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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第一章 転生者(精霊)と生活
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第4話 目覚めと出会い

 いつの間にか朝になっていた。

 ちなみに、石の投げナイフを100本と多く作り過ぎた俺は、暇だったので作ったナイフを溶かして、それに飽きて寝てしまった。

 俺は欠伸をしながらその場から起き上がり、軽く伸びをした。


 俺は視線を彼らにむけたが――まだ寝ているらしい。

 いい加減起きねぇかなぁ。と思っていると、少しだけ動いている人を見つけた。


 ソイツは、まるで何かを怯えているようなカンジがした。

 一応、『視』てみたが、状態異常はない。

 悪夢に(うな)されているだけだろう。

 もうあれだな。『雷』使って起こしたほうが楽かもな。



 しばらくすると、魘されていた者が起きた。

 ソイツの肌の色は白く、髪は黒く長い。

 俺とおんなじ。引きこもりかよ。

 ………いや、体が透けてるわけではないけど。


 背が低いので、彼女というより少女という方がいいだろう。

 少女は辺りを見回し俺のところで視線が止まった。

 そして、まるで怯えているかのような顔をしていた。


「おい、大丈夫か? どっかに痛みとかはないか?」


 俺は結構距離をとりながら、俺は少女に話かけた。

 距離をとった理由は、暴れられて俺に被害がこないようにするためである。

 まあ、そんな心配は杞憂に終わったが。


「っ……だ、誰…………あなた………は、……一体?」


 少女は怯えながらも会話をしようとしてくれた。

 最近の子はいい子だねぇ。

 そしてある程度警戒しているところも良し。悪い人に着いて行っちゃいけません!


「ああ、俺は啓って言う。ちなみに、盗賊(アイツら)とは一切関係がないからな。お前の名前は?」

「ふ~ん……ケイね……私はハギ、ハギって呼んで」

「はいはい」


 ハギ……か。

 俺は少女の姿とその性格を見て、とある『人』ことを思いだしながらも、話を進める事にした。



 少女は少しリラックス出来たらしく、話を普通のリズムで出来るようになってきた。

 そこで俺は何があったのか聞いてみた。

 すると、黒髪の少女――もといハギは、少しずつ話始めた。


 ハギの話によれば、最近近くに住み着いたと噂されていた盗賊達が、自分達の村を襲い村人を拘束して此処まで連れて来られた。と言うことで、その時に抵抗した人達は全員殺されたらしい。

 その時にハギの親も抵抗し殺されてしまったらしい。

 なお、ハギの父親は人族では無いらしく、盗賊がキレたらしい。


「助けてくれてありがとう」


 この震えた声でお礼を言った少女は、住む場所がない。

 少女の居場所………か。


「なあ、ハギ。お前はこれからどうするんだ?」

「………あはは。そうだね、どうしようか?」


 ハギは俺の突然すぎる問に笑顔で答えた。

 しかし、何も考えずにいったが……、俺、結構ヤバい事聞いてね?


「あの……ケイ? あなたはこれからどうするの?」

「……ん? どうした? そんな事聞いて………まあ、ヤバい事聞いた?」

「うん」


 即答かよ。

 俺は内心苦笑しながら、今考えた事を言う。


「のんびり旅でもするさ」

「へ~、その旅には、もうでるの?」

「ん? んな訳あるか。ここにいる村人達を全員村に帰してから旅にでるわ」


 ここで死なれちゃあ、後味が悪いからな。

 俺はこっそりとハギに『身体強化』の魔法をかけ、死た――じゃない。村人運びを行う。


「それじゃあ、皆が村に帰るまでは居るんだね?」

「ああ、そうするつもりだ。っていうか、何なんだこの質問?」

「ご、ごめん。だったらさ、その間だけさ…………わ、私とい、一緒に居てくれない?」

「………え?」


 ハギの言葉に動揺しながらも、俺は一応言葉を発する事ができた。

 そもそも、俺は会話が得意ではないのだ。

 …………いやまあ、ここ数回の転生であまり赤の他人と喋らなかったのも理由の一つですがなにか?


「……なぁ、何がどうしてそんな考えに至ったんだ?」

「そ、それは」


 ハギは少し頬を薄い薄紅色にしている。

 ……アレ? 俺、何か間違えた? それとも、そんなに怖い顔でもしてた?


