は無言で調理を進める。
………ヤベッ、ちょっと笑いをこらえるの限界近いわ。
なんか謎のツボにはまるわ。
勿論普通の日なら俺とライアは話をしながら朝食を作るからな。
「お、おい、ちょ、ちょっと? 話聞いてます? お~い」
「………」
俺は笑いをこらえながら調理を進める。
ちなみにライアはもう笑いそうに……あ、少し笑ってますね。
「え、ちょっと? 啓? ライアさん? ……反応くらいしてくれません?」
少しずつ拓哉の声が小さくなってきた。
ヤベッ、本当に限界。
「クッ………ククッ」
「あ、おい! 今笑ったよな? なあ? 聞こえていますよねぇ? ちょっと!?」
俺は少しヤバい。
これだから、拓哉いじりは止められない。
「ハハ、アハハハハ」
「ねえ!? もう完全に笑ってますよね!? いい加減返事しろや! 特に啓! お前、絶対わかってやってるよね!? って、ライアさんもか!」
この拓哉いじりは、他の人達が起きるまで続いたとか。
■■■■
「ったくさ~、いい加減にしてくれよな」
登校中、拓哉はずっとその事しか言っていない。
「あ~、はいはい。わかったから。もうこの話は止めようぜ?」
「いいや! まだ、お前絶対に反省してないだろ! 絶対に止めないからな!」
「ソンナコトナイヨ。キチント反省シテルヨ」
「絶対してねぇよ! その片言を止めろ!」
拓哉はそう言って朝の事を言い続ける。
飽きないの? っていうか、女性陣ひいてるぞ。気づこうぜ?
そんな事にも気づかないほど文句を言いまくっている。
まあ、俺も無視しているんだけどね。うるさいし。
………でもね。
「本当にさ――」
『………』
……周りからの視線が痛いです。
この世で最も存在意義の無い後書き
え~、今回は私的にはお気に入りのキャラ、拓哉について少し。読み飛ばしてOKです。
拓哉くんは基本弄られ役です。
執筆当初の設定は『敵』『うざい』等々、近くにいるウザイ敵? 設定だったんです。
それが書いている内に愛着がわき、設定に『前世で啓と関わりのある転生勇者 (いじられ役)』になりました。
いじられ役は無くなりませんでしたね。啓との会話が減るので。