第53話 自己紹介
俺は拓哉達を家に入れて、食事を始め―――たいのだが、先ず始めに自己紹介をした。
最初は拓哉達『勇者組』からだ。
「俺は佐藤拓哉って言う。よろしく」
「私は園部日由。よろしくね」
「あ……わ、私は、五十嵐露と申します。よろしくお願い致します」
拓哉達の自己紹介が終わった。
………なんかさ、拓哉だけ適当すぎね? 悪い意味で。逆に五十嵐さんは礼儀正しすぎる。
まあ、それはともかくだ、次は俺達だ。
「俺は黒谷啓だ。よろしくな」
「え~と、は、ハギ・スカビオサです……よろしくお願いします」
「ライアと申します。以後、お見知りおきを」
俺達も自己紹介が終わった。そしてライアも丁寧なご挨拶で。
まあ、やっと夕食が食えるな。
「さあ、そろそろ食べようか、夕食が冷めぬ内に」
俺がそう言うと、皆 (俺、ライアを除く)は、勢いよく食べ始めた。
そんなに疲れたか? 獣みたいに食ってるんですけど。
というかハギ、お前も以外に多く食うよな。
その後、俺達は雑談を交わしながら (喋っていたのはほぼ拓哉のみ)、夕食の時間は過ぎた。
「うめぇ~、ってつうか、日本食なんてこっちじゃ食えなくて寂しかったんだよ」
拓哉のその言葉に、勇者の二人も頷く。
「ホント、そう言う意味では感謝できるはね。あの国王にも」
「う、うん。そうだね」
…まあ、勇者についてわかった事といえば…………愉快な人間の集まりってことかな。
あとハーレム野郎。
「おい、お前ら特に拓哉、お前は食いすぎだ」
………拓哉は、俺達の何倍も食べていた。
ほぼ全ての料理を食べたと言っても過言ではないくらいに。
「いや、わかってはいるよ。でも……日本食は懐かしいし、お前の料理ってお袋の味っていうかさ……」
いや、適当な事言って誤魔化すなや。
そして勇者二人とハギも、同調するな。オカン呼びし始めたら毎日カレー地獄でも味わってもらおうかな?
「確かに拓哉の気持ちもわかるわ……急にこの世界に飛ばされたんだもん。なんか、久しぶりにリラックスできたわ」
「うん、私もゆっくりできた」
でも皆満足したようだしいっか。
お開きのような雰囲気になったので、俺は食器を片付ける為に立ち上がる。
「よし、それじゃあ、俺は食器洗いとかするからライア、コイツらを客間に連れて行ってくれ」
俺は絶対にお前らの案内なんかしないぞ、というオーラをだしながら言った。
だってこいつら本当に面倒臭そうだし。
「え? 啓が案内してくれるんじゃないのか?」
拓哉の口から疑問の声が聞こえてくる。
だが、やる気がないんだ……。
「ああ、俺もやらなきゃいけない事があるからな。ライア、頼んだ」
「いいえ、折角ですし同郷の皆さんを案内するのは主がやった方がいいのでは?」
「いや、お前のほうが安全だろ。だから頼む」
俺は内心を悟らせぬように、言葉を選びながら言う。
絶対にやりたくない。面倒ごとはライアに任せる。
「いやいや啓、お前が案内してくれた方が俺は安心するんだけど」
「私も~」
「わ、私もです……」
「だそうですよ?」
……君たちこういうときだけ本当に仲がいいね。
俺は少しからかっている拓哉の顔にムカついた。
よし、拓哉の黒歴史でも喋りながら案内してやろう。
「……わかった。案内はしてやる。さっさと行くぞ」
俺は即座に席を立ち、部屋からでる。
その後を追うように勇者達三人組も来る。
「それじゃあライア、後片付けは頼む」
「了解です。主」
ライアがまるで「計画通り」と悪い笑みを浮かべたのを俺ははっきりと見た。
あんにゃろ………まあいい。俺にもまだまだやらなきゃいけない事があるからな。
案内をとっとと終わらせますか。
は~い、次回は少しほんの少しだけ残虐描写が出ます。
(※作者の残虐のレベルでは1以下)
………セーフだと思う範囲でやります。
血は出てこないので安心してください。