「い、いや、スマン。少し配慮が足りんかったな」

「……えっ? う、ううん。私の方こそごめん。変な事言って」

「いや、別にいいんだけど………」


 ハギの事を動揺させたのかと思い、俺はこの話を一旦止めることにした。

 ………でもまあそうだよな。まだ幼い少女だ。親が恋しいんだろう。


「………な、なあ、一応さステータス『視』てもいいか?」

「え?……う、うん、いいよ」


 ………ホント俺ってコミュ力皆無ですよね。

 俺はステータス閲覧の許可を貰い、ステータスを『視』た。


――――――――――――――――――――

名前:ハギ・スカビオサ

Lv3

種族:吸血鬼(ヴァンパイア)(『森妖精(エルフ)』に偽装中)

年齢:15歳

ステータス

生命力:C

魔力 :A+

力  :E

知力 :B+

敏捷力:C-


スキル

『全魔法適性』『火属性魔法Lv8』『魔力活性Lvー』『詠唱時間短縮Lv5』『隠蔽LvMAX』『偽装LvMAX』


固有スキル

血力変換Lv1(隠蔽中)


称号:『転生者 (隠蔽中)』『元魔王の娘 (隠蔽中)』


――――――――――――――――――――


 …驚くところもあるが、15歳という年齢はこの世界で自立はできる歳だ。

 だが、ステータスが弱い。

 ………自立はまあ出来るかもしれんが、もう少し強くなっていたほうが色々と便利だろう。

 背が低いから甘く見られる事もあるかもしれんし。


「フム……」

「ん? どうしたの?」

「いや、何でもない……。しかし、15歳って事は、お前は来年『学園』にでも入るのか?」


 この世界では、15歳になると『冒険者』になる者と、『学園』に行くものに別れる。

 『学園』は、主に貴族どもが入るが、平民も入れる。それ相応の学力があればの話だけど。


「ううん、今は無理。家も無いし、お金も無いし…」

「いや、金ならあるじゃん。ここに」

「え?」


 俺はアジトを指差しながら言う。

 そう、ここは『盗賊のアジト』。それも結構大きい組織とみた。

 そういう所には金は多くあるでしょ。

 どっかで違うアジトを見つけたら、潰そうかな。


「で、でも、これって……」

「ああ、コイツ等が盗んだ物だな。だが、俺達はその盗賊達を倒した。それじゃあ、この金は誰の物?」

「たおした人の物じゃない?」

「うん。俺はそう思うけど? いらないから貰っとけ」


 まあ、おかしい考えですよね。俺の考え。

 それでもいいじゃない。人間欲深く生きろ。


「いや、普通に貰い難いのですけど?」

「まあな。でも、死んだ人間の金もここにはあるんだよなぁ」

「……それじゃあ、少し貰ってあとは村に寄付」

「それでいいんじゃないか?」


 …盗賊から『貰う』って言うのもおかしいことだがな。

 そもそも俺がハギに譲渡しただけだし。



「あれ? ケイはお金いらないの?」


 一通り貰うものは貰ったらしいハギがこちらを見つけ、寄ってきた。

 俺は一人一人の容態を見ながら、ハギの問に答える。


「ああ、別に欲しくないし」

「ふ~ん」


「あ、そうそう。お前に少しだけ勉強を教えるから。15歳になってるから、そろそろ『学園』にいけるんだし」


 この世界の子供は、15歳くらいになると、子供を魔術学園に入学させられる。


 魔術学園は『王都』にあり、ここからだと少し遠い。

 しかも、ここからだと馬車より魔法を使った方が早く行ける。

 そして、彼女は魔法の得意な吸血鬼だ。


「え? 勉強?」

「ああ、そうだ。勉強だ」


 確かに魔力だけは一流だ。

 元魔王の娘なら直ぐに魔法も覚えられるだろう。

 しかし、体力がダメダメだ。

 これでは、『学園』の入学試験に落ちてしまう。


 俺は『学園』の入試についていうと、ハギのテンションが一気にさがった。

 魔法のみでは結構キツイ。これ本当。


「だから、俺が魔法と勉学を教える。それを使えるようにするんだ」


 俺はハギの目をみて、真剣な表情でいった。


 魔術学園の入試は本当にキツイからな、きちんと体力をつけないと本当に死にそうになる。

 まあ、昔の俺の場合は魔法で超高評価をもらって入学したが……。


「…………」


 ハギも色々考えているらしい。


「まあ、そう簡単には決められないよな。明日の昼までに答えをだしてくれ」


 俺はそう言って、まだ倒れている人達を魔法で村まで運びはじめた。




次の日


 俺はハギから答えを聞くために、昨日ハギが目覚めた場所にいた。

 濃い霧が漂う朝は嫌いだ。

 まあ、盗賊のアジトの前だが………。

 早朝に俺がつくより前にハギはもう来ていた。

 まるで、答えを決めていたかのように。


「答えは決まったか?」


 俺が聞くと、ハギは頷いた。

 その顔は、昨日までのどこか諦めた感じのある顔ではなかった。


「ケイ、私に弟子にして」


 ハギの答えを俺は苦笑しながらも承諾した。

